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クリームイエローの表紙

書籍名

Universitario / Lettere (n. 5) La tradizione manoscritta delle Rime di Giovan Battista Strozzi il Vecchio. Censimento dei testimoni e incipitario delle poesie

著者名

Lorenzo Amato

判型など

352ページ

言語

イタリア語

発行年月日

2019年

出版社

Edizioni Polistampa (Florence)

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老ジョヴァン・バッティスタ・ストロッツィ (フィレンツェ、1505-1571年) は、ルネッサンス後期の最も革新的な詩人の一人でした。マドリガル形式の作品によって名を馳せたストロッツィは、生涯を通して取り組んだ実験によりこのジャンルを再定義しました。自著の詩が印刷されることを嫌い、作品を写本によって広めることを好んだため、時が経つにつれてストロッツィの名は人々の記憶から消え始めることとなります。18世紀にストロッツィ家の図書が散逸したため、ほとんどの写本は消え去り、ストロッツィの詩作品の大部分は永久に失われたかに見えました。
 
本書は、将来のストロッツィ全詩の校訂版のための基盤作りを目的とし、これによりイタリアひいてはヨーロッパ叙情詩の歴史におけるストロッツィが残した遺産の重要性を再確立しようとするものです。老ストロッツィの詩の全写本伝統に関するセンサスと網羅的記述に続くのは、3000超に上る詩の最初の一行をアルファベット順に並べた目録。これらのほとんどはマドリガルであり、このうちの半分は本研究の過程で初めて発見されたものです。
 
本書に含まれる写本コーパスは、新旧全てのストロッツィに関する文献、および印刷物としてもしくはオンラインでアクセスの可能な写本コレクションの全カタログの分析を通して形成されました。全ての写本はその後各図書館において自らの眼で (直接) 分析されています。コーパスは120冊の写本から構成され、このほとんどの出処は16世紀にまで遡ります。これらのうち60冊は今回初めて発見、記述されたものであり、42冊はモノグラフ的、つまりストロッツィの詩のみを掲載したものです。これだけ多くの写本が一人の詩人のためだけに捧げられたというのはほとんど前代未聞であり、ストロッツィが生前、如何に名声を享受したかが窺われます。カタログの調査中には、かつてストロッツィ家が所蔵した写本も再浮上しました。これらは、ストロッツィの詩的コーパスを完全な形で留める大型のコーデックスで構成されており、ストロッツィの詩作品に関する我々の知識のギャップを埋めてくれるものです。この結果、現在我々は老ストロッツィの手による詩を3000作以上確認しており、これは以前知られていた作品数の三倍超に上ります。
 
本書は基本的に二部構成として纏められていますが、各部の前には序論と採用された研究方法の解説が挿入され、後には網羅的索引が続きます。第一部は、写本学的また文化的アプローチの双方を駆使して、外的また内的に分析された120冊の写本のセンサスと完全記述から成ります。これを補完するのは、記述される全ての写本に関する完全な参考文献。第二部は、ストロッツィの詩の一行目の包括的目録から成り、これらの詩が掲載される全ての写本の参照 (ページ/葉番号) が含まれます。

このセンサスが提供する新たなデータにより、将来の研究者達は老ストロッツィの詩に新たな視点からアプローチすることができ、イタリアひいてはヨーロッパ文学の歴史におけるストロッツィの重要性をより深く理解、認識できるようになるでしょう。
 

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 准教授 Lorenzo Amato / 2020)

本の目次

Premessa (Foreword) - p. 7
Introduzione (Introduction) - p. 17
Descrizione dei testimoni manoscritti (Census of the Manuscript Witnesses) - p. 35
Incipitario (Inventory of Strozzi's Poems) - p. 187
Bibliography - p. 315
Index of Manuscripts - p. 331
Index of Names - p. 335

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