ヒトの味覚システムに迫る アカゲザルにおける味覚関連遺伝子群の発現様式を解明

「ヒトがどのようにして味を感じているか」を明らかにするためのモデル生物として、これまでげっ歯類(マウスやラット)が広く用いられてきました。しかし今回、東京大学大学院農学生命科学研究科の特任助教 石丸喜朗らの研究グループは、ヒトの味覚機構を解明するために、アカゲザルといったヒト近縁種を用いることの意義を示しました。
研究グループは、よりヒトと近縁の旧世界ザルに属するアカゲザルに関して、味覚受容体と下流シグナル伝達因子の発現様式をin situ hybridization法を用いて詳しく調べました。
その結果、甘味、苦味、酸味、うま味の各味覚受容体が、味蕾中のそれぞれ異なる細胞で互いに排他的に発現することなど、げっ歯類と同様の知見も得られました。一方、味覚受容体が、舌の前半部と後方中央部にそれぞれ存在する茸状乳頭と有郭乳頭の両方で発現するなど、げっ歯類とは異なる発現様式も示すことを発見しました。
論文情報
Ishimaru, Y., Abe, M.., Asakura, T., Imai, H., and Abe, K.,
“Expression analysis of taste signal transduction molecules in the fungiform and circumvallate papillae of the rhesus macaque, Macaca mulatta”,
PLoS One Online Edition: 2012/09/22 (Japan time), doi: 10.1371/journal.pone.0045426.
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