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ロシア国立歴史文書館長らを招聘して「日露関係史料をめぐる国際研究集会」を開催

掲載日:2015年5月25日

実施日: 2015年05月19日

  5月19日(火)、史料編纂所(山家浩樹所長)では日本学士院と共催による「日露関係史料をめぐる国際研究集会」を開催しました。今回の研究集会は通算15回目。日本学士院から委嘱され、その支援をうけた国際学士院連合関連プロジェクトの一環として、ロシアに所在する日本関係史料の系統的な調査・収集事業を実施しています。
 当日は3本の報告が行われ、参加者は全国からの専門研究者を含む約60名でした。
 第1報告は、研究代表者の保谷徹教授(史料編纂所)から、「在外日本関係史料のデジタルアーカイヴズ化プロジェクトについて」と題し、科学研究費補助金基盤研究(S)として実施中の在外日本関係史料150万コマ余(世界20か国以上70機関以上)のデジタルアーカイヴズ化を中心とするプロジェクト研究の概要が報告されました。ロシア史料のDB化と検索・閲覧方法の開発も大きな課題となります。
 第2報告では、ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所ワジム・クリモフ上級研究員が、「1862年日本使節団のロシア訪問」と題し、幕末の竹内使節団のサンクトペテルブルグ訪問について、ロシア側で使節を図書館や軍港クロンシュタットへ案内した様子を紹介しました。ロシア側史料からロシアが何を使節へ見せたかったのか、そして日本の使節がそれをどう記録したのか、参加した福沢諭吉の渡航記にどう書かれていたかなど、興味深いお話でした。
 第3報告は、帝政ロシアの中央政府史料約750万ファイルを所蔵するロシア国立歴史文書館のセルゲイ・チェルニャフスキー館長から、「エヴゲニイ・イワノヴィチ・アレクセエフ提督-海軍司令官にして政治家」と題する報告がありました。ご報告は、同館長が前任の海軍文書館長時代に取りまとめた日本・朝鮮関係史料の解説目録にもとづき、日露戦争期の海軍提督アレクセエフのフォンドを分析したものでした。従来低く評価されがちなアレクセエフの実像に焦点をあて、再評価を求めるご報告でした。
 ロシアから招聘したお二人は、研究集会に先立って日本学士院を訪問し、杉村隆院長・塩野宏幹事らと懇談しました。また、研究集会の翌日から報告者らは鹿児島へ出張し、1891年ニコライ2世(当時皇太子)の訪問地などを訪れました。とくに、鹿児島県歴史資料センター黎明館の企画展「幕末薩摩の留学生」を見学し、同館の灰床義博館長と懇談する機会を得ました。
 
 



保谷教授の第1報告

クリモフ研究員の第2報告

チェルニャフスキー館長の第3報告
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