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第12回学士会館モバイルミュージアム

掲載日:2022年9月30日

 神田にある学士会館は、旧帝国大学の卒業生らが集う施設として設けられました。関東大震災後の1928年に建てられた現在の建物は、今も重厚な存在感を放っています。そこに旧七帝大を紹介するブースがあることをご存知でしょうか。本学のブース運営は総合研究博物館が担当しています。
 他の六大学が、各々の沿革や特色をモニタあるいはグッズで現代風に紹介している中、本学は、伝統の重みを反映させた独自設計の展示ケースをしつらえ、学術標本の一点展示を継続しています。学術の歴史と多様性を物的証拠(モノ)で表現しようというコンセプトによるものです。2010年オープン時の展示品は、明治期に本学学生が発見し、後に「弥生時代」という時代名の元となった先史土器のレプリカ(実物は国指定重要文化財、総合研究博物館蔵)でした。以後、コロナ禍による不規則な開閉館があった中も展示更新を続け、2022年9月9日から第12回の展示を開始する運びとなりました。
 今回公開するのは、東京帝国大学理学部数学科で明治・大正期に用いられていた独マルチン・シリング社製の石膏製数理模型(写真)です。デジタル技術がない当時、数学教育に何が必要だったかを伝える好個な標本として、この模型が示す数式も添えて展示しました。
 総合研究博物館では、このように学術標本とその関連情報をユニット化して館外で公開する試みを「モバイルミュージアム」と位置づけ、積極的に推進しています。学士会館を訪問された際には、展示に足をとめていただければ幸いです(総合研究博物館長 西秋良宏)。


展示中の「パラメータ族の放物線が含まれた極小曲面を表現した幾何学関数実体模型」(本学数理科学研究科蔵)。

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