広報・PR論 パブリック・リレーションズの理論と実際 改訂版
316ページ、A5判、並製
日本語
2022年9月
978-4-641-18459-6
有斐閣
2022年11月書誌情報更新
本書は、研究者の立場から共同して書かれた、日本国内ではじめての本格的な広報・PR論の教科書である。
多くの問題を抱える現代社会において、企業・行政・非営利組織などあらゆる組織にとって、様々な利害関係者とコミュニケーションをとりつつ「組織体が社会との関係性を構築し維持すること」は、きわめて重要な課題である。この課題を研究する分野を「パブリック・リレーションズ」「広報」という。「パブリック・リレーションズ」は、組織体・経営体として、また仲介するメディア産業として実務的にも重要な位置を占めている。だが、この分野は現実的な実務が先行し、なかなか理論的な整理が追いついていないのが現状である。個別の研究は進みつつあるものの、なかなか体系的な整理が進んでいない。また、各国の事例に基づき、体系的に広報 / パブリック・リレーションズを解説する書籍も少ない。
本書は、このような問題意識を前提に、現代日本の組織体・経営体を対象として、広報 / パブリック・リレーションズに初めて触れる初学者がその諸概念の基礎を理解すること、関心を持つ実務家が体系的・学術的な理解を深めること、隣接する研究分野の研究者がそれぞれの研究分野との関連性を理解することを企図してまとめられた。
本書の最大の特徴は、現代日本の組織体・経営体が抱える課題に即してまとめたことである。もともとパブリック・リレーションズはアメリカを中心に発展してきた研究・実践分野である。だが、パブリック・リレーションズとは「組織体が社会との関係性を構築し、維持すること」である。すなわち組織体・経営体の置かれている状況、社会の状況が異なれば、そのパブリック・リレーションズが解決しなければならない課題も変わる。そこで、本書では広報 / パブリック・リレーションズにかんする理論や概念を、日本の状況に合わせて記述し、事例・歴史もできるだけ日本の事例を多くあげるようにした。また企業に限らず、行政や非営利組織などを含めた組織全般に適用できるように意識して記述している。
具体的には、現代日本の組織体・経営体が抱える課題として、レピュテーション、不祥事対応などの危機管理、ソーシャルメディアを含めたメディア状況の変化、CSRや社会貢献、行政広報・非営利組織の広報、災害対応などについて記述している。これらは、単に執筆者らの関心というだけではなく、日本国内の広報 / パブリック・リレーションズに関する業務の中核的課題として、企業、行政、様々な組織が直面している課題でもある。
(紹介文執筆者: 情報学環 特任准教授 関谷 直也 / 2017)
本の目次
第1章 広報・PRとは
第2章 ステークホルダーと組織の社会的責任
第3章 組織のレピュテーション (評判)
第4章 組織と広報・PR
第5章 広報・PRの戦略立案・実行・評価
第2部 ステークホルダーと広報・PR
第6章 メディアとメディア・リレーションズ
第7章 マーケティングPR
第8章 インターネットと広報・PR
第9章 インベスター・リレーションズ (IR)
第10章 インターナル・リレーションズ
第3部 現代の広報・PRの課題
第11章 社会貢献と広報・PR
第12章 危機への対応
第13章 災害時の広報・PR
第14章 非営利組織の広報・PR
第15章 行政広報