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免疫細胞を誘導するセグメント細菌の全ゲノム構造を解明  

掲載日:2011年9月26日

腸内細菌の一種であるセグメント細菌SFB(Segmented filamentous bacteria)は、宿主の免疫系に作用し、自己免疫疾患や感染防御に重要な役割を果たしている腸内常在菌として近年注目されています。

SFBの走査型電子顕微鏡写真像

しかし、SFBは試験管内で培養できないため、SFB発見以来160年もの長い間、その正体は不明のままでした。

東京大学新領域創成科学研究科の服部正平教授らは、今回、SFBの高純度培養と全ゲノム(全遺伝子情報)の解読に成功しました。

今回の解析から、SFBは、生存に必須なアミノ酸生合成遺伝子の多くを欠損していることや自然免疫に関与するべん毛を持つなどの病原菌の特性を示す一方で、感染症に関わる病原遺伝子をまったく持っていないことなどがわかりました。
将来、SFBを制御した感染症防御や自己免疫疾患の治療法開発への応用が期待されます。SFBの全貌が明らかになったことにより、ヘルパーT細胞の一種であるTh17細胞をはじめとした免疫誘導や、Th17細胞が深く関わる感染症防御や慢性関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の発症におけるSFBの作用メカニズムを遺伝子レベルで調べることが可能になります。

プレスリリース

論文情報

Prakash T, Oshima K, Morita H, Fukuda S, Imaoka A, Kumar N, Sharma VK, Takahashi M, Saitou N, Taylor TD, Ohno H, Umesaki Y, Hattori M,
“Complete genome sequences of rat and mouse segmented filamentous bacteria, a potent inducer of Th17 cell differentiation,” Cell Host & Microbe 10 (2011): 273-284 doi: 10.1016/j.chom.2011.08.007.
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