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アストロサイトがアルツハイマー病の病態に直接関与する 創薬標的となるアストロサイト由来アミロイドβ分解酵素を同定

掲載日:2018年10月26日

活性化アストロサイトと蓄積したアミロイドβ
活性化アストロサイトと蓄積したアミロイドβ
アルツハイマー病モデルマウス脳内で蓄積したアミロイドβ(赤色)の周囲でアストロサイト(緑色)が活性化して取り囲んでいる。
© 2018 Takuya Tatebe and Taisuke Tomita.

東京大学大学院薬学系研究科の富田泰輔教授、堀由起子助教、木棚究特別研究員、建部卓也元大学院生らの研究グループは、脳内における非神経細胞であるアストロサイトがアミロイドβを分解する酵素を分泌していることを見出し、その活性化が新しいアルツハイマー病治療・予防法開発に繋がる可能性を示しました。

高齢化社会において大きな社会問題となっているアルツハイマー病の発症機構では、脳におけるアミロイドβの凝集および蓄積が最初期に生じると考えられています。アルツハイマー病の最大の特徴は神経細胞死ですが、脳に存在する非神経細胞であるグリアの大部分を占めるアストロサイトの病的意義については不明な点が多く残されていました。

本研究グループは、アミロイドβを分解する新規酵素kallikrein-related peptidase 7(KLK7)を同定し、脳内ではアストロサイトが分泌していること、またアルツハイマー病患者脳ではその発現量が低下していることを見出しました。実際、KLK7遺伝子をノックアウトしたモデルマウス脳内ではアミロイドの蓄積が亢進しました。加えて、アストロサイトにおけるグルタミン酸シグナルを抑制することでKLK7の発現量と分解活性を上昇させることができることを見出しました。

本研究成果はこれまでにアルツハイマー病発症機構の解明において大きく注目されてこなかったアストロサイトが脳内におけるアミロイドβの蓄積を直接的に制御していることを示し、アストロサイトを創薬標的細胞とした治療・予防法開発につながることが期待されます。

論文情報

Kiwami Kidana, Takuya Tatebe, Kaori Ito, Norikazu Hara, Akiyoshi Kakita, Takashi Saito, Sho Takatori, Yasuyoshi Ouchi, Takeshi Ikeuchi, Mitsuhiro Makino, Takaomi C. Saido, Masahiro Akishita, Takeshi Iwatsubo, Yukiko Hori and Taisuke Tomita, "Loss of kallikrein-related peptidase 7 exacerbates amyloid pathology in Alzheimer's disease model mice," EMBO Molecular Medicine 2018/01/08 (Japan time) : 2018年1月8日, doi:10.15252/emmm.201708184.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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