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新役員等の略歴と就任挨拶

盾もしくは防波堤として

東京大学は、国際卓越研究大学の第2期公募に応募し、現在、継続審査の段階にあります。昨年度は、執行役・副学長として国際卓越研究大学構想の取りまとめを担当いたしましたが、認定を得られず、本当に申し訳なく思っています。審査を通過し、今度こそ認定を得られるよう、取り組んでまいります。みなさまの引き続きのお力添えをお願いします。

今年度より本学では、教育研究の高度化と持続的発展に向け、全学的な戦略の策定および実施を担う「学術経営本部」が新設されました。設置に際し、このたび副本部長として、GRI・研究部門担当のシニアバイスプロボストを拝命しました。本学の研究に寄せられる期待に応えるべく、研究環境の整備に力を尽くしてまいります。

プロボストという語は、ラテン語の「前に置かれた者」に由来するとされています。今後も東京大学は、研究教育を取り巻く厳しい環境のなか、さまざまな困難に直面することがあるかもしれません。前面に立つプロボストを支え、いかなるときも本学の盾もしくは防波堤として研究者とスタッフを守り抜くことが使命と認識しています。

もとより至らぬ点は多いですが、今後とも忌憚のないご意見・ご提案を期待しています。

理事・副学長 玄田有史 GENDA Yuji
玄田有史の顔写真
昭和63年3月
本学経済学部卒業
平成4年3月
本学経済学研究科第Ⅱ種博士課程退学
平成19年4月
本学社会科学研究所教授
令和3年4月
本学社会科学研究所長
令和6年4月
本学副学長
令和7年4月
本学執行役・副学長
専門分野:
労働経済学
研究内容:
1) Genda, Yuji. Kondo, Ayako & Ohta,Souichi. “Long-term Effects of a Recession at Labor Market Entry in Japan and the United States.” Journal of Human Resources 45 (2010):157-196.2) Genda, Yuji.“Jobless Youths and the NEET Problem in Japan,” Social Science Japan Journal, 10 (2007): 23-40.
趣味:
散歩すること、ラジオを聴くこと

世界の公共性に奉仕する東京大学のために

東京大学憲章の冒頭に、東京大学が「世界の公共性に奉仕する」ことが謳われています。このフレーズは、真摯な研究で世界の公共性に奉仕しないものがあるのかと問えば、当然のことを語るだけのように思われます。しかし、公共性とは何かは、それ自体が研究テーマであり、永遠の問いでもあります。私の考えるところ、自由な個人が社会を形成する何段階・何重ものプロセスが、世界の公共性に必須の要素です。こうした世界の公共性を構成する複雑なプロセスを認識し、こうしたプロセスの中における研究活動の役割と大学組織の運営のあり方を考えることが、東京大学が世界の公共性に奉仕するための基礎になります。

私が担当する法務・ガバナンスは、既存の規則による取締りのように誤解されることがあります。しかし、法務・ガバナンスは、世界の公共性のために、UTokyo Compass 2.0が標題とする「対話」により不断に創っていくものです。現実社会には、世界の公共性に奉仕する営為とは逆の傾向も見られ、こうした営為を意図的に妨げる動きさえ見られなくはありません。東京大学が世界の公共性に奉仕しているかという点についても、残念ながら厳しい目が向けられています。私自身は微力ですが、皆さんと力を合わせて、こうした困難の中にあるからこそ、東京大学憲章の基本に立ち返り、対話による創造の仕事ができればと思います。どうかよろしくお願いいたします。

理事・副学長 山本隆司 YAMAMOTO Ryuji
山本隆司の顔写真
昭和63年3月
本学法学部卒業
昭和63年4月
本学法学部助手
平成3年8月
本学法学政治学研究科助教授
平成16年9月
本学法学政治学研究科教授
令和4年4月
本学法学政治学研究科長・法学部長
令和7年4月
本学運営方針会議委員
専門分野:
行政法
研究内容:
1) 山本隆司『行政上の主観法と法関係』有斐閣、2000年 2) Yamamoto, Ryuji. “Die demokratische Legitimation der Verwaltung in Japan.“Jahrbuch des öffentlichen Rechts N.F. 65 (2017): 849-876.
趣味:
音楽鑑賞

CRO 就任にあたって

新たに設けられた理事・CRO(Chief Risk Officer)に今般就任しました。

1986年3月に本学法学部を卒業し、当時の三菱銀行に入行。銀行では主に企画部門、海外業務、リスク管理を経験し、海外生活は留学に加え、シカゴ、バンコク、ロンドンと計13年。銀行業務は常にリスク管理と背中合わせですが、この分野では融資企画部長のほか三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)全体のリスク管理を統括する「グループCRO」も約3年間務めました。また、その後MUFG内で証券会社に移り、銀行とは別の角度から金融業務に携わる機会も得、来し方を振り返ると、まずは充実したビジネスマンとしての日々でした。

卒業して40年。今度は大学経営に関わる立場で東大に戻ってくるとは夢にも思わず、不思議なご縁を感じています。久し振りに本郷に足を踏み入れましたが、キャンパスの光景にも心なしか学部生時代とは異なった印象を抱きます。

日本の大学ではCROはまだ馴染みがないかもしれません。一般に最高リスク責任者と訳されますが、その守備範囲、リスク管理・コンプライアンスに係る重点課題は組織によって異なります。CROとして金融機関時代とは異なるテーマにも向き合うことになると思っており、本学の課題をしっかり把握し、皆さんからご協力を頂きながら大学に相応しいリスクガバナンス体制構築のため尽力して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

理事 桑原昌宏 KUWAHARA Masahiro
桑原昌宏の顔写真
昭和61年3月
本学法学部卒業
昭和61年4月
三菱銀行入行
平成7年5月
カリフォルニア大学バークレー校MBA修了
平成24年6月
三菱東京UFJ銀行 執行役員 融資企画部長
平成26年5月
同 執行役員 国際企画部長
平成27年5月
同 執行役員 欧州本部 副本部長(特命担当)
平成28年5月
同 常務執行役員 欧州本部長
令和元年6月
三菱UFJ銀行取締役常務執行役員CRO・主たる審査所管役員 兼 MUFG執行役常務グループCRO
令和2年4月
同 取締役専務執行役員 兼 MUFG執行役専務
令和4年4月
三菱UFJ証券ホールディングス取締役副社長 兼 三菱UFJモルガン・スタンレー証券副社長
趣味:
自己流のピアノ

東大がその使命を果たすために全力を尽くす

この度、理事(企画調整、事務組織、人事労務、環境安全衛生)を拝命しました。これまで、官公庁では、文部科学省、内閣府、在ブラジル日本国大使館において、国公私立大学の制度・予算、研究・イノベーション力の向上、国際協力関係の向上などに携わってきました。また、本学への勤務はこれが3回目となります。職業人生において今日の私があるのも、本学における勤務で、世界をリードする研究者、教育者たる先生方からの厳しくも温かい教えと、熱意と実力ある職員の方々との協働があってこそと、感謝しております。

東京大学は、現在、社会から非常に厳しい批判をいただき、将来への発展に向けた活動基盤が本当に備わった組織に変わるのか、社会から注視されています。このような状態に至ったプロセスについては、外部の弁護士の方々によるプロセス検証委員会で検証いただきました。本学の素晴らしい学生や教職員の方々が、何らかのリスクにさらされた際に、全学でしっかり対応できるよう、そして、社会からの信頼を取り戻すことができるよう、総長はじめ理事や執行役、副学長、監事一同、全力でガバナンスの強化に向けた改革を進めようとしているところです。そんな困難な時期での赴任となり、今こそ、職業人としてここまで自分を育ててくださった東京大学に御恩返しをするときと、強い気持ちで仕事に臨んでおります。

東京大学の使命を果たすため、学生さんや教職員の方々が伸び伸びと安心して活動できる環境の構築に向けて、力を尽くします。何卒よろしくお願い申し上げます。

理事 井上睦子 INOUE Mutsuko
井上睦子の顔写真
平成8年3月
学習院大学法学部卒業
平成8年4月
文部省入省
平成22年4月
在ブラジル日本国大使館一等書記官
平成25年1月
本学国際部長
平成26年4月
文部科学省大臣官房国際課国際戦略企画室長
平成28年7月
同高等教育局大学振興課大学改革推進室長
平成29年7月
同高等教育局私学部参事官
平成30年10月
同高等教育局私学部私学助成課長
令和2年4月
同初等中等教育局幼児教育課長
令和3年1月
内閣府参事官(オープンイノベーション担当)(政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付)
令和3年7月
文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課長
令和5年7月
同高等教育局国立大学法人支援課長
令和7年7月
同科学技術・学術政策局政策課長(命)科学技術・学術総括官
趣味:
海釣り、音楽鑑賞・演奏(ピアノ)

世界に冠たる高度人材育成のための大学教育環境の整備

この度、執行役・副学長(バイスプロボスト(教育)、コミュニケーション戦略)を拝命いたしました。大学院改革、入試企画室、コミュニケーション戦略本部、WPIを担当いたします。昨年度まで、理学系研究科・理学部長と総長特任補佐(副学長待遇)として、教育・研究活動の環境の向上に携わってまいりました。理学系では、共同指導型博士ダブル・ディグリー・プログラムの実装をはじめ、グローバルサイエンスコース、国際卓越大学院コース、グローバルスタンダード理学など国際教育プログラムの充実、各種海外インターンシップの拡充などに取り組んでまいりました。また、「グリーントランスフォーメーション(GX)を先導する高度人材育成(SPRING GX)」の事業統括として、博士課程学生の支援を行っております。目を輝かせて研究に取り組む学生たちに接する中で、本学の未来への確かな可能性と希望を強く感じております。

今後は、総長、相原理事、森山理事、玄田理事のもと、バイスプロボスト(教育)として、世界に冠たる高度人材育成の教育環境の整備に努めてまいりたいと存じます。また、入試企画室長として、学部入試、大学院入試の未来を検討すると共に、コミュニケーション戦略本部長として、岩村理事のもと、東京大学の魅力と本学の教育・研究の成果を、国内外へ効果的に発信してまいりたいと存じます。

何卒宜しくお願い申し上げます。

執行役・副学長 大越慎一 OHKOSHI Shinichi
大越慎一の顔写真
平成元年3月
上智大学理工学部卒業
平成7年3月
東北大学大学院理学研究科博士課程修了 博士(理学)
平成7年4月
財団法人神奈川科学技術アカデミー研究員
平成9年9月
本学先端科学技術研究センター助手
平成12年9月
同先端科学技術研究センター講師
平成15年4月
同先端科学技術研究センター助教授
平成16年7月
同大学院工学系研究科助教授
平成18年4月
同大学院理学系研究科教授
専門分野:
物理化学、物性化学
研究内容:
1)Ohkoshi, Shin-ichi. Nakagawa, Kosuke. Imoto, Kenta. Tokoro, Hiroko. Shibata, Yuya. Okamoto, Kohei. Miyamoto, Yasuto. Komine, Masaya. Yoshikiyo, Marie. Namai, Asuka.“A photoswitchable polar crystal that exhibits superionic conduction” Nature Chemistry 12 (2020): 338–344. 2)Ohkoshi, Shin-ichi. Takano, Shinjiro. Imoto, Kenta. Yoshikiyo, Marie. Namai, Asuka. Tokoro, Hiroko.“90-degree optical switching of output second-harmonic light in chiral photomagnet” Nature Photonics 8 (2014): 65–71.
趣味:
読書

学術経営インテリジェンス機能の確立に向けて

このたび、学術経営インテリジェンスなどを担当する執行役・副学長を拝命致しました。

これまで総長特別参与として、ビジョン形成、アカウンタビリティ、アントレプレナーシップ教育等を担当してきました。それらに携わるなかで、学外の場では、ますます深刻化する地球的課題の解決に関し、グローバルな文化・経済の交差点であるアジアで培われてきた本学固有の知に対する国際社会からの期待の大きさを感じるともに、学内では、独創的な研究と社会的起業によって課題解決に貢献しようとする若い人材のコミュニティが大きく拡がっていくのを目の当たりにしてきました。

今、本学は、喫緊の社会的デマンドに応え、現場に蓄積された力を最大限に引き出せるようにする環境整備を一挙に進めるタイミングと考えます。その際、藤井総長のコンセプトである「責任ある自在化」が鍵となります。

それを牽引する組織として学術経営本部が設置されたところであり、仕組みの整備も進みつつあります。学術経営を効果的に駆動させるためには、世界の先端研究の潮流や新領域の創成、それらを主導している人材、あるいは課題解決に欠かせない知見の組み合わせなど、知の供給と需要に関する情報のインプットが欠かせません。実空間で活躍する専門家経由で入手する手触り感のある情報と大規模な学術データ等の分析から得られる知見とを適切に組み合わせた学術経営インテリジェンス機能の確立に微力を尽くしてまいりたいと思います。

執行役・副学長 坂田一郎 SAKATA Ichiro
坂田一郎の顔写真
平成元年3月
本学経済学部卒業
平成9年5月
ブランダイス大学国際経済・金融学大学院修了
平成15年11月
本学より博士号(工学)取得
平成25年7月
本学工学系研究科教授
平成26年4月
本学政策ビジョン研究センター長兼務
令和2年4月
本学副学長
令和3年4月
本学総長特別参与
専門分野:
計算社会科学、科学の科学
研究内容:
1) Higashide, Noriyuki, Asatani, Kimitaka, Sakata, Ichiro. "Quantifying advances from basic research to applied research in material science." Technovation 135 (2024): 103050. 2) Miura, Takahiro, Asatani, Kimitaka, Sakata, Ichiro. "Revisiting the Uniformity and Inconsistency of Slow-cited Papers in Science." Journal of Informetrics 17 (1) (2023): 101378.
趣味:
古代史に関する読書と史跡巡り

みんなの「居心地のよさ」からはじまる共創

このたび多様性包摂共創センター(IncluDE)・ダイバーシティ教育・SOGI多様性担当の副学長を務めることとなりました理学系研究科の佐藤薫です。歴史と伝統ある本学において、このような役割を担う機会をいただきましたことに、心より感謝申し上げますとともに、その責任の重さを改めて感じております。

私はこれまで、南極大型レーダーや高解像度モデルを用いながら、宇宙の下端と呼ばれる高度約100kmにまで広がる大気の大循環やこれを駆動する大小様々な大気波動の物理学について研究を進めてきました。日本南極地域観測隊の越冬隊員として、厳しい環境で約1年過ごす中、時に支えられる側となり、また別の場面では支える側になるという、互いの弱み強みを包摂して協働する重要性を実感しました。

こうした経験から、多様な背景や個性を持つ人々が互いを尊重しながら対話し、それぞれが能力を活かせる環境や意識の大切さを強く感じております。IncluDEのセンター長として、本学が掲げるUTokyo Compassの三つの視点の一つである「場をつくる」、すなわち「世界の誰もが来たくなる大学」の実現に向け、どなたにとっても居心地がよく、自らの力を存分に発揮できる環境を整えていきたいと考えております。多様性と包摂は、大学という集団全体としての視野を広げ、新たな発想や価値の創出につながるものだからです。

微力ではございますが、本学のさらなる発展に向けて、みなさまとともに取り組んでまいります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

副学長 佐藤 薫 SATO Kaoru
佐藤 薫の顔写真
昭和59年3月
本学理学部卒業
昭和61年3月
本学理学系研究科修士課程修了
平成3年3月
京都大学理学研究科博士課程修了 理学博士
平成5年4月
本学気候システム研究センター助手
平成7年4月
京都大学理学研究科助手
平成11年12月
国立極地研究所北極圏環境センター助教授
平成16年4月
国立極地研究所研究教育系助教授
平成17年10月
本学理学系研究科教授
平成23年4月
本学総長補佐
令和2年4月
本学総長特任補佐
令和5年4月
本学理学系研究科副研究科長
専門分野:
大気物理学
研究内容:
1) Sato, K., 他9名, Program of the Antarctic Syowa MST/IS Radar (PANSY) (2014), J. Atmos. Solar-Terr. Phys., 118, PartA, 2-15.  2) Sato, K., 他28名 (2023), Interhemispheric Coupling Study by Observations and Modelling (ICSOM): Concept, Campaigns, and Initial Results. J. Geophys. Res. Atmos., 128, e2022JD038249.
趣味:
ピアノ

「世界の東京大学」となるために

「本学が危機的な状況にある」と、藤井輝夫総長が認識を示されました。多くの教職員が同様の危機感を抱いたものと思います。私自身も、東京大学の職員として37年を過ごす中で、これまでに経験したことのない状況に直面していると感じています。

大学という最高学府におけるリスクとは何かを考えると、教育・研究、社会貢献といった本来の使命に関わる領域だけでも、さまざまなリスク因子が思い浮かびます。さらに、人事、財務、施設といった法人業務も含め、本学のあらゆる活動にリスク因子が内在しており、挙げだせばきりがありません。こうしたリスクの顕在化を全て回避することは、現実には難しいでしょう。しかしながら、リスクの大小にかかわらず、その顕在化を想定し、その時に何をなすべきかを日頃から考えておくことにより、被害を最小限にとどめることは可能であるはずです。外部の委員会は、危機意識が不十分であったことなどを指摘していますが、この指摘は、本学の教職員一人一人が自らの課題として受け止めるべきものと認識しています。

このような状況の中、私はリスク・コンプライアンスを担当する副理事を拝命し、リスク・コンプライアンス統括部長を兼務することとなりました。微力ではございますが、東京大学のレピュテーションの回復に努めるとともに、「世界の東京大学」となるための教育・研究を支えるべく、全力を尽くす所存です。何卒よろしくお願い申し上げます。

副理事 大久保伸一 OKUBO Shinichi
大久保伸一の顔写真
昭和63年5月
本学採用
平成25年12月
教養学部等総務課長
平成30年4月
経営企画部秘書担当課長
令和2年4月
経営企画部経営戦略課長(兼務)
令和3年4月
法学政治学研究科等事務長
令和5年4月
教養学部等事務部長
趣味:
車、カメラ

新しいことへの挑戦

このたび、副理事としてプロボストオフィスと研究推進を担当することになりました渡邉です。

「プロボスト」という言葉は耳慣れない方も多いと思いますが、私もその一人でした。本学の規則によるとプロボストの職務とは「東京大学の教育研究に係る企画、戦略及び運営並びにそれらに必要な学内資源の管理及び配分を統括する」となっています。本学では本年度より新たに設置されたものであり、教学運営に関する権限の多くが総長より委譲されています。

このような新しい体制のもとで業務に携わることはたいへん身の引き締まる思いです。

重要な職責を担うプロボストを支えるプロボストオフィスの一員として、職務に邁進する所存です。

私自身は本年3月に役職定年を迎え、4月から副理事として再出発することとなりますが、新しいことへの挑戦であると胸を弾ませております。このような貴重な機会を与えていただいたことに感謝し、重責を果たすために全力を尽くしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

副理事 渡邉慎二 WATANABE Shinji
渡邉慎二の顔写真
昭和59年4月
本学採用
平成26年4月
本部渉外・基金課長
平成28年4月
工学系・情報理工学系等財務課長
平成31年4月
宇宙線研究所事務長
令和4年4月
理学系研究科等事務部長
令和6年4月
工学系・情報理工学系等事務部長
趣味:
街なか散策
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退任の挨拶

研究力強化と基盤整備に取り組んだ5年間

前理事・副学長 齊藤延人

理事・副学長としての5年間、格別のご支援とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。私は主として研究、懲戒、病院を担当し、研究推進、大学院改革、環境安全衛生、研究インテリジェンス、研究インテグリティ、IRデータ、WPI、図書館、総合研究博物館など幅広い分野に携わってまいりました。

着任当初はコロナ禍の最中であり、学内ワクチン接種拠点の設置・運営が大きな課題でしたが、関係部署の皆さまのご尽力により円滑に進めることができました。研究面では、国際卓越研究大学への申請を見据え、学術経営本部や研究インテリジェンス体制の整備に向けた検討、研究DXの推進に取り組みました。また、研究インテグリティやセキュリティ対応、DORA署名、Kavli IPMUやIRCN等のWPI拠点の活動支援、新世代感染症センターの設置、大学院支援プログラムとしてWINGSやWISEに加え、SPRING GX、BOOST NAIS等によるその拡充なども重要な成果であったと考えております。

懲戒手続の迅速化や、病院運営における財務改善などまだまだ課題も残っていますが、多くの方々に支えられ職責を全うできましたことに深く感謝申し上げるとともに、本学のさらなる発展を心より祈念し、退任のご挨拶とさせていただきます。

学生支援、入試・高大接続、研究倫理、評価

前理事・副学長 藤垣裕子

標記の仕事を5年間務めました。

最も大変だったのは、コロナ禍下の入試の追試作成問題です。「罹患者の受験機会は、これを保障する」とだけ11月に公表し、2月に共通テストを使うことを公表、3月の記者発表では30ページにわたるQ&Aを準備しました。また20年ぶりの学費改定を受けて、学生の声を聞く制度検討WGを立ち上げ、座長の真船先生におまとめいただきました。2022年東京六大学野球始球式で投げたこと、2023年度主幹校としての七大戦優勝は、忘れがたい思い出です。

研究倫理では、UTokyo Compassおよび第4期中期目標中期計画にある「ELSIおよびRRI」を各部局のセミナーに埋め込むために、9月の全学セミナーの実施、次の年の2-3月に各部局の発表会、その中のグッドプラクティスを次の9月の全学セミナーで紹介、というループを4回まわしました。各部局の間での相互の学びあい、担当の先生方の吸収力と応用力の高さには目を瞠りました。

本学には各分野の最先端の学問を展開している魅力的な先生がたが多くいます。その先生がたの研究がさらに発展するように、国際卓越研究大学の審査が無事通過し、過渡期の制度設計がうまくいくことを祈っています。

新しい東京大学への期待と祈り

前執行役・副学長 太田邦史

5年間副学長として務め、その間、情報システム本部長や教育担当、IRデータ室・大学ランキング対応、入試企画室、国際卓越研究大学、UTokyo College of Design設立の学内調整の担当などを担いました。

教育では生成AIの登場に際し、早期に声明を発表したために社会的に大きな反響がありました。現在の生成AIの進歩をみますと、当時の「ルビコン川を渡る」という表現もあながち大げさではなかったと思います。

学内WIFIや多要素認証などの学内の情報基盤の整備も進み、大学ランキングも皆様のご尽力で任期中に順位が改善され、入試企画室で今後の入試改革の議論も進みました。

国際卓越研究大学の1回目の申請は、皆様に大変なご尽力をいただいたものの、採択に至らなかったことは大変残念でした。現在も採択に至っていませんが、本来十分な資格がある大学ですので、必ずや採択に至ると信じています。

UTokyo College of Designは、小関先生はじめ教職員の皆様のご尽力により、まもなく日の目を見ます。東京大学としては画期的な教育変革になりますが、この運動を通じて東京大学の新たな未来が展開することを心より祈念いたします。

広報からコミュニケーションへ

前執行役・副学長 河村知彦

2023年から3年間、コミュニケーション戦略の推進を担当しました。

東京大学が「世界の誰もが来たくなる大学」となるためには、本学に対するこれまでのイメージを矯正し、良き理解者やサポーターを増やすことが肝要です。さらに海外では、まずは知名度の飛躍的な向上が不可欠と思います。本学の持つ高い可能性や多様な魅力をより広く知ってもらうためには、こちらの伝えたいことを一方的にばらばらに発信するというこれまでの広報のスタイルから、一貫性を持ちながらもオーディエンスに応じた双方向的なコミュニケーションへの転換を図る必要があります。

そのため私たちは、これまでの活動を継続しながらも、数年をかけて活動内容の全面的な見直しを進め、2025年4月には広報戦略本部を全面改組してコミュニケーション戦略本部を立ち上げました。新しい本部には、コミュニケーションやブランド戦略に関する外部の専門家や関心のある学生の皆さんにもご参画いただき、様々な新しい活動が始まっています。

まさにこれから、という時に本学から離れることとなり、たいへん残念ではありますが、今後は、東京大学が「世界の誰もが来てよかったと思える大学」に変身していく様を外から応援していきたいと思います。3年間、関係する多くの皆様に大変お世話になりました。ありがとうございました。

大学のコア・バリューをいかす制度改革

前執行役・副学長 佐藤岩夫

2021年度に執行役・副学長を務めた後、2022年度に総長特別参与、2023年度に副学長、2024年度から2年間、再び執行役・副学長を務めました。

この間一貫して担当した分野はガバナンス改革です。総長選考・監察会議の組織・運営の見直し、国立大学法人法改正に伴う運営方針会議の制度設計、UTokyo Compassが掲げる「新しい大学モデル」にふさわしいプロボストや学術経営本部、責任ある執行部体制の構築等に取り組みました。これらの議論で私が大事にしたのは、実際に効果的にワークする制度とすること、及び、「学問の自由」や「大学の自治」といった大学制度を支えるコア・バリューと整合的な制度とすることの2点です。大学もまた社会の中に存立している以上、様々な社会的要請に誠実に応答することは当然です。しかしその際、大学として主体的に価値選択をすること、社会的要請に応えつつ、同時に大学を大学たらしめている価値を創造的に発展させることに心がけました。

そのほか、相談支援、コンプライアンス、ハラスメント防止なども担当しました。センター長を務めた相談支援研究開発センターでは、現在、従来からの個別支援に加えて、キャンパスを一つの「コミュニティ」として捉え直し、構成員全員のウェルビーイングを育んでいく野心的な試み(キャンパス・ウェルビーイング)を開始したところで、今後の発展を楽しみにしています。

この間大変お世話になった藤井総長、役員、本部事務部、全学の皆さまに心から感謝を申し上げるとともに、本学が今後益々の発展を遂げることを願っております。

DEI推進を目指して

前副学長 伊藤たかね

2022年度から5年間、副学長としてダイバーシティ教育を担当、2024年度からは多様性包摂共創センター(IncluDE)とSOGI多様性が担当に加わり、東京大学のDEI(多様性、公正性、包摂性)推進を目指してきました。UTokyo Compassの中心にDEI推進を位置付けた藤井輝夫総長とD&I担当の林香里理事の強力なリーダーシップの下、全教職員対象の必修研修や大学・部局の執行部教職員を対象とする対面研修の実施、SOGI多様性関連の対応について疑問や悩みを持つ教職員向けの相談窓口開設・運営など、構成員の意識変容・行動変容につながる取り組みを進めることができました。また、支援の現場の声を大学執行部に届けることも重要な役割でした。

IncluDEの開設前準備から開設後最初の2年の運営を、関係の教職員とともに議論しながら進めることができたことは、私にとって得難い経験になりました。何より、この5年間で大学・部局執行部のDEI意識が確実に変化してきたこと、そしてそれをリアルタイムで経験できたことを、大変ありがたく思っています。

積み残した課題はたくさんありますが、IncluDEが全学の他部局と協力し、着実に取り組んで参りますので、引き続きIncluDEへのご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。

課せられたルールに対する意識を一層高めて

前副理事 遠藤勝之

2021年4月より副理事として5年間勤めてまいりました。主たる業務がとてもデリケートなことを扱うものであるため、多くの方々に支えられながら、ご協力を頂きながら、どうにか任期満了を迎えることができました。

本学は、新たな知の創出や知の探求等々、とてもすばらしいものがたくさんあることは周知の事実であります。

そのため、それらの活動を支えるための大きな財務的基盤等々があります。一方、それらを使用するために課せられたルールというものの存在があり、それをないがしろにするわけにはなりません。

今後、そのルールがどのように変化してくのかは、ある意味、それはそのルールを課せられている教職員の意識次第だと思われます。

昨今の、社会からの大変厳しい目に応えるためにも教職員全員の意識をより一層高める必要があると思われます。

それは、大変難しいことではなく、ちょっとした心がけしだいでかわるものだと思われます。

今後の、本学のより一層の発展のためにも、どうぞよろしくお願いいたします。

難題を乗り越えて

前副理事 水上順一

2021年4月より最初の2年間は情報システム担当、副理事兼務情報システム部長として、まだコロナ禍にあり、オンライン授業や学内のネットワーク整備に奔走させていただきました。皆様の多大なご協力、執行部による積極的な支援により、本学のIT環境は飛躍的に向上しました。

それと同時に、やらなければならないことが次々と判明しました。IT環境は常にアップデートし、今後も整備を続ける必要があります。学習環境の充実もまさにこれからです。その後、DX推進と柏地区事務機構長を兼ねて業務を行い、多くの方々に支えられて職務を遂行することができました。DX推進は財政状況が厳しい中、それでも業務の改善に多くの知恵と工夫が寄せられており、これから形になっていくと確信しています。

柏キャンパスも移転してすでに20年が経過し、建物を含むインフラが大規模修繕を待っている状況です。柏Ⅱキャンパスも建物が増え、活発な研究活動が展開されています。

本学は国際卓越研究大学認定、ガバナンス改革など難しい課題が山積ですが、これまでも様々な難題に立ち向かい、乗り越えてきました。もっと強い組織になることを祈念し、退任の挨拶とさせていただきます。

産学連携と社会人教育から新たなミッションの創出を

前副理事 山本貴史

東京大学TLOの社長に2000年に就任して以来、副理事、ならびに東京大学エクステンション代表取締役社長として、通算26年にわたり東京大学に関わる機会を頂戴してまいりました。

私は産学連携を専門としており、副理事としては、ダイキン東大Lab、ソフトバンクとのBeyondAI、クボタ東大Labの企画・運営や、TLO時代から継続してきた大学発スタートアップ支援などに主として携わってまいりました。一方で、大学経営の中枢に深く関与する立場ではありませんでしたが、長きにわたり貴重な経験を積ませていただいたことに、心より感謝申し上げます。

このたび副理事を退任いたしますが、東京大学エクステンションの代表取締役社長としての役割は引き続き担ってまいります。生成AI、ゲノム編集、量子コンピュータなどの急速な技術革新により、産業構造や働き方は大きな転換期を迎えています。こうした、私たちが学生時代に学ぶ機会のなかった新たな知と視座を大学から社会に発信することは、大学の役割を拡張し、産業界や社会との新たな関係を築くことにつながると信じています。リカレント・リスキリングを通じ、東京大学ならではの社会人教育の普及と新たなミッションの創出に尽力してまいります。

今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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~キャンパスニュース~

山崎製パンとの150周年記念事業コラボで学生のアイデアが青春味のランチパックに! ●希望小売価格:140円(+税)

小松尚平(情報学環特任研究員),Qiao Peiyao(喬沛瑤)さん(学際情報学府M2),渡邉英徳(情報学環教授)

東大150周年記念事業の一環として、山崎製パンとのコラボによるランチパックが誕生しました。味とパッケージのアイデアを練り上げたのは、柔軟な発想を備えた学生たち。青春を思わせる青と黄の色彩から生まれた新鮮な商品です。企画を進めてきたブランドスタジオの皆さんに聞きました。

(上)プロトタイプのパッケージでは上端と下端に銀杏が配され、レモンとラムネの写真は一体型でした。
(下)ラムネクリームとレモンクリームを一つにサンドした試作品。
「ランチパック ラムネ&レモン」と書かれた試作のパッケージ ラムネクリームとレモンクリームをパンで挟んだ試作品
「ランチパック製品開発コンセプトシート」と書かれたキーワードやイラストが書かれたメモ
Peiyaoさんが提出したコンセプトシートには重要なキーワードが最初から記されていました。
Peiyaoさんが主にデザインを担当した東京大学制作展2025 Beginning「あることないこと」のポスター。
●Peiyaoさんの作品集
https://qpynlm.com
「あることないこと」と書かれた青い穴のようなものと白い水面のようなもので構成されたポスター
様々なランチパックが並び子供たちが手に取る様子
2025年夏に情報学環のオープンスタジオで行われた試食会。

今回のランチパックは、東大150周年記念事業の一環として開発され、2026年5月~6月に販売されます。売上1個につき1円が寄付され、赤門の修繕費として役立つ仕組み。数あるアイデアの中から選ばれたのは、ラムネ×レモンという組み合わせです。「新鮮で意外性のある味にしたいと考えました」。そう振り返るのは、Qiao Peiyaoさん。中国・西安の大学で建築学やデザインを学んだ後に学際情報学府に進学し、渡邉英徳研究室に在籍する大学院生です。コミュニケーション戦略本部の副本部長であり、ブランドスタジオのStudent Lab長も務めるのが渡邉先生。ディベロップメントオフィスを起点に、ブランドスタジオが中心となって始まった企画に、情報学環25周年記念グッズ制作の際に渡邉先生とともに携わったPeiyaoさんも加わりました。

あえて敬遠されがちな色を選択

2025年夏には学生有志による試食会を実施。山崎製パン側の説明を聞き、用意された数多のサンプルを囲み、試食しながら自由に議論を重ねる中で、学生から多彩な案が出てきました。「大人の目線ではどうしても先入観がある。その中で、彼女のアイデアは最初から突き抜けていました」と渡邉先生。Peiyaoさんは、好きな香水のラムネのような香りと東大のロゴカラーから組み合わせの着想を得たそうです。

「青春を思わせる爽やかなラムネの青と、清涼感のあるレモンの黄色。その組み合わせで、フレッシュな活力を表現したいと考えました。食べ物に青は敬遠されがちですが、あまり見たことがないこと自体が魅力になると思ったんです」

当初考えたレモンジャム案も含め、複数の味の方向性が検討されましたが、山崎製パン側の助言を受け、パンとの相性を考えてクリームへと変更。さらに、ラムネとレモンを一緒に入れる案、別々に分ける案など、さまざまな検討が行われました。試作段階では、コミュニケーション戦略課の職員による試食も行われ、味に対して率直なフィードバックが寄せられます。「なかなか辛口で(笑)、改良が必要だと感じました」と渡邉先生。山崎製パンのサポートのもと、甘みや酸味のバランスを細部まで調整し、ラムネ菓子のようなシャリシャリとした食感を加えることで、爽やかさと食べやすさを備えたランチパックが仕上がりました。

学生が手に取る朝を想像して

パッケージデザインでも、Peiyaoさんは多くのアイデアを提案しました。ブランドスタジオのアドバイザーであり研究室の先輩でもある小松尚平さんは、「制約の多い中でも可能性を広げる、きらりと光る提案力がありました」と評価します。当初は桜をモチーフにしたデザインでしたが、販売時期の繰り下げに合わせて新緑へと変更。ラムネ味とレモン味が分かれていることを色と配置で表現したデザインなど、原案は随所に活かされています。「朝、学生がコンビニで青と黄色のパッケージを手に取る風景を想像しながらデザインしました」。Peiyaoさんの描いた青春のストーリーは、東大生協の各店舗や関東全域のローソンで、まもなく現実になります。

(おまけ)渡邉先生によると、第2弾として「赤門ラーメン」味の検討も始まっているとかいないとか。乞うご期待!