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白い表紙に波紋のような模様

書籍名

ライブラリ 経営学コア・テキスト 1 コア・テキスト 経営学入門 第2版

著者名

高橋 伸夫

判型など

328ページ、A5判、上製

言語

日本語

発行年月日

2020年11月10日

ISBN コード

978-4-88384-317-6

出版社

新世社

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コア・テキスト 経営学入門 第2版

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各章が、身近な日常のエピソードから始まり、その後でその内容に即した様々な経営学説が解説される全く新しいスタイルの入門書。目の前のあらゆることが経営の問題として見えるようになり、自分の頭でその答を導き出す姿勢と作法が身につくことを目指した本。
 
私の知る限り、経営の問題に対する答は、ほぼ100%ケース・バイ・ケース。結局、自分の会社で何が問題なのかは、自分の目線で切り出すしかないし、答は自分の頭で考え出すしかない。大事なのは大学生でも絶対にもっているはずの「自分の目線」なのである。問題を探し、答を考えるヒントは、確かに経営学がそれなりに蓄積してきている。できれば「課題のヒント」に挙げてある経営学の本を1冊でもいいから読んでみてくれれば、自分の頭で一生懸命考えることの奥深さと面白さ、そして読者が手を伸ばせば届くところに経営学がいることに気が付くはずだ。
 
実は、本書は、経営学の古典中の古典で、かつ難解な書物として知られるC. I. バーナードの『経営者の役割』に着想を得て書かれている。『経営者の役割』の最終章「第18章 結論」を除いた各章、すなわち序、第1章~第17章に対応して、忠実に、本書の序、第1章~第17章は書かれている。4部構成の編成もまったく同じである。本書の各章末にある「第〇章のまとめ」も、元は『経営者の役割』の「第〇章のまとめ」だった。
 
ただし、バーナードの『経営者の役割』では、例示がほとんどなかったが、対照的に本書はエッセンスを翻案した現代風エピソードを中心にして書かれている。その際に、バーナードの思い描いていたようなストーリーを壊さないために、バーナード以降の学問的発展 (その萌芽が『経営者の役割』にあったという事実に、読者の多くは驚くはずである) は「課題のヒント」として、あえて本文から外していった。
 
しかし、それでも、『経営者の役割』を読んだことのある読者にとっては、にわかには信じがたいかもしれない。そんなハイ・レベルの読者のために、そして、本書をきっかけにバーナードを読んでみたいと興味を持った若い読者のために、バーナード読解の橋渡しとして巻末付録「読解のための注釈」をつけている。難解さにおいて学界でも特に有名な『経営者の役割』を読解する際の手引きとしても利用してほしい。
 
2007年出版の初版は増刷を重ね、その間、私自身も何度か学部ゼミのテキストとして採用してきた。自分で使ってみて、本文はほとんどアップデートする必要性を感じなかったが、その一方で、初版から10年以上を経る間に、経営学は次々と多様な問題を突きつけられ、学問的展開もあった。そこで、この第2版では、ディスカッションの課題の部分で、経営組織・経営戦略・マーケティングと扱うテーマを広げ、コーポレート・ガバナンスなど近年の経営学の問題も採り上げながら、「課題のヒント」で最新の学問的展開についても解説を拡充している。私にとっては予想外の大幅な増補となった。読みやすい2色刷。

 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 高橋 伸夫 / 2021)

本の目次

序章 この本の狙い
  0.1 自分の周りのことしか分からない
  0.2 働くお父さん(働くお母さん)の言い訳
  ディスカッション

第I部 一緒に働くってどんなこと?
第1章 イントロダクション
  1.1 一人の人がたくさんの組織に所属している
  1.2 組織が行動に影響を与えている
  1.3 ほとんどの組織は短命かつ無名
  ディスカッション

第2章 個人の行動に影響を与えるもの
  2.1 個人が行動を選択する力
  2.2 短命の組織が必要とするのは人間の行動だけ
  2.3 個人的行動には色々な結果が伴う
  ディスカッション

第3章 個人をめぐる物理的な制約と有効な協働
  3.1 抜け道での出来事
  3.2 「物理的な」制約と「協働そのもの」の制約
  3.3 「どんな仕事でもできる」ことと「一人で仕事ができる」こととは意味が違う
  ディスカッション

第4章 組織に参加することで選択が可能になる理由
  4.1 一人でやる部屋探しはつらいよ
  4.2 本当に一生懸命部屋探しをすると
  4.3 組織に入ると何かが変わる
  4.4 誰に聞けばいいか分かれば問題は80%解決したも同じ
  ディスカッション

第5章 組織の目的と参加者の満足
  5.1 ゼミってこんなところです
  5.2 ゼミは勉強をするところです
  ディスカッション

第II部 組織って何?
第6章 組織に共通しているもの
  6.1 組織として動いているもの
  6.2 公式組織
  ディスカッション

第7章 組織の中のコミュニケーション
  7.1 組織の成立条件と存続条件
  7.2 ほうれんそう
  7.3 以心伝心をめざして
  ディスカッション

第8章 組織が大きくなるとき
  8.1 ベンチャー企業が失敗する理由
  8.2 階層原理って当り前
  ディスカッション

第9章 公式組織の生まれるとき
  9.1 年末の飲み会
  9.2 温泉好きの集まり
  ディスカッション

第III部 組織の中で何が起きている?
第10章 分業と専門化
  10.1 自分の仕事をきっちりやろう
  10.2 分業で生産性が向上するのか?
  ディスカッション

第11章 人はなぜ働くのか
  11.1 この仕事をやってきて良かった
  11.2 だからこそ次の仕事で報いる
  11.3 金のインパクト
  ディスカッション

第12章 人はなぜ命令に従うのか
  12.1 転勤命令
  12.2 命令に従うとは限らない
  12.3 バカ殿状況での「やり過ごし」
  ディスカッション

第13章 習慣と意思決定
  13.1 あいさつくらいはまともにできないと
  13.2 卒業旅行の意思決定プロセス
  13.3 誰の意思決定?
  ディスカッション

第14章 連鎖する意思決定
  14.1 起業にはまず事業プランが必要
  14.2 ベンチャー企業には何が必要か?
  14.3 事業の成功には何が必要なのかよく考えてから
  ディスカッション

第IV部 経営するってどんなこと?
第15章 経営者の仕事
  15.1 君が責任者だ
  15.2 担当者を指名しておしまいなのか?
  15.3 経営者の仕事でしょう?
  ディスカッション

第16章 顧客「想像」力の時代
  16.1 イマジン
  16.2 ビジネスモデル特許
  16.3 「雲」ではない顧客を想像できないと
  16.4 ライフルショット・マーケティング
  ディスカッション

第17章 違法行為でなければ何をやってもいいのか
  17.1 客観評価=無責任
  17.2 虚妄の目標管理
  17.3 コンプライアンス
  ディスカッション

付録:読解のための注釈
索引

 

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