重要文化財『実隆公記』および「三条西実隆像紙形」の出陳
史料編纂所で所蔵する原本史料を代表する『実隆公記』が、この日記を残した三条西実隆(1455~1537)の肖像画のデッサンとあわせて、サントリー美術館「六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝」(2017年3月29日~5月14日)に出陳されます。 本展は、日本中世絵画の主要な作品ジャンルである絵巻を、時代順や主題・様式分類による名品展とは切り口を変えて、パトロンの絵巻鑑賞・蒐集行為が作品制作と動的な関係にあることを念頭に、代表的な絵巻制作・鑑賞の記事をたどりつつ、そこに現れた作品を捉え直す企画です。実際には《絵巻マニア》では捉えきれない営為を扱いますが、愛好者たちの視線を重ね合わせて、絵巻の魅力を愉しんで頂ければと思います。 今回、『実隆公記』原本が展示されるのは、実隆晩年の日記で、いずれも土佐光茂が描いた縁起絵巻の制作過程を伝えています。享禄4年(1531)の日記では、大和・当麻寺の僧より「当麻寺縁起絵巻」の詞書の清書を依頼され、さらに天皇や摂関家へも清書の分担を依頼する仲介者となった様子がうかがえます。また翌5年の日記には、将軍足利義晴の注文で制作された「桑実寺縁起絵巻」に関する記事があり、実隆は制作のプロデューサー的な立場にありました。そのころ義晴は、細川晴元に京を逐われて近江へ逃れ、湖東の桑実寺に仮寓しており、絵巻の奉納を思い立ちますが、実隆は詞書の文章を新たに作成することから取りかかりました。他にも『実隆公記』には、傑出した出来映えを示す「春日権現験記絵」や「玄奘三蔵絵」が奈良から京都へ運ばれ、天皇・貴族たちが鑑賞した際の記事を含むなど、展示・図録ではたびたび登場します。 【開催概要】 【出陳史料】 【参考文献】 史料編纂所データベース http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/ 対象者: 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 享禄5年春夏記
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