ARTICLES

印刷

一般講演会「ランドール博士の科学的探索-ダークマターと恐竜の深い関係?」開催

掲載日:2016年7月20日

実施日: 2016年06月19日

2016 年6月19日に東京大学駒場キャンパスの21 Komcee レクチャーホールにおいて、カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)と新学術領域研究「なぜ宇宙は加速するのか? – 徹底的究明と将来への挑戦 -」の共催による「ランドール博士の科学的探索-ダークマターと恐竜の深い関係?」が開催され、学生約80名を含む200名の参加者で会場は満員となりました。

まず、Kavli IPMU 客員上級科学研究員を兼ねる向山信治京都大学基礎物理学研究所教授が「4次元を超えるかもしれない宇宙」と題して講演を行い、重力も含め全ての力を記述できるために究極の理論とされる超弦理論では4次元時空以上の次元が導き出されることを紹介。しかしそうした次元が見えない理由として、コンパクト化という4次元時空の中でそれ以上の次元が小さく丸まっているという説や、4次元時空がブレーンと呼ばれる膜状のものに張り付いていて、4次元時空以上の次元の中に浮いているような状態となっているために、我々から見えないという説を紹介しました。

続いて村山斉Kavli IPMU 機構長によるわかりやすい逐次通訳で、リサ・ランドール ハーバード大学物理学教授が「ダークマターがつなぐ宇宙・地球・生命 - ダークマターと恐竜絶滅」と題して講演し、新種のダークマターによって恐竜絶滅が引き起こされたのかもしれないという仮説を紹介しました。「抽象的な素粒子理論が私たちに深く関係していることを具体的に示したかった」と、この研究の動機を述べ、説を立ててその真偽の検証をすることで謎を切り崩していく、なかでも説を立てることの重要性を強調するとともに、過去の歴史の文脈の中で現在を考えることの意義を強調し、一見かけ離れた2つの事象をつなげた科学的探求についてのロマンあふれる講演を終えました。

2つの講演の後にはQ&Aセッションが行われました。会場から集まったホワイトボード一杯の付箋に書かれた質問を村山さんが選び、二人の講師に投げかけていました。閉会後も講師を囲み質問を行う一般の方が多数見られました。

参加者アンケートからは「程遠いテーマと思える物理が、いかに自分たちとつながっているかということ、科学者と一般人がつながって科学が発展していくと感じた」「観測出来ない物を、現象やその結果から存在を確認していく考え方が、非常に面白い」「宇宙論や素粒子物理学の講演で、地質学や恐竜話が聞けるのはとても新鮮で面白かった」「自分でも調べて、内容をくわしく知りたい」という思いに繋がって、本当におもしろかった」等たくさんの意見が寄せられ、参加者が非常に主体的にこの複数の領域にまたがる研究を受けとめている様子が伺えました。
 

関連URL:http://www.ipmu.jp/ja/2016-dinosaurs



会場から集まった膨大な量の質問に回答していく登壇者

一見かけ離れた2つの事象をつなげた科学的探求の歩みをわかりやすく講演するランドール教授

向山教授(左)、ランドール博士(中央)、村山機構長(右)
アクセス・キャンパスマップ
閉じる
柏キャンパス
閉じる
本郷キャンパス
閉じる
駒場キャンパス
閉じる