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白とオレンジの表紙

書籍名

英語で「道」を語る

著者名

大橋 理枝、 斎藤 兆史

判型など

208ページ、A5判、CD付き

言語

日本語

発行年月日

2021年3月

ISBN コード

978-4-595-32290-7

出版社

放送大学教育振興会

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英語で「道」を語る

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本書『英語で「道 (どう)」を語る』は、一義的には同名の放送大学令和3年度開講科目 (担当:大橋理枝放送大学教授・斎藤兆史東京大学教授 [放送大学客員教授])の印刷教材 (教科書) として出版されたものである。同時に、一般書としても購入可能であり、日本人の話し方 (あるいはさらに黙り方) や一見象徴的、形式的な振舞い方を時として支配している重要な要素の一つである「道」という理念を分析し、議論し、そして最終的には理解するための基本的な素材や考え方を一般読者に提示することも目的としている。しかしながらこの理念は、一つのまとまった意味の総体として議論されることがほとんどなかった。それは、柔道、弓道、剣道、合気道などの武道、茶道、書道、仏道をはじめ、「~道」と呼ばれる身体的、美的、倫理的、宗教的実践を通じて個別に記述、理解され、あるいは非言語的に伝えられることが多かった。
 
したがって、この印刷教材は、方法論的に「道」に対して必然的に帰納的なアプローチを取ることになる。すなわち、まず個々の「道」に着目し、次にそこから抽出される「道」の本質を議論するという手順で構成されている。1課ではまず授業全体の主題を紹介し、次の2課は、それぞれ茶道と書道を扱っている。4課において、最初の3つの課で用いた言語材料 (とくに文法と語彙) について復習したのち、本書はさらに具体的な「道」の実践を見るべく、5課と6課でそれぞれ武道と仏道を扱い、さらに7課においてその2課で用いた言語材料についての復習を行なっている。
 
本書後半は、個々の「~道」を通じて観察される特徴――形の重視 (8課)、象徴性 (9課)、物語性 (11課)、逆説 (12課)――に着目しつつ、そこで用いられた言語材料に関する復習も行なっている (10課、13課)。続く14課で展開されるのは、外国人にとって「道」の活動に通底する哲学を理解するのは難しいのではないかとの議論である。「道」は、時として日本の男女にとって必要となる素養を身につけるべきもの、あるいは信仰心の薄い日本人にとっての宗教の代替物のようなものと捉えられたりすることもあり得る。最後の15課では、それまでの2課の言語材料に関する復習をした後、読者/学習者それぞれが自分の言葉で「道」の定義をするよう促し、本書全体を締め括っている。

 

(紹介文執筆者: 教育学研究科・教育学部 教授 斎藤 兆史 / 2021)

本の目次

はじめに
Lesson 1  序/Introduction
Lesson 2  茶道/The Tea Ceremony
Lesson 3  書道/Brush Calligraphy
Lesson 4  復習1
Lesson 5  武道/Martial Arts
Lesson 6  仏道/The Way of Buddha
Lesson 7  復習2
Lesson 8  形の重視/Formalism
Lesson 9  象徴性/Symbolism
Lesson 10 復習3
Lesson 11 物語性/Narrativity
Lesson 12 逆説/Paradox
Lesson 13 復習4
Lesson 14 外国から見た「道」/ Seen from Overseas
Lesson 15 道とは/What is ?

 

関連情報

講義:
放送大学「英語で「道」を語る (’21)」 (放送大学YouTubeチャンネル 2021年)
https://www.youtube.com/watch?v=FqAZt508a3k

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