令和元年台風15号により東京大学千葉演習林が被災 教育研究に影響も

令和元年9月9日に日本列島を通過した台風15号は千葉県を中心に甚大な被害をもたらしました。そして、この台風は農学生命科学研究科附属演習林のひとつ、千葉演習林にも被害をもたらしました。
千葉演習林は房総半島の南東部に位置し、日本で最初の大学演習林として1894年に創設された歴史ある演習林です。その森林は、暖温帯と冷温帯の植物種が同所的に分布する特徴があり、尾根沿いにモミ・ツガ、その下の斜面にスダジイ・カシ類が分布する針葉樹天然林、旧薪炭林でスダジイ・カシ類・カエデ類などからなる広葉樹天然生林等、極めて豊かな自然を残しています。また、全体の約1/3を占めるスギ・ヒノキ人工林には、植栽間もない幼齢林から180年を超える超高齢林まであらゆる林齢の林分が整備されています。蓄積されたデータ、利便性の高い学生宿舎や林道網などのインフラと併せて、森林・林業の教育・研究における非常に重要なフィールドとなっています。
この千葉演習林がこの度の台風により被害を受け、直後はほぼすべての林道が倒木や土砂崩れによって通行ができない状況に陥りました。そのため、地域一体で停電が続く中、千葉演習林の教職員がすべての林道を歩いて調査し、被害状況の把握と対策の検討に努めました(141箇所の被害を確認)。9月13日夜には天津事務所の停電が解消し、清澄作業所と札郷作業所についても18~19日に水道・電気が復旧しましたが、清澄作業所の通信ネットワークはまだ不通が続いています。
現在、千葉演習林の教職員によって復旧作業や被害調査を進めており、ごく一部の区間は車での通行が可能にもなってきております。しかし、大きな崩壊箇所の工事等はたいへん危険な作業となるため、専門の業者に発注するなどの対応をとる必要があり、全線の開通にはまだまだ時間がかかることが予想されております。また、森林の被害調査はまだ手が付けられておらず、もし大きな被害があると教育研究活動に影響することも懸念されます。一刻も早い教育研究機能の回復が望まれます。
本被害に対しては、速やかな災害復旧、教育研究機能の回復のため、東京大学基金を通じて「東京大学の森」育成資金(千葉演習林支援金)の募集を行っております。
詳細はこちら(演習林)になります。