東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

クリームイエローの表紙に森林などの写真

書籍名

Developing a network of long-term research field stations to monitor environmental changes and ecosystem responses in Asian forests

著者名

KAMATA N、 KURAJI K、 OWARI T、 GUAN BT (編)

判型など

282ページ、A4判

言語

英語

発行年月日

2019年3月

ISBN コード

978-4903321288

出版社

東京大学演習林出版局

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環境変化や生態系応答を検出するためには、長期的な観測データが不可欠です。最近、アジアでは数多くの長期モニタリングサイトが設定されていますが、その多くは研究者個人やプロジェクトがボランティアで運営しています。大学演習林のミッションの一つに、様々な研究を行うための基礎資料となるデータを長期的に維持することがあります。アジアの大学演習林のネットワークを形成することは、この長期性を保つことに重要な貢献をしています。アジアの大学演習林と一緒に長期データを収集し、管理し、共有し、解析することは環境変動に対する森林生態系応答の科学的な予測に基づく順応的な森林管理を行う上で極めて有効だと考えられます。
 
本書は、2016年度から3年間行われた日本学術振興会研究拠点形成事業(B. アジア・アフリカ学術基盤形成型)研究交流課題「アジア森林圏の環境変動と生態系応答を把捉する長期観測フィールドのネットワーク構築」(コーディネーター:鎌田直人教授) の成果をまとめた英文書籍です。アジアモンスーン地域の多様な気候・植生帯に演習林・試験林等を保有または管理する5か国の大学が協働して、安定的、継続的な長期観測フィールド拠点の整備と、緊密な連携に基づいた多国間研究協力ネットワークの構築を進めた成果が収録されています。参加しているのは、日本 (東京大学)、韓国 (ソウル国立大学)、台湾 (国立台湾大学)、タイ (カセサート大学)、マレーシア (マレーシアサバ大学) です。
 
この本のパート1では、大学演習林の現状と長期的な展望が大学ごとに記載されています。パート2では、水と気候に関する長期観測について、パート3では長期生態的研究について、パート4では森林管理として樹木の成長データなどが紹介されています。それぞれの国の自然や気候の違い、大学ごとの特色が記述されており、興味のある部分をどこからでも読んでいただくことができます。
 
東京大学演習林出版局では、東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林という1つの附属施設が独自に運営しているユニークな出版局です。この出版局では、主に演習林の教職員や関係者が著者となった書籍、リーフレット、ブックレットなどを発行しており、各出版物の概要は演習林のウェブサイト (https://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/publish/) から見ることができます。現場をよく知る演習林教職員が執筆した書籍は読みごたえがあり、大学演習林に行く際に、事前にその演習林に関する書籍やブックレット、リーフレットなどをご覧いただくことで、演習林をより深く楽しむことができると思います。東京大学演習林出版局の書籍は、農学部生協、駒場生協で購入することができます。

(紹介文執筆者: 農学生命科学研究科・農学部 准教授 後藤 晋  / 2021)

本の目次

Foreword
Preface
Acknowledgement
Contributors
Signs, symbols, acronyms, and abbreviations
Locations and organizations
 
Part 1. Past, present status, and future scope of University Forests and long-term research
Part 2. Water and climate
Part 3. Ecosystem
Part 4. Management
 
Index

関連情報

アジア森林圏の環境変動と生態系応答を把捉する長期観測フィールドのネットワーク構築
(日本学術振興会研究拠点形成事業 (B. アジア・アフリカ学術基盤形成型 ホームページ)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/
 
シンポジウム・ワークショップ:
「第8回アジア大学演習林コンソーシアムシンポジウム」プロシーディングス (ソウル国立大学校 2018年10月22~26日)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/files/The%208th%20SAUFC%20proceedings.pdf
 
「アジア大学演習林の生態系サービスのための長期モニタリングとデータ解析に関する国立台湾大学・東京大学合同ワークショップ」要旨集 (国立台湾大学 (南投、台湾 2018年6月25~28日)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/files/2018%20NTU%20-%20UTokyo%20Joint%20Workshop.pdf
 
日本学術振興会研究拠点形成事業「中間総括シンポジウム:アジア森林圏長期観測フィールドネットワークの到達点と展望」要旨集 (東京大学弥生キャンパス 2018年3月3~5日)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/files/Abstracts_JSPS-C2C_Interim_Symposium_20180303.pdf
 
日本学術振興会研究拠点形成事業「アジア森林圏の長期モニタリングデータ解析に関する国際シンポジウム:環境変動と生態系応答のさらなる理解に向けて」要旨集 (カセサート大学 (バンコク、タイ) 2017年11月27日~12月1日)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/files/JSPS2017KU_Abstracts.pdf
 
「森林資源・環境の長期モニタリングとデータ解析に関するソウル国立大学校・東京大学合同ワークショップ」プロシーディングス (ソウル国立大学校 (ソウル、韓国) 2017年5月8~11日)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/files/Proceedings%20of%20SNU-UTokyo%20Joint%20Workshop.pdf
 
日本学術振興会研究拠点形成事業「森林資源・環境の長期モニタリングとデータ解析に関する国際ワークショップ」 (マレーシアサバ大学 (マレーシア・コタキナバル 2017年3月6~10日)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/files/JSPS%202017%20Program%20Book.pdf
 
日本学術振興会研究拠点形成事業「第7回アジア大学演習林コンソーシアム国際シンポジウム」要旨集 (東京大学北海道演習林 (富良野市) 2016年10月11~14日)
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/c2c/files/7thSAUFC_Abstracts.pdf

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