世界の卒業生紹介13/NASAの研究所で地球外生命発見を目指す小野雅裕さん|広報誌「淡青」34号より
実施日: 2017年03月07日
文系から理系、ビジネスから学究、芸術から政策と縦横無尽に地球規模で活躍する東大卒業生14名の姿から、世界と共にある東大を浮き彫りにします。
夢の扉をこじ開けたNASAの宇宙工学者
東大時代の小野さん
ネバダ州の砂漠で小型模擬人工衛星CanSatの打ち上げ。
望遠鏡で夜空を見るのが好きな父の隣にいるうちに自然と宇宙へと目が向き、宇宙開発の歴史に名を残すことを夢見た小野さん。東大の航空宇宙工学科では軌道を回る小型人工衛星の世話に明け暮れる日々でしたが、周囲がスーツに着替えて就職活動を始めると、その流れに溺れかけました。大手企業に就職するという現実的選択に傾く自分に違和感を覚えた頃、同じ研究室出身の先輩が留学先のMITから休暇で帰国し、話を聞く機会がありました。
「先輩が進んでいる道のほうが、自分が進もうとしている道よりも、過去の自分が憧れた生き方に近いと感じました。聞き終わる頃には、自分もMITへ行ってアメリカで宇宙開発をする、と決めていました」
その後訪れる幾度かの困難など、違和感が消え、覆われかけた夢が露わになった若者にとっては大した敵ではなかったでしょう。2013年にNASAの一員となった小野さん。今の仕事は、火星ローバーの自動運転技術です。任務は一日80mの走行距離を200mに向上させること。2020年に火星を走るのは小野さんの開発によるあらゆる凸凹を避けるマシンかもしれません。さて、その先は?
「ゆくゆくは地球外生命を発見したいんです」
少し前までは夢こそが小野さんの原動力でしたが、2016年春、もう一つ小さくてかわいくて大きな力が加わりました。地球外生命という歴史に名を残す大発見に沸く父の隣で、成長した娘さんは何を夢見るでしょうか。
おまけQ&A
東大時代に入っていた部・サークルは?
「テニサーの「Amourette」。サブキャプテンでした」
本郷キャンパスで好きだった場所は?
「中須賀真一先生の研究室と、人工衛星の世話で深夜に通った工学部7号館屋上です」
ご自身はグローバル人材だと思いますか?
「いいえ。やりたいことが国外にあったから行っただけです」
東大生に言いたいことは?
「自分の世界を大きく拡げてください。そのために大事なのは、本を読むこと、旅をすること、恋をすることです」
※本記事は広報誌「淡青」34号の記事から抜粋して掲載しています。PDF版は淡青ページをご覧ください。
JPLに展示されている火星ローバーの模型の前で。