

現在、東京大学は、国際卓越研究大学の第2期公募に応募すべく、総長を筆頭に全学を挙げて準備を進めています。このたびその構想の取りまとめを仰せつかりました。5月半ばには公募が締め切られ、段階的審査を経て、今年度中に採否が決定する予定です。構想と申請にかかわる学内のみなさんのこれまでのご理解とご協力に改めて感謝申し上げます。
東京大学憲章の「学問の自由に基づき、真理の探究と知の創造を求め、世界最高水準の教育・研究を維持・発展させる」という目標のさらなる追求に向け、東京大学は新しいステージに大きく踏み出します。引き続きお力をお貸しください。
昨年度同様、人文社会科学研究力強化も担当いたします。科所長の先生方をはじめ、教職員のみなさんから多くの問題意識をうかがい、学ばせていただいています。人文社会科学振興ワーキンググループからは、業務時間の徹底した把握と縮減の他、本学の人文社会科学について学内外への発信を強化し、可視化していく取り組みなどのご提案をいただきました。日本の人文社会科学の国際発信や国際貢献の拡大に新たに取り組むとともに、UTokyo BiblioPlazaの掲載充実や若手への学術成果刊行助成も着実に進めていきます。
長い歴史を通じて、時代や地域からなる多様性や多元性を尊重する文化を育んできた本学の人文社会科学研究の持続的発展に尽力いたします。今後ともよろしくお願いします。
この度、総長業務事務統括の執行役(Chief of Staff)を拝命いたしました。
近年の大学の機能拡張に伴い、執行部における役割や責任および指揮命令系統を明確化にするため、ガバナンス改革が検討されております。
Chief of staffは、役員と伴に総長の意思決定の支援や体制強化計画の実現に向けた対応に対し、迅速な検討や実行し、また、執行部と各事務部との支点となる役割を担う事になります。
2023年4月より副理事に就任し、総長業務支援統括として従事してまいりましたが、今後はこれまで以上に皆様とともに進んでいければと考えております。
ふたつ目の使命として、ガバナンス改革においては、事務職員の権限や責任を明確化し、必ずしも教員の判断が必要でない事項について、事務職員へ決定権限を移すことで、教員の教育・研究時間が確保され、また事務職員の活躍の場を拡大することとされております。
これまで、教職協働は様々な場で行われてきましたが、今回の役割は、その具体的な形の一つとして示されたのではないかと感じております。
本学の事務職員としては、初の役員としての役割であり、後進が絶えることの無いように、緊張を感じながら、しっかりとした足跡を残せるよう、邁進していきたいと思いますので、今後ともご指導方よろしく申し上げます。
2024年度は総合文化研究科長・教養学部長として、学生のみなさんと真剣に向き合うことの多い年でした。授業料改定の際には、総長対話の前後にわたって教養学部自治会から何度か要望書を受け取りました。また年末には、学修環境向上のための総長懇談会も駒場キャンパスで開催され、多くの要望が寄せられました。これらを通して、私自身も大学の在り方について改めて考える良い機会となりました。
今回、学生エンゲージメントと学部教育改革を担当することになりました。学生エンゲージメントでは、総長対話やアンケートを踏まえた藤井総長からのメッセージの中の、「学生のみなさんから現在の修学の状況や意見を聞く仕組みを早急に整備するとともに、学生に関わりのある事柄について一緒に考える仕組みを丁寧につくっていきたい」という思いを実現することがミッションとなります。多様な声に耳を傾け、教育の質向上を目指していくことになります。また、学部教育改革では、国際社会から求められる、複雑な世界的課題にも対応できる人材の育成という方向に一層視点を広げ、「そのために必要な学部教育とは何か」を問い続けていくことになるだろうと思います。
東京大学はこうあってほしいと思う姿、思い描く将来像は、教職員・学生のみなさん一人一人異なると思います。なるべく多様な声に耳を傾け、本学の益々の発展に尽くしていきたいと思います。
このたび、副理事として、資産活用推進を担当することになりました小川です。
当然のことながら、最も歴史があり最大規模を誇る東京大学は、様々なキャンパスの移転整備に取り組んできましたが、要する労力と時間が必要となります。こと柏キャンパスについては、大きな移転整備に施設部で携わり、資産活用推進部では西千葉及び田無キャンパスの土地売却を経験させていただき、先が見える状況になり、一区切りとなりました。
現在は大学保有の3億2千5百万㎡の土地について、資産価値などの状況が確認できましたので、活用に向けての準備を、大小ありますが計画を進めております。
本学にとっても土地や建物の保有面積を抑制しながら、建物の再整備や有効活用を推進することは、経営的意義があることだと思いますし、私にとって、今までの経験を生かした新たな挑戦ができることを誇りに、身を引き締めていく所存です。
また、この実現に向けての取り組みは、教職員のみなさまからのご意見、ご指導なしでは進めないものばかりです。その点では、コミュニケーションを大事にしておりますので、積極的に図りたいと思っております。なにより、明朗快活に頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
このたび、副理事として、UTokyo College of Designの開設準備を担当することになりました平野です。
東京大学では、未来社会に向けてさらなる学術貢献と人材育成の役割を果たすため、藤井総長のリーダーシップのもとで、UTokyo College of Designという新しい学士・修士の教育課程の構想を全学連携で進めています。学部の新設を行うのは本学では1958年の薬学部以来約70年ぶりとなります。
2027年9月の開設を目指し、College of Design企画調整室を中心に、全学からご協力いただいている教員、職員が一体となって、カリキュラムやコンテンツの構築、アドミッションの設計、文部科学省への設置申請準備などの仕事を行っています。
東京大学は2027年に創立150周年を迎えます。
150年という歴史の中で、長きにわたり本学で働かせていただいていること、そして、UTokyo College of Designの開設という大きな事業に、前向きで熱い気持ちを持った教員、職員と一緒に仕事をする機会を与えていただいたことを感謝し、副理事就任にあたってのご挨拶とさせていただきます。
この2年間、先端生命科学の発展と国際協創に関連した東京大学の事業を担当いたしました。自分自身の研究にも近い内容でしたので、これまでの経験を活かしつつ、更に新しい経験を積むことができました。
国際協創に関しては、国際協創海外研究拠点の学内での位置づけ、具体的な拠点の選定などを担当しました。新しい試みなので、それなりのスピード感を持って拠点を形成することが必要でしたが、カロリンスカ研究所の最初の拠点が認定され、学内における拠点の位置付けについてもほぼ議論を終えることができました。
ライフサイエンスイノベーションに関連しては生命科学関連の研究者が一か所に集まって研究を行うための環境について、多くの部局の方と議論する機会を得ました。このような生命科学研究の全学としての体制整備の中で、ニューロインテリジェンス国際研究機構(IRCN)の活動も発展させていく必要があります。私の任期中にIRCNの今後の運営についてもその土台が形成されたことは何よりと思っております。
今後も東京大学における生命科学研究の環境整備と国際協創が順調に発展することを願っております。
昨年度1年間、産学協創推進および医工学イノベーション担当の副学長を務めさせていただき、医工学分野、特に医療機器開発力の向上に向けて、医学系研究科、医学部附属病院、工学系研究科、情報理工学系研究科、新領域創成科学研究科、法学政治学研究科、公共政策学連携研究部、先端科学技術研究センターなど、数多くの部局の先生方と協力し研究推進に取り組みました。また、医学関連分野では初の産学協創協定の下に設置された「キヤノン・キヤノンメディカルシステムズ東大ラボ」のラボ長としても活動し、順調なスタートを切ることができたと感じております。これまで多大なるご支援をいただいた本学の役員、教員および教職員の皆様に、深く感謝申し上げます。
医工学イノベーションの実現には、新たな医療技術を開発するだけでなく、生命倫理や臨床研究データの利活用に関する倫理的配慮、個人情報保護、医療技術の価値評価、事業化に関連する規制対応や社会保障制度との整合性など、多方面からの考察が求められます。東京大学が持つ多様な関連分野の専門家の力を結集すれば、世界有数の医療技術開発拠点を形成できると確信しております。その発展を心より祈念いたします。
農学生命科学研究科長を退任後、副学長としてグリーントランスフォーメーション(GX)推進を2年間担当しました。これまでの取り組みにおいては、学内の教職員や学生の皆さま、そして学外の関係者の皆さまと連携し、多くの支援とご協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。特に、生物多様性の保全やエネルギー効率向上、資源循環型社会の構築に向けた取り組みでは、関係者の皆さまと意見を交わし、多くの学びを得ることができました。
2025年4月には、GX戦略推進センターが発足いたします。このセンターは、カーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーを3本の柱として、キャンパスをリビングラボとして捉えたさまざまな活動を推進し、その成果を地域、国、グローバルに展開することを目的としています。大学が単独でGXを達成することは不可能であり、社会全体の変革と同調する必要があります。持続可能な社会の構築には、まだまだ多くの課題が山積しています。これらの課題解決に向けて、大学が果たすべき役割に大きな期待が寄せられています。新年度からは、特命教授として引き続きGX戦略推進センターの活動をお手伝いいたします。今後ともよろしくお願いいたします。
3月をもって副学長を退任いたしました。2023年までは、産学連携やスタートアップ投資などを執行役・副学長として担当しておりましたが、2023年度をもって執行役を退任し、引き続き担当する業務として、出資事業、経済安全保障、安全保障輸出管理を担当し、子会社および関連会社のガバナンス、貨物や技術の輸出全般のコンプライアンス等に従事してまいりました。いずれも個別案件の丁寧な対応に加え、事案によっては政府との緊密な連携が求められる分野でしたが、部局、関係者の皆様のご尽力のおかげで、大過なく任務を終えることができましたことを、望外の喜びと存じます。
また、経済安全保障は私自身が研究に取り組んできた分野ではありますが、大学にとっては新たな領域であり、施策を一から構築する必要がありました。その点において、リサーチセキュリティに関する情報共有や能力構築支援を担う「大学セキュリティコンソシアム」が1月に東京大学主導で設立され、国内のみならず国際的な協力体制が整ったことは、大きな一歩であると感じております。
これまでお世話になった藤井総長をはじめ役員の先生方、本部事務部、そして全学の皆さまに心より感謝申し上げるとともに、本学が今後ますます発展することを心より祈念いたします。