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世界初、タンパク質修復に新たな分子内運動を発見 ドミノ倒し運動から見えた驚きの生体分子機構

掲載日:2013年9月5日

© Hiroshi Sekiguchi,
シャペロニンタンパク質分子の構造変化を表した概念図

東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐々木裕次教授を中心とする研究グループ(公益財団法人高輝度光科学研究センター(研究当時:佐々木研究室 特任助教)関口博史博士、東京農工大学 養王田正文教授ら)は、変性してしまったタンパク質分子を修復する機能を持つシャペロニンタンパク質分子の内部運動を、1分子でリアルタイムに高精度計測することに初めて成功しました。シャペロニンは8量体のリング構造が二つ重なったシリンダ構造をとりますが、ATP(アデノシン三リン酸)と結合した後にリング内の一部が構造変化し、その後、リング全体で同期した反時計方向へのドミノ倒しに似たねじれ運動を伴って、開状態から閉状態へ移行することがわかりました。これらの一連の運動は、1998年に佐々木裕次教授が考案し開発したX線1分子追跡法を用いて、30ミリ秒でピコメートル精度の運動として計測されました。今までは静止画として何枚も撮影して、一連の運動を予測していましたが、実時間で見ることで、分子内部運動にどのような協同性があるかを定量的に議論できることが明確となりました。分子生物学では今まで、分子は構造を持った静止体(点)として認識してきました。今回計測した分子内部運動という新しい物性を高速高精度計測することで、今後、創薬の戦略指針や分子間相互作用の考え方が全く違ったモノになる可能性があります。

プレスリリース

論文情報

Hiroshi Sekiguchi, Ayumi Nakagawa, Kazuki Moriya, Koki Makabe, Kouhei Ichiyanagi, Shunsuke Nozawa, Tokushi Sato, Shin-ichi Adachi, Kunihiro Kuwajima, Masafumi Yohda, Yuji C. Sasaki,
“ATP Dependent Rotational Motion of Group II Chaperonin Observed by X-ray Single Molecule Tracking”,
PLoS ONE Online Edition: 2013/05/30 (6 a.m. Japan time), doi: 10.1371/journal.pone.0064176.
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大学院新領域創成科学研究科

大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻

大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻 佐々木裕次研究室

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