例年、年度末に退職する教員情報について東大ポータルで提供を呼びかけ、所属部局から提出があった紹介情報をウェブ上に掲載してきました。昨年度から引き続き今年度も長引くコロナ禍の影響で顔を合わせる形の送別の宴などの開催が難しくなり、最終講義もオンラインでの開催が多くなっているという現状に鑑み、「学内広報」誌面にも皆さんのお名前と写真を掲載し、先生方の大学へのご貢献を労います。長年にわたる東大での研究・教育活動、大変お疲れ様でした。
詳しい情報は
こちらから→
例年、年度末に退職する教員情報について東大ポータルで提供を呼びかけ、所属部局から提出があった紹介情報をウェブ上に掲載してきました。昨年度から引き続き今年度も長引くコロナ禍の影響で顔を合わせる形の送別の宴などの開催が難しくなり、最終講義もオンラインでの開催が多くなっているという現状に鑑み、「学内広報」誌面にも皆さんのお名前と写真を掲載し、先生方の大学へのご貢献を労います。長年にわたる東大での研究・教育活動、大変お疲れ様でした。
2022年11月、総長室総括委員会の下にアト秒レーザー科学研究機構が設置されました。極めて短い時間に起こる現象を解き明かすための光源を擁する施設の実現を目指して設置された全学組織です。機構長を務める山内薫先生に、アト秒科学とは何か、機構が目指す施設の概要、今後の青写真などについて紹介していただきました。
近年、レーザー技術が進展し、2018年ノーベル物理学賞につながった「チャープパルス増幅」のおかげで、フェムト秒領域の極めて短い時間幅で非常に強い光を出せるようになりました。そのフェムト秒パルスの高次高調波を発生させることによって、100アト秒を切る時間幅のパルスを出すことも可能となりました。このアト秒光パルスを使えば物質中の電子の動きをリアルタイムで追跡することが可能となるため、物質科学が大きく進展すると期待されます。
物質に光を照射すると、まず物質中の電子が動き出します。その動きは非常に速く、フェムト秒パルスを用いたポンプ・プローブ実験によってコマ撮りをしても電子はすでに動いてしまっているので、観測することはできません。しかし、アト秒領域のパルス光を用いればそれが可能となります。アト秒光パルスの波長は軟X線から極端紫外光の領域です。特に、「水の窓」と呼ばれる2~4ナノメートルの波長領域では、水が透明になるので、細胞内の微小な構造体の顕微イメージングが可能となります。先端的なアト秒レーザー光源やアト秒自由電子レーザー光源によって生成されるアト秒光パルスは強度が高く、シングルショットで顕微イメージング画像を計測することができるわけです。
アト秒科学の進展には、様々な分野のユーザーのためにアト秒レーザー光を安定に供給する光源施設が必要です。そこで構想されたのがアト秒レーザー科学研究施設(Attosecond Laser Facility: ALFA)です。ALFAでは、ユーザーがアト秒レーザー光源を利用して、様々な実験ができる環境を用意します。また、ユーザーが取得した実験データの解析やシミュレーションなどをサポートするサービスを提供します。
この構想は、東大が理化学研究所の協力を得て2008年頃に生まれました。以降、日本学術会議「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」の重点大型研究計画や、文部科学省「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ」に三度にわたり高い評価で採択されましたが、計画遂行のための予算はまだ確保されていません。今年度、ミッション実現加速化経費として運営費の一部を確保できましたが、できるだけ速やかに施設整備と設備のための予算を確保することが喫緊の課題です。概算要求によってALFAを確実に実現するために発足したのがアト秒レーザー科学研究機構(Institute for Attosecond Laser Facility: I-ALFA)です。当機構は、総長室総括委員会の下、学内9部局の賛同を得て昨年11月に発足しました。
ALFAは全長140mほどの線形加速器をもつアト秒自由電子レーザー光源と三つのアト秒レーザー光源を擁する施設です。高エネルギー加速器研究機構(KEK)と東大が連携し、KEKつくばキャンパスに設置する方向で準備が進められています。令和6年度より施設整備費と設備費を確保できれば、速やかにALFA建設に着工し、令和8年度からユーザー利用が可能となるよう施設を整備する予定です。そして、ALFAが全国共同利用・共同研究拠点として認められることを目指します。3月には施設実現のための支援を募る目的で東大基金の寄付プロジェクトを開始しました。また、様々な分野の企業にコンソーシアム“Friends of ALFA”への参加を募る予定です。
私は今年度で東大を定年退職しますが、4月からは特任教授としてALFAの設立に尽力します。ALFAが将来の先端研究を担う国際的リーダーを育成する場となるとともに、先端光源技術を発展させる場となるよう努力して参ります。
※アトは10-18、フェムトは10-15、ピコは10-12。1アト秒とは0.000 000 000 000 000 001秒のこと。
グローバルキャンパス推進本部が提供する海外学生向けの短期受入プログラム、UTokyo Global Unit Courses (UTokyo GUC)。東大初の全学的なサマープログラムです。海外の大学生、そして東大生も参加することができます。3年目を迎える2023年度のプログラムでは、初めて対面コースが提供されることとなりました。
今年で3年目を迎えた海外学生向けの短期有料教育プログラム、UTokyo Global Unit Courses (UTokyo GUC)。世界中の学生に東京大学で行われている講義を体験してもらい、優秀な学生の獲得にもつなげたいとの思いから、東大初の全学的なサマープログラムとして2021年に開講しました。グローバルキャンパス推進本部が提供するUTokyo GUCの対象者は、海外の大学生と東大生。初年度は延べ88人、2022年度は延べ159人が受講しており、2023年度はさらに多くの受講者を迎えられることを期待しています。コロナ禍のため、これまではオンラインで開催されてきましたが、2023年度はオンラインとオンデマンドに加えて、対面でも行われます。
6月から7月に開講するのは、全部で12コース。東アジアの法の発展や現代日本政治、そして代数幾何学や人工知能まで多岐にわたる授業が英語で提供されます。プログラムは1週間(90分授業×5回)または2週間(90分授業×10回)で構成され、受講修了者にはグローバルキャンパス推進本部が発行する修了証と東大生の国際総合力認定制度の活動に認められる「グローバル・ユニット」が付与されます。この他に日本語学習クラスも3コース用意されています。
UTokyo GUCの特徴は、各分野の第一人者である専任教員がそれぞれの専門科目を教えるという点。日本の文化を学ぶことに焦点があてられていることが多い、他大学のサマープログラムとの大きな違いです。通常の講義と同じ、質の高い授業を経験してもらうことで、世界中に東大のファンを増やしていきたいとの期待もあります。1クラス20人くらいまでの少人数制で、ディスカッション中心の授業は、教員やクラスメイトと深く交流することができると好評を得てきました。うれしいことに、GUC受講後に東大の大学院に進学した受講生も現れ始めています。
UTokyo GUCの受講費用は、オンラインとオンデマンドコースは1ユニット50,000円、対面コースは150,000円(複数受講すると割引あり)です。東大生はこの10分の1の費用で受講できます。日本にいながら世界中の優秀な学生とともに学ぶ経験が、留学への足がかりになるかもしれません。
コース名 | 教員 |
---|---|
Law in Transitional East Asia | 松原健太郎/法学政治学研究科 |
Capitalism and the Senses | 久野 愛/情報学環 |
Contemporary Japanese Politics | マッケルウェイン・ケネス・盛/社会科学研究所 |
Dilemmas of Development in Asia | 佐藤 仁/東洋文化研究所 |
Group Theory and Its Applications | 伊藤由佳理/ IPMU |
Science of Light | 岩本 敏/先端科学技術研究センター |
Sustainable Urban Management | 栗栖 聖/工学系研究科 |
AI for Understanding Human Intelligence | 長井志江 / IRCN |
Early Language Acquisition | 辻 晶/ IRCN |
AI and Social Justice | 板津木綿子/情報学環 |
Sustainability, Social Justice and Resource Management | 石原広恵/新領域創成科学研究科 |
Writings About Japan | 矢口祐人/情報学環 |
Japanese Language Courses (3コース) |
対面授業では研究体験やエクスカーションも予定されています。