東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙に赤、青、緑の模様

書籍名

質的統合法 渾沌から秩序を導く創発の技法

著者名

山浦 晴男、正木 治恵、 赤川 学、 税所 真也 (編)

判型など

544ページ、B5判

言語

日本語

発行年月日

2025年10月19日

ISBN コード

978-4788518988

出版社

新曜社

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質的統合法

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     広さに惑わず、多さに頼らず、
     抽象の適切と仮説の豊饒を生みだす。
     自分を見失わず、衆の知を寄りあわす「データの質」の解読法。
     ――佐藤健二(東京大学名誉教授)
 
     命への深い思いを分ち合う多くの患者と看護師。
     どうすればその思いをつかめるのか?
     その方法への答が本書にもあった。
     ――小島通代(元東大病院看護部長)
 
 
膨大な質的データを前に、研究者はしばしば途方に暮れる。インタビューの逐語録、フィールドノーツ、自由記述――手元に集まった「渾沌」を、分析者の恣意的な切り取りに陥ることなく、どうすれば現象の全体像の把握と新たな発見へとつなげられるのか。そもそも質的研究は、いかにして科学性と客観性を担保しうるのか。本書は、質的研究が長らく抱えてきたこの根本問題に正面から応えようとする一冊である。
 
本書の主題である「質的統合法」は、文化人類学者・川喜田二郎が創案したKJ法の基本原理と基本技術に準拠した、質的データの統合法である。開発者である山浦晴男 (情報工房代表・千葉大学大学院看護学研究院特命教授) は、川喜田のもとで20年にわたりKJ法の研究と普及に従事した。その後の30年余りも、看護学分野をはじめとする教育・研究支援と地域社会での実践を通じて、この方法を学術的・技術的に発展させてきた。
 
本書は、開発者自身による解説(第1部~第4部)に、看護学(第5部)、社会学(第6部)、人類学・建築学・教育学(第7部)の研究者による応用展開を加えた、B5判544頁・全28章の集大成的なテキストとなっている。
 
前半の山浦による解説部分だけでも、本書の価値は十分に高い。第1部では、研究とは誰もが日常的に行っている創造的問題解決の営みと地続きであるとする「W型問題解決モデル」を出発点に、質的研究が科学的研究法であることが論じられ、データの単位化からラベル広げ・ラベル集め・表札づくり・グループ編成・図解化・叙述化へと至る統合の手順が、豊富な実例とともに示される。第2部・第3部では、主観性の発揮と客観性の担保をいかに両立させるか、実態把握と考察をなぜ峻別しなければならないかといった、質的研究の認識論的な急所が丁寧に解きほぐされ、考察法としてのロジカル・ブレスト法とコスモス法が紹介される。さらに第3部に先立つ章では、西田幾多郎の生命哲学、今西錦司の生物学、プラグマティズム、ポランニーの科学哲学との接点から、この方法に内在する思想が掘り下げられており、単なるハウツーを超えた方法論の書として読み応えがある。第4部では、地域再生の現場で住民の合意形成を支援する「寄りあいワークショップ」の進め方と、徳島・鹿児島・福島などでの社会実践例が示される。
 
本書成立の直接の契機は、東京大学文学部社会学研究室への質的統合法の導入にあった。編者の一人である筆者 (税所真也) は、社会調査実習で質的調査の分析を指導するにあたり、KJ法が「ラベルを使えばKJ法」と言わんばかりに形骸化して伝えられてきた現実――いわゆる「なんちゃってKJ法」――に直面し、習熟した指導者から直接学ぶ必要を痛感した。そこで、実習を共に担当する祐成保志教授とともに指導者を探し、山浦の指導のもと2022年秋に本郷キャンパスで研修会を開催、2023年度からは学部の社会調査実習に質的統合法を正式に導入するに至った。
 
第20章 (税所真也) は、この導入の過程と、単位化・表札づくり・図解化を授業のなかで無理なく機能させるための実践的工夫を記録したものである。第19章 (上野千鶴子) が描く京大から東大へのKJ法の「文化伝播」の系譜とあわせて読むと、この方法が東京大学の社会調査教育に接続されるまでの歴史的文脈が立体的に見えてくるはずである。
 
社会学の研究実践への手応えを率直に語るのが第23章 (赤川学) である。「社会調査の何でも屋」を自認してきた著者が、自ら創設した猫社会学の「猫を看取る経験」に関するインタビューデータを素材に、見様見真似の既存のKJ法による分析と、質的統合法による再分析とを並べて比較する。数枚のラベルが語りかける「志」を一文に写し取る表札づくり、シンボルマークを7つ以内に絞ることで安定する図解化、関係記号と接続詞による論理構造の明確化、そして元データの意味合いを保ったまま柔軟に長さを調整できる叙述化。初心者の立場から具体的に書き込まれたその作業記録は、この方法の「凄み」がどこにあるのかを読者に追体験させてくれる。
 
第22章 (祐成保志) は、かつて社会調査実習として実施した首都圏の公営団地調査に立ち返り、高齢化・独居化が進む団地の自治会長へのインタビュー記録を、質的統合法を用いて「読み直す」試みである。支え合いの持続可能性というテーマを絞って俯瞰する読み方、老いゆく過程の伴走者という問いに沿って要約する読み方、そして語りをいったん単位化=脱文脈化したうえで再文脈化する読み方。三つの読み方が段階的に示されるなかで、とりわけ最後の分析からは、「人は変われる」という主題の変奏ともいうべき、語りに潜む隠れた文脈が浮かび上がってくる。データを分解することが、かえって一人の語り手の小宇宙を照らし出すという逆説を示した、方法論的にも刺激的な論考である。
 
これに対して第21章 (井口高志) は、成功譚ではなく困難の記録である。血友病患者の家族である女性たちの経験をめぐる、当事者・看護学者・社会学者による学際的な共同研究に質的統合法を適用しようとして直面した戸惑いが、包み隠さず記述される。研修で範囲の整えられたデータが「人工のプール」だとすれば、立場もトピックの比重も異なる協力者たちの膨大な語りからなる自前の調査データは「自然の海」である。単位化する範囲をどう定めるか、どのケースから取り組むか、限られた時間のなかで何が可能か。方法論の教科書が通常語らない導入期の逡巡を丁寧に言語化したこの章は、これから自分のデータでこの方法を試そうとする読者にとって、最良の伴走記となるだろう。
 
本書の射程は社会学にとどまらない。第24章 (小西祥子) は、人類生態学の立場から、妊孕力――妊娠し出産する能力――の決定要因としての性行動に関するフォーカスグループインタビューの分析に、質的統合法を活用する。量的研究を専門としてきた著者が、研究テーマの発見、量的データの意味や背景の理解、質問票の作成といった局面でこの方法の有用性に気づいていく過程は、量的研究と質的研究の連携という本書全体の主張を具体的に裏づけている。現地に行くまで何を研究するか決まっていない「犬も歩けば棒に当たる」式のフィールドワークにおいて、自ら問いを見つけるための「野外科学」の方法という位置づけも、川喜田の学問構想の核心を突くものであり、問題解決ばかりが重視され問題発見が軽んじられがちな今日の研究環境への批評としても読める。
 
第26章 (大月敏雄) は、建築計画学における住民参加のまちづくりの歴史を1990年代の都市計画法改正とワークショップ手法の普及から説き起こし、著者が1995年にカンボジアのスラム改善事業で目撃した「衆知を集める」手法と、南アジアで展開された参加型農村調査法 (PRA)、そしてKJ法との思想的な共通性を探る。川喜田が『パーティー学』で提唱したのは、多数決によって少数意見を切り捨てる「アンケート民主主義」ではなく、全員がヴィジョンの創造過程に参画する「衆知を集める民主主義」であった。この構想に照らすとき、KJ法が単なるデータ整理の技法ではなく、参加と合意形成の思想であることが鮮やかに示される。本書第4部の「寄りあいワークショップ」のルーツを知るうえでも重要な章である。
 
社会学の各章を通読して印象的なのは、質的統合法が徹底して共同の営みとして実践されていることである。研修では、同じデータの単位化とピックアップを参加者が共同で行ったうえで、各自がラベル広げから図解化までを経験し、出来上がった複数の全体図を互いに閲覧しあう。その過程で、同じデータからでも分析者の問題意識に応じて異なる構造が立ち上がることが体感され、逆に、手順の可視性ゆえに、結論に至るプロセスを他者が追認・検証できることも実感される。主観性を排除するのではなく発揮させながら、なお客観性を担保するというこの方法の核心は、こうした共同実践のなかでこそ腑に落ちる。実際、東京大学での研修は単なる講習に終わらず、参加教員による共同の学会報告と論文執筆という研究成果にまで結実しており、また質的統合法を用いた卒業論文が優秀論文賞 (クローネ賞) を受賞するなど、学びと研究が相互に触発しあう場が生まれつつある。
 
このほか本書には、質的統合法をいち早く受け入れ発展させてきた看護学分野からの6篇 (第13章~第18章、正木治恵ほか)、人口人類学からセックスレス現象を分析した論考 (第25章)、大学教育・初年次教育への展開を論じた2篇 (第27章・第28章) が収められており、事例は猫の看取りから団地の自治会、血友病患者の家族、性行動、カンボジアの村落にまで及ぶ。この広がりこそ、質的統合法が特定の分野の所有物ではなく、実験科学における実験スキルと同じように訓練によって磨かれるべき、分野横断的な「学術スキル」であることの何よりの証左であろう。
 
データの恣意的な選択と解釈を許さず、渾沌をして語らしめる。そして、データと徹底的に向き合った先に、既存の概念では捉えられなかった構造が立ち上がる瞬間の、言葉にしがたい深いよろこびがある。生成AIが情報処理を席巻する時代だからこそ、人間の側の発想と統合の技法を鍛えることの意味は、むしろ増しているのではないか。質的研究の科学性とは何かを問い、自らのデータに新しい光を当てたいと願うすべての学生・研究者に、手に取っていただきたい一冊である。
 
 
執筆者 (東大教員) のメッセージ
東京大学大学院人文社会系研究科・教授・祐成保志
聞き手は、あらかじめ知ろうとしていたことに注意を向けがちである。質的統合法には、こうした情報の選別を抑制し、語り手が発する小さくても大事なメッセージを聞き漏らさないようにするための工夫が施されている。それは、真の意味で対話的なコミュニケーションを促進する技法と言えるだろう。
 
東京大学大学院人文社会系研究科・教授・井口高志
私の章では、質的統合法を実際に行う一歩手前でどうやったらうまくいくんだろうかとうだうだと試行錯誤している様子を書いています。研修を受けたものの、なかなか行うは難しですが、確かに、一度この方法を体験してみると、膨大なデータを前にしてなんとなく行けるんじゃないか、という希望も見えてきます。まだまだ初心者の私が偉そうなことは言えませんが、皆さんもぜひ一緒に質的統合法の海に飛び込んで泳いでいきましょう。
 
東京大学大学院工学系研究科・教授・大月敏雄
私はこの執筆者群の中で珍しく工学系なのであるが、工学系の中でも計画という領域があり、自然科学系の知識やメカニズムと、複雑極まりない人間のメカニズムにどう折り合いをつけて眼の前の課題を解決していくかというミッションをもっている。こう考えたとき、質的統合法は、自然科学と社会科学の折り合いを見つける技法という側面をもっており、どの学問分野にも新たな洞察を導き得る方法論でもある。
 
東京大学大学院医学系研究科・准教授・小西祥子
人間の研究に興味のある方には是非、「質的統合法」を読んで頂きたいです。人に話を聞いたり観察したりしてデータを集めるのは楽しいものの、まとめるのに苦労することはよくあります。そのような時に役立つ本です。
 
東京大学大学院人文社会系研究科・教授・赤川学
質的統合法は、知的な興奮と開放感を同時に味わえます。表札集めや空間配置では「己を空しうしてデータをして語らしめる」経験をし、表札づくりや見取図づくりでは、時間を忘れるほど「全集中」し、本図解が完成したときには、「あ、わかった」という閃きと、やりきった開放感に包まれます。これほどやりがいのある研究法を、多くの人に知ってもらいたいと思います。
 
*****
 
日本質的心理学会第23回大会「語りを視る、黙を聴く」において、刊行を記念したシンポジウムが開催されます。関心のある方はお越しください。
https://jaqp.jp/conference/jaqp2026/
日時:2026年11月1日(日)15:30~17:30
会場:東京大学本郷キャンパス法学政治学系総合教育棟(法学部ガラス棟)404 教室
主題:質的研究における「質的統合法(KJ 法)」の可能性ーー心理学・看護学・社会学・人類生態学の分野(SE08)
企画・話題提供 山浦晴男(千葉大学大学院)
司会 税所真也(明治大学)
話題提供 やまだようこ(立命館大学 OIC 総合研究機構)
話題提供 正木治恵(千葉大学大学院)
話題提供 赤川学(東京大学大学院)
話題提供 祐成保志(東京大学大学院)
話題提供 小西祥子(東京大学大学院)
 

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 助教 税所 真也 / 2026)

本の目次

まえがき(正木治恵・赤川学)
 
 第1部 質的研究法は科学的研究法である
 
第1章 質的研究における質的統合法の姿  山浦晴男
1 未来の大学を先取りした「移動大学」 
2 KJ 法に準拠した質的統合法
3 目で見る質的統合法の手順 
4 質的統合法の実例
5 質的統合法を用いた場合と用いない場合の違い
6 KJ 法に対する誤解“なんちゃってKJ 法”
 
第2章 質的統合法に基づく科学的研究の理論化の試み  山浦晴男
1 科学としての質的研究
2 データは4重構造をなす
3 主観性の発揮と客観性の担保
4 問題意識・実態把握・考察の関係
5 世界的な業績をなした研究者の研究観
 
第3章 KJ 法とそれに準拠する質的統合法に内在する思想  山浦晴男
1 川喜田二郎の生命論的世界観の発露
2 西田幾多郎の生命哲学の継承
3 今西錦司の生物学の継承
4 プラグマティズムとの共通性
5 マイケル・ポランニーの科学哲学との共通性
6 付論:「実感科学」の提唱
 
 第2部 質的統合法の研究ノウハウ
 
第4章 研究のマネジメント  山浦晴男
1 現場における創造的な問題解決
2 理論化の研究と技術化の研究
3 実態把握における質的研究と量的研究の連動の重要性
4 2つのマネージメント論
 
第5章 野外調査(現場調査)からのデータ化のノウハウ  山浦晴男
1 問題意識の形成に基づく解明課題の焦点化
2 野外調査(現場調査)と記録
3 データの単位化
4 データの精選
 
第6章 質的統合法の統合ノウハウ  山浦晴男
1 質的統合法の手順
2 統合ステップ1:ラベル広げ
3 統合ステップ2:ラベル集め
4 統合ステップ3:表札づくり
5 統合ステップ4:グループ編成
6 構造化ステップ1:見取図作成(空間配置・図解化) 
7 構造化ステップ2:本図解及び細部図作成
8 叙述化ステップ:口頭発表と文章化 
9 パソコンでの作業のやり方 
 
 第3部 質的研究における考察法
 
第7章 実態把握と考察の峻別の必要性  山浦晴男
1 考察の発生要因
2 考察の出発点は研究疑問
3 考察の思考の仕組みと科学性の担保
 
第8章 考察法としてのロジカル・ブレスト法  山浦晴男
1 ロジカル・ブレスト法の原理
2 ロジカル・ブレスト法の思考展開
3 Excel を用いた思考の展開方法
4 ロジカル・ブレスト法の基本要領
5 教材事例
6 ロジカル・ブレスト法の応用
 
第9章 考察法としてのコスモス法  山浦晴男
1 企画発想法から始まったコスモス法
2 コスモス法の原理
3 コスモス法の基本要領
4 考察事例と考察法研修の感想 
 
 第4部 質的統合法を用いた社会実践
 
第10章 地域社会の課題解決  山浦晴男
1 急務となっている地域再生 
2 地域再生の要件
3 地域と行政の関係の再構築 
 
第11章 寄りあいワークショップの進め方  山浦晴男
1 地域社会における問題解決アプローチ
2 外の目による事前調査 
3 第1 回ワークショップ 
4 第2 回ワークショップ 
5 第3 回ワークショップ 
6 実践と振り返り,次計画の立案
 
第12章 社会実践例  山浦晴男
1 地域経営の手綱をとって取り組む地域再生:徳島県阿南市加茂谷地区
2 住民主体の地域計画の立案と実践:鹿児島県西之表市
3 原発被災者の生活再建に向けた取り組み:福島県富岡町 
4 「 地域活性化人材育成事業」の基礎調査の分析:山梨県立大学・山梨大学の文部科学省補助事業
5  14 年間継続している「問題解決法」研修:聖マリアンナ医科大学病院看護部
 
 第5部 質的統合法と看護学
 
第13章 看護研究における質的統合法の学問的価値  正木治恵
1 「生きている人間」を理解する術としての質的統合法
2 全体像を作る術が確立された質的統合法
3 質的統合法を用いた研究展開の多様性
4 日本の質的統合法から世界展開へ 
5 おわりに
 
第14章  質的統合法を用いた取り組みから見えた看護学分野での活用可能性  佐藤悦子
1 質的統合法の看護実践への活用 
2 質的統合法の手法を用いた「寄りあいワークショップ」事例紹介
3 質的統合法の手法を用いて「寄りあいワークショップ」にかかわるときに大切にしたいポイント
4 地域看護学領域における質的統合法活用への展望
 
第15章  急性期看護学の高度看護実践における質的統合法の活用と可能性  遠藤みどり
1 大学院看護学研究科における質的統合法の導入,適用,応用の段階的な教育
2 術後疼痛管理に関する先駆的研究における質的統合法の活用
3 術後疼痛管理研究会の活動推進に向けた研究
4 大学院看護学研究科の修士論文での質的統合法の活用
5 修士論文の指導上のポイントと留意点 
6 おわりに
 
第16章 質的統合法の魅力と課題と分析のコツ  清水安子
1 博士課程修了者からみた質的統合法の魅力と課題
2 質的統合法の分析のコツ
 
第17章 看護実践のリアルを言葉にする  小林裕美
1 質的統合法との出会いと現在の位置づけ
2 表札づくりの中での発見
3 質的統合法をインストラクションすることからの学び
4 質的統合法を看護研究に活かす上での今後の課題 
 
第18章 看護の現象に潜む論理構造の発見から新たな探究へ  林 優子
1 質的統合法とW 型問題解決モデル
2 質的統合法の実用にむけて
3 看護研究への活用の実際
4 おわりに
 
 第6部 質的統合法と社会学
 
第19章 KJ 法の文化伝播  上野千鶴子
1 京大から東大への文化伝播
2 質的研究の台頭
3 質的統合法とうえの式質的分析法 
 
第20章  質的統合法を社会学の教育現場に導入する過程とその実践的工夫  税所真也
1 質的統合法導入の経緯
2 社会学教員がKJ 法指導者を見つけるまでの過程
3 社会学研究室における質的統合法研修会の開催
4 2023 年度から社会調査実習に質的統合法を導入
5 上野千鶴子と質的統合法初心者研修会を開催
6 教育・研究・実践:今後どのように活用していくことが可能か
 
第21章 質的統合法実践の海に飛び込むために  井口高志
1 はじめに
2 質的統合法と出会う
3 血友病と周辺女性の経験に関する共同研究プロジェクト
4 質的統合法の適用を考えてみる
5 実際の作業手順
6 おわりに:データの海に飛び込む
 
第22章 質的統合法を用いてインタビューを読み直す  祐成保志
1 地域コミュニティ調査におけるインタビュー
2 調査のフィールド:高齢化・独居化する団地
3 テーマを絞った俯瞰:支え合いの持続可能性
4 問いに沿った要約:老いゆく過程の伴走者
5 脱文脈化と再文脈化:「人は変われる」という主題の変奏
6 むすび
 
第23章 社会学における質的統合法の可能性  赤川 学
1 質的統合法との出逢い
2 社会学の研究手法:「社会調査の何でも屋」を目指して
3 質的統合法の「凄み」
4 山浦晴男作成の見取図
5 猫という存在:既存のKJ 法による分析
6 質的統合法による再分析
7 既存のKJ 法と質的統合法の比較
8 社会学における今後の展望
 
 第7部 質的統合法と人類学,建築学,教育学
 
第24章 人類生態学における質的統合法の活用の可能性  小西祥子
1 フィールドワークにおける質的統合法の活用の可能性 
2 ヒトの妊孕力と性行動
3 性行動に関するフォーカスグループインタビュー
 
第25章 人口人類学における質的統合法の活用  森木美恵
1 人口人類学と手法的な課題
2 セックスレス現象と生殖のセックスレス化の兆し
3 質的統合法によるフォーカス・グループ・ディスカッション分析
4 まとめにかえて:人口人類学における質的統合法の可能性
 
第26章 まちづくりの手法と寄りあいワークショップのルーツKJ 法  大月敏雄
1 1990 年代の住民参加のまちづくりとワークショップ
2 カンボジアのスラム改善事業で目撃した「衆知を集める」方法
3 PRA(Participatory Rural Appraisal)とKJ 法
 
第27章 大学教育分野における質的統合法の需要と有用性  林 透
1 はじめに:大学教育改革がもたらしているもの
2 質的統合法を教え,学ぶ価値
3 思考法・発想法の本質:西田幾多郎・川喜田二郎・野中郁次郎
4 大学教育におけるサービスラーニング実践事例:内発的地域生成に着目した取り組み
5 大学における文理融合・STEAM 教育としての実践事例
6 大学の学士課程教育における質的統合法基礎科目の導入事例
7 おわりに:現在の課題と未来への展望
 
第28章 KYKKの現実と質的統合法の未来  松本美奈
1 広がるKYKK
2 大学の変容:量と質の視点から
3 橋を架ける
 

関連情報

推薦文 (帯文より):
(佐藤先生)広さに惑わず、多さに頼らず、抽象の適切と仮説の豊饒を生みだす。自分を見失わず、衆の知を寄りあわす「データの質」の解読法。

(小島先生)命への深い思いを分ち合う多くの患者と看護師。どうすればその思いをつかめるのか? その方法への答が本書にもあった。
 
研究会:
NEW! 日本質的心理学会第23回大会「語りを視る、黙(しじま)を聴く」 (日本質的心理学会 第23回大会準備・実行委員会事務局 2026年10月31日、11月1日)
https://jaqp.jp/conference/jaqp2026/
 
第18回研究集会「質的統合法の原点回帰」 (看護質的統合法 (KJ法) 研究会 甲信越支部 2026年3月21日)
https://www.n-kj.jp/files/meeting/meeting_18.pdf
 
関連記事:
組織学・大学改革のための創造的思考法
創造的思考法「質的統合法(KJ法)」が、先の見えない時代に活きる 山浦 晴男(千葉大学大学院看護学研究科 特命教授、情報工房 代表) (『先端教育』 2020年12月号)
https://www.sentankyo.jp/articles/d7f982c7-bb8e-44f7-861d-47a6d234ce7b
 

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