神経回路作りを支えるタンパク質工場(小胞体)と工場員Meigo 新規小胞体分子MeigoがEphrinの機能を調節して樹状突起ターゲティングを制御する
全身の統合や記憶・学習を司る脳神経回路を作るには、膨大な数の神経細胞がそれぞれ適切なパートナーを探しだし、シナプス結合することが求められます。それぞれの神経細胞はどのようにして適切な結合相手を見つけ出し、正しい回路を形成しているのでしょうか。
東京大学大学院薬学系研究科の千原崇裕講師、関根清薫特任研究員らは、米スタンフォード大学のLiqun Luo教授と共同で、神経細胞で情報を受け取る側である「樹状突起」が相手を見つけるメカニズムを世界で初めて解明しました。
研究グループは「タンパク質の工場」と呼ばれる小胞体の中に、Meigo(マイゴ;変異があると神経細胞が相手を正しく見つけられず「迷子」になることから命名)分子が存在することを発見し、Meigo分子が、神経の回路作りに必要なタンパク質Ephrinの量と機能を調節していることを明らかにしました。
樹状突起の形態はあまりに複雑で、これまでよく研究されていませんでした。小胞体というあらゆる膜タンパク質の合成に関わる細胞内小器官が、神経の回路作りにおいて特定の局面を制御しているという発見は新しく、今後は小胞体の生理機能の更なる理解や、小胞体関連疾患の発症機序解明に?がることが期待されます。
論文情報
Sayaka U. Sekine, Shuka Haraguchi, Kinhong Chao, Tomoko Kato, Liqun Luo, Masayuki Miura and Takahiro Chihara,
“Meigo governs dendrite targeting specificity by modulating Ephrin level and N-glycosylation”,
Nature Neuroscience Online Edition: 2013/4/29 (Japan time), doi: 10.1038/nn.3389.
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