【Campus Voice】「女子高校生のための大学説明会―リアル東大生や未来の東大生と交流しよう!― with 藤井総長」イベントレポート


2022年10月16日、東京大学が主催するイベント「女子高校生のための東京大学説明会―リアル東大生や未来の東大生と交流しよう!― with 藤井総長」が開催されました。

当日は全国各地、海外からの参加者も含め、200名を超える女子高校生、保護者の方にご参加いただきました。60名以上の現役東大生がファシリテーターとして登場し、和気藹々とした雰囲気の中で語らう様子がみられました。

イベントを主催した東京大学男女共同参画室では、東京大学で研究や勉学に打ち込む女性を様々なかたちで支援しています。また、今回のように女子中高生向けのイベントを定期的に開催し、東大で活躍する先輩たちと東大を目指す女子中高生の距離を近づけることで、受験や入学後のイメージを膨らませるお手伝いもしています。

本イベントでは、さまざまな女性学生支援制度についての説明のほか、参加高校生が東大生と小グループでお話しする時間もたっぷりと設けられました。新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みてオンライン開催とはなりましたが、大いに盛り上がりました🙌今回ご参加が叶わなかった方にもその熱気が伝わるよう、知への挑戦意欲と喜びが溢れんばかりの現場の様子をお伝えします!

2022.10.16
リポート/学生ライター
板谷 舞華(教養学部文科三類2年)

ようこそ!知の価値を尊ぶ皆さんへ(林香里理事・副学長)


 
イベントの幕開けは東京大学の国際、ダイバーシティを担当する林理事・副学長が登壇し、自身の経験を交えながら熱い歓迎の言葉を述べました。男子学生の割合が依然高い東大の現状に言及した上で、その背景としてリスクを回避する傾向の男女差を指摘しました。東大は「リスクをとってチャレンジする価値がある大学」であるとし、「知の価値を尊び、努力することに意義を見出す」女性を歓迎すると話しました。

筆者は高校生の頃、東大に行きたい! と決意をして以来、よく大学案内冊子を眺めたり、東大TVを視聴して大学生気分を味わったりしたものですが、林理事の言う「知の価値を尊ぶ」雰囲気にいつも圧倒されていたことを思い出しました。東大のメンバーになることができた今、ここは確かに学びたい気持ちを自分で沸かし続ければ全力で応援してくれる環境であると感じています。

東京大学は女性が輝ける舞台!(進学促進部会長 後藤由季子先生)

続いて、進学促進部会長の後藤先生が登壇し、東大の女子学生支援や、現在活躍中のメンバーが紹介されました。

東大は世界に比べるとまだまだ女性が少ないですが、歴史のある東大だからこそ、新しい社会の情勢に追いつく努力で終わるのではなく、リードする存在になろうと進歩を続けています。

後藤先生からは女子学生向けの支援事業に加え、東大の教育システムについてもお話がありました。入学して初めの2年間は、全ての学生が前期課程(教養学部)で極めて広い知的経験を積む機会を与えられ、今後深めたい分野の選択肢を増やすことができます。後藤先生もご自身のご経験から、もともと興味のあった分野以外にも好奇心がくすぐられた時間は、人生を豊かにしてくれたとお話されていました。

また、国境も分野も跨いだ先進的な研究が蓄積され、そして新たに生み出され続けている学府ならではの知的体験が充実しているとして、複数の課外活動プログラムも紹介されました。例えば体験活動プログラムフィールドスタディ型政策協働プログラムがあります。筆者も1年生の春休みに海外プログラムに参加し、現在はフィールドスタディ型政策協働プログラムで地方の活性化に向けた政策提言を練っているところです。

このように「刺激受け放題」な東大の環境は、全ての学生に開かれています。受験に合格し入学した後も、学ぶ意欲を持ち続ける学生を、存分に信じてサポートしてくれる東大。尊敬できる仲間とともに、自分の世界を広げ続け、将来について考える機会があちらこちらにあるのは東大の魅力の一つといえますね!

三者三様!学生生活のリアル(話題提供者)

今回のイベントでは、3名の学生が登壇し、それぞれの受験勉強で意識したことや大学生活についてプレゼンテーションを行いました。講演後にはたくさんの質問が寄せられ、時間の許す限り、登壇者やファシリテーター学生が回答しました。私も聞いていて思わず心が弾み、東大ってこんなに楽しいんだ!と改めて思いました🤣同じように感じた高校生の皆さんも多かったのではないでしょうか🍀


❶ 佐藤 海咲さん
トップバッターは1年生の佐藤さん。楽しそうにお話しする明るい笑顔が印象的でした😊

実は佐藤さん、東京大学高大接続研究開発センターが運営するキミの東大 高校生・受験生が東京大学をもっと知るためのサイトの新入生インタビューでも特集を組まれています!よかったらこちらもチェックしてみてくださいね👀

佐藤さんは現在理科一類に所属し、3年生からは工学部への進学を検討中。でも心理学や精神医学にも関心があり、1年生のうちからそういった授業もとっているそうです。何を専門に学びたいかを入学してから決められるのも東大の魅力の一つ! と語ってくれました。まさに前期課程(教養学部)を活かした自由な学びを楽しんでいるようですね!

「とある1日のタイムスケジュール」と題して、3コマの授業と部活の朝練がある日の過ごし方を紹介するスライドには、美味しそうなパフェの写真が…💓「空きコマに友達と食べにいきました😁」と嬉しそうに語ってくれました。
授業の息抜きの方法は様々です。大学内のベンチで睡眠をとるひと、幸せグルメに足を運ぶひと(駒場キャンパスは渋谷から2駅!)、図書館のお気に入りの場所で勉強に勤しむひと、部活の自主練で汗を流すひと、教授や学友とおしゃべりするひとなど、思い思いの時間を過ごして次の授業に備えます。

高校時代の記憶も鮮明ということで、東大受験や合格後の生活で高校生が不安になりそうなことをカバーするお話もしてくれました。「受験時の自信はどれくらいでしたか?」という質問に対しては、大きなミスがなければ合格できると思えるくらいまで自信を上げていったとのこと。時間は限られている、そして同じように東大を受験する人は多くいる中で、自分が目指すべきポイントを明確に持つことの大切さを強調されました。

「女子・地方出身者」という立場からは、それが東大内で少数派であるのは確かだけれど、ほとんど意識することなく毎日楽しく過ごせているし、自分のアイデンティティの一部にもなっているとポジティブに話してくれました。佐藤さんが東大を志望した理由の一つは、日本各地、世界各地から人が集まる多様性豊かな環境。現に今、自分と全く異なる人たちに囲まれて世界がどんどん広がると楽しそうに話す佐藤さんを見て、筆者も改めて東大が好きになりました😊


❷ 萩野 聡子さん

続いての登壇者は3年生の萩野さん。文学部の現代文芸論専修に所属し、マイナーな言語で書かれた文学に光を当てているとのこと。「英語で書かれたものって注目されたり有名になることもよくあるけど、使用人数が少ないマイナーな言語だってとても素敵な文学作品を生み出していることが多々ある。それを見つけ出すことをしたい」と情熱的に語る姿がかっこよかったです✨

学校推薦型選抜(旧推薦入試)で東大に入学した萩野さん。高校時代にはディベート部と今も趣味で演奏を続けているというマンドリン部を兼部し、語学関係のコンテストへの応募から短期の留学に至るまで様々な体験をされてきたのだそう。今も変わらず、国連と関わるサークル活動に打ち込んだり教員免許の取得を目指したりと、アクティブな生活を送っている模様です。

そんな萩野さんの言葉で特に印象に残っているのは、そのままの自分を受け入れることを大切にしてほしいというものです。確かに東大には優秀な人たちが集まります。テストの点数で測れる学力だけではなく、人の心を解く温かいコミュニケーション力、論理的な筋が通っていることを前提とした交渉力、状況を俯瞰的に把握してチームのモチベーションを常に高めながら成果を出すリーダーシップなど、「本当にすごい」と心から思える人たちに出会います。そのような環境で、萎縮することなく、自分を成長させる糧だと捉える心構えとして、萩野さんのいうそのままの自分を大切にしてあげたいなと改めて思いました。


❸ 成田 佳奈香さん
ラストは現在大学院修士課程1年生の成田さん。勉強・活動されていること、趣味として続けていることを聞いていくうちにそのバイタリティにみるみる引き込まれ、分野も国境も超えて学び続ける姿が眩しかったです…😲✨

物理と数学に魅了されていた高校2年の頃、高校や予備校の先生に紹介された本をきっかけに学問の深淵を覗いてみたいと思ったことと、東大はまさに青天井といえるほど優秀な人たちが集まる環境だと思ったことが東大を目指したきっかけといいます。語学の勉強や音楽活動も好きという成田さんにとって、幅広く学べる前期教養課程も決め手の一つだったとのこと。

入学後は早くから研究の世界を覗く機会に恵まれていたという成田さん。物理学科に進学後の授業は容易なものではなかったけれど、第一線の先生の授業を受けながら頑張ってよかったと今では思える期間だったと振り返ります。ニュートン祭と呼ばれる楽しそうな学科交流会についても紹介していただきました🍎

前期に所属していた理科二類のクラスはメンバーのバックグラウンドがかなり豊かで、そこで親しくなった友人と共に生物ロボコンに挑戦し、広報も財務も自分たちの手でやりながらアメリカ渡航までされたとのことです。様々な専攻に進むメンバーと交わる前期課程のシステムを活かした人脈で、物理系以外の活動にも取り組まれていることに圧倒されました✨

物理の分野では、ドイツのCERN大学が行う研究チームの一員に選出され、日本語が全く伝わらない環境で、実験と発表を繰り返した経験も。「自分から動かないと何も始まらないな」という言葉が心に響きました。

高校生の参加者に向けては、「好き」の熱量が大事だと語りかけました。少しの躊躇いや壁があったとしても、好きでやっていたら道は開けてくる、それを伸ばせる環境が東大にはあると成田さんご自身の経験を踏まえてお話ししてくださいました。成田さんのように、目をキラキラと輝かせて好きだといえる学問分野を持っている人が、東大にはたくさんいるように思います。圧倒的な情報量と国際性の高さを存分に活かして、東大で学んだり研究したりすることが楽しみになるようなお話でした!

「世界の誰もが来たくなる大学」を実現する(藤井輝夫総長)


参加者が少人数のグループに分かれ、先輩学生とお話しをするグループ交流の時間を挟み、藤井総長に参加者からの質問に答えていただく時間がありました。今の東大が目指す多様性と包摂性に加えて、総長ご自身の経験や考えについても話題にあがりました。

「高校時代にやっておくといいことは?」という質問に対しては、グローバルな会話の場面で活きる教養として、古典を読むことが挙げられました。

高校生からの質問として最後に取り上げられたのは、「東大をどのような雰囲気にしたいのか」というものでした。様々なバックグラウンドを持つ人が関わる対話を通して、地球規模課題への解決策を見つけることを大学運営の目標として掲げる総長からは、ここでも「のびのび」という言葉が強調されました。総長の描く「世界の誰もが来たくなる大学」の実現に向けて、私も学生としてのびのびと勉強や活動を楽しみたいと思いました🔥

最後に

東大で、ジェンダーの偏りに問題意識を持ち続ける土壌が培われていることには希望が持てます。私も構成員の1人として貢献したい、する使命があるという気持ちを強めています。様々なバックグラウンドや個性を持つ人たちがのびのび学んで語って楽しめる場所を目指す「大学」という大きな組織の開展を体感し、それを促進するメンバーになれるチャンスがある場所だと改めて感じるイベントでした。

高校生の皆さんを心から応援しています💪今後のイベントでもお待ちしています!