【Campus Voice】「女子高校生のための東京大学説明会―リアル東大生や未来の東大生と交流しよう!―with 五神総長」イベントレポート

2020年10月11日(日)、「女子高校生のための東京大学説明会―リアル東大生や未来の東大生と交流しよう!―with 五神総長」がオンラインで開催されました。

2020.10.11
リポート/学生ライター
鎌田寧々(人文社会系研究科修士課程2年)

開催の概要

イベント名:
女子高校生のための東京大学説明会―リアル東大生や未来の東大生と交流しよう!―with 五神総長
日   程:2020年10月11日(日)
形   式:オンライン

タイムテーブル
12:30~13:00   参加者と東大生の交流[1]
13:00         全体説明
13:45~14:00   休憩
14:00                 総長のお話
14:10                 参加者と東大生の交流[2]
15:00                 全体での質疑応答など

参加者の高校所在地の内訳は以下の通りです。

各地から、多くの高校生が参加してくれました。

参加者と東大生の交流の機会は前半と後半でそれぞれ1回ずつあり、後半の交流には、なんと五神総長も参加してくださいました。以下でイベントの様子をリポートしていきます。

全体説明

東大出身の女性には、様々な領域で活躍されている方ばかりというイメージがあるかもしれません。また、そもそも「東大生」というと、少し変わった人が多いと思われる方もいるかもしれません。

しかし、実際の東大生を見ると、ごく普通の学生ばかりです。ただ、様々なことに興味をもった豊富な人材も多く、そうした学生とつながることができるのが東大の大きな魅力です。また、東大では、前期教養課程の2年間で科類を越えて学び、後期課程で専門的な教育を受けます。この前期教養課程の間に、自分の興味のある分野をじっくり探していくことができるのが東大の魅力の一つです。つまり、大学入学後も選択のチャンスがたくさんあるのです。男女共同参画室の高橋美保先生(大学院教育学研究科・教授)からはこのような東大の魅力に加えて、女子学生のために東大が行っている支援制度について、ご紹介がありました。

女子学生対象の支援制度

女子学生のための支援制度には

・経済的な支援
・キャンパスライフ支援
・就職支援

などがあります。詳細は以下のサイトで見ることができます。

女子学生によるプレゼンテーション

現役東大生からは3名の女子学生が登壇し、それぞれの中学生・高校生時代の話やサークル・部活動、研究内容についてのプレゼンテーションを行いました。

教養学部理科一類2年 稲田栞理さん 「胸の高鳴りに注意深く耳を傾けること」
稲田さんは地方出身者ということで、その苦労や良かったことなどを具体的に語ってくれました。地方から東大への入学を検討している生徒にとっては特に参考になったと思います。また、稲田さんが挙げていた「自分がわくわくすること」を大切にするという視点は、多くの先生方・東大生が説明会中に何度も口にしていて、進路選択に迷う生徒たちの道標になったのではないかと思います。

教養学部学際学科地理・空間コース4年 武沙佑美さん 「中高時代は、思い切り楽しんで!」
武さんは中高生活はとことん楽しむということを意識していて、東大を意識し始めたのは高2の頃、「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと」(東京大学HP)に書いてある人物像にほれ込んだことがきっかけだったそうです。「東大女子については、『少数派』といったイメージがあるかもしれないけれど、こういう理由で東大を選択肢から外すのはもったいない!」と熱く語ってくれました。

大学院教育学研究科教育心理学コース 内田奈緒さん「「将来の夢」がすぐ見つからなくても探していける」
中高時代に抱いたちょっとした疑問が、今の研究につながっているということを語ってくださいました。プレゼンの途中で「人は一度にどのくらいおぼえられるか?」というテーマで、参加者が簡単な実験を受けました。これによって、丸暗記するより、構造を理解した方が覚えやすいということを体験することができました。「夢に向かって進めたらもちろんいいけれど、道を広く残しておいても〇」「中高で自分のできることを広げておく」といった言葉は、このあとの五神総長のお話ともつながる部分がありました。

総長のお話

五神総長には136件もの質問が事前に寄せられました。このうち、説明会で取り上げられた質問と、総長からの回答をいくつかご紹介します。

寄せられた質問
・東京大学が女子学生を増やしたいと思っているのはどうしてですか?
・コロナの影響で、まだ大学はオンライン授業だと聞きました。また、留学もまだできない状況だと思います。来年、もし、東大生になれたとしても、充実した学生生活を送れるか心配です。
・東大を一言で表すとすると、どう表しますか・・・!?その理由についてもぜひ教えてください!
・東大が他の大学より優れているところは何ですか(学力以外で)
・東京大学の変えたくないところ、また逆に変えたいところをお聞かせください。
・東京大学の総長になって、一番驚いたことはなんですか。
・高校生であるいま、やっておくべきことはありますか?
・学生時代にこれだけはやっておけ!またはやらずに後悔した!ということがありましたら教えてください。
・将来やりたいことが見えない時、勉強の意欲向上の為にはどうしたらよいですか。
  • 大学説明03

東京大学が女子学生を増やしたいと思っているのはどうしてですか?
(五神総長)「世界から見ると、東大の女子学生の比率の低さは何かおかしいのではと感じられてしまうのです。これでは優秀な若者を世界から集めることは難しいと考え、この問題を大変深刻にとらえています。住まい支援など女子学生のための大胆な取り組みが行われているにもかかわらず、東大の女子の割合は未だに2割にとどまっています。日本全体がダイバーシティを尊重するような社会に変わるためには、まず東大を変えなければならないということを痛感しています。」

充実した学生生活を送れますか?
(五神総長)「コロナ(COVID-19)の影響によって留学などの機会が減ってしまうのではないかという心配もあるかもしれませんが、意識的に交流すれば、東大にいながらにしてグローバルを体感することはできます。しかし、それは、これまでのように受身で待っているだけでは、通り過ぎて行ってしまいます。東大の価値を最大限に活用するには、ぜひ積極的に動いてほしいと思います。」

他にも、将来やりたいことが見えないという質問に対して、「進路はいつでも見つけ出すチャンスがある」「勉強はいつからでも始められるが、扉は叩かないと開かれない」とおっしゃっていたのが印象的でした。これは、高校生だけでなく学生にとっても心に残る言葉だったのではないかと思います。

参加者と東大生の交流会

全体説明と総長のお話をはさんで、参加した生徒と現役東大生との交流が2回行われました。交流会は終始、和気藹々とした雰囲気で、一番面白かった授業や、科類選択の話などといった大学関係の話だけでなく、東京観光の話、好きなアーティストの話など、様々な話題で各グループ盛り上がっていました。2回目の交流の場には五神総長も参加されて、生徒からの質問に答えてくださいました。特に気になる勉強法については、総長から「弟や妹に説明できるくらいに理解して頭にしみこませておく」というアドバイスもいただきました。総長と直接交流ができたことは高校生のみなさんにとっても嬉しかったようで、自然と笑顔がこぼれていたのが印象的でした。

参加者からの声

説明会終了後も、「教育学部の話が聞きたい」「理系の話を聞きたい」など、参加者から様々な質問があり、それぞれの関心・要望に応じてグループに分かれての懇談が続きました。
参加者からの事後アンケートには、以下のようなコメントが寄せられています。

・今まで、東京大学の教授の方々や学生さんは少し変わっていたり、住む世界が全然違う人たちだと思っていましたが、今回女子だけであり、少人数でお話をお伺いすることができて、改めて東京大学の良さや普通の人たちで行ってみたいと強く思いました。
・女子学生さんからスクールライフや地方出身の方からは寮のことについてなど本当に聞きたい質問ができた
・周りに東大を目指す人や通っている人が少ないので今回交流できたことは今後のモチベーションになりました。
・同じクラシックバレエをしながら東大に合格した方がいて嬉しかったですし、経験やアドバイスを教えていただき、本当に心強く思いました。
・少人数で、グループに分かれて、質問しやすい雰囲気だったので良かった。
  • 大学説明04

筆者の感想

今回の説明会では、チャットを活用して、説明中に出てきたワードについて補足があったり、他の参加者からのコメントが寄せられたりして、オンライン開催の良さを実感しました。2時間半という比較的長い時間での開催でしたが、これにより参加者の緊張も次第にほぐれていき、後半ではすっかり話しやすい雰囲気ができていたのが良かったです。

また、説明会全体を通して、東大の魅力として、多様な人がいることの貴重さを挙げている人が多かったのが印象的でした。共同体としての多様性がより向上すれば、それは構成員一人一人の生きやすさにつながります。

この説明会と記事を通して、少しでも東大を身近に感じ、東大に入学したい!と思ってもらえたら幸いです。