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ステロイド系抗生物質の微生物生産系の構築 新規ステロイド系抗生物質を創出する微生物生産系の構築に成功

掲載日:2018年10月23日

ステロイド抗生物質の微生物生産系
ステロイド抗生物質の微生物生産系
合成生物学の手法を用いて新規骨格抗生物質を生合成することができます。
© 2018 Ikuro Abe.

東京大学薬学系研究科の阿部郁朗教授と胡丹特別研究員らの研究グループは、ステロイド抗生物質の微生物生産系を構築し、その生合成経路を利用することで、本来の化合物よりも活性の高いアナログを取得することに成功しました。本成果は、合成生物学の手法を用いた新規活性物質の生産手法の構築を通して、創薬へと応用されることが期待されます。

自然界には様々な構造の化合物があり創薬資源として用いられていますが、フシジン酸、ヘルボール酸などのステロイド系抗生物質は、翻訳過程を阻害することで、抗細菌活性を示す特異な化合物群です。これまで、その生合成経路は初期の数ステップが明らかになっていたものの、その全容は謎に包まれていました。

今回、本研究グループは、ヘルボール酸の生合成に関わる遺伝子群に注目し、それらを糸状菌ホストで異種発現することで、オキシドスクアレンからヘルボール酸に至る9つの生合成ステップの全てを明らかにし、それぞれの中間体を単離することで、非天然型の抗生物質を取得することに成功しました。その中には、ヘルボール酸よりも高い抗ブドウ球菌活性を持つ中間体が存在することを明らかにし、ステロイドのA、B環の構造が活性に寄与することを示しました。さらに、研究の過程で、P-450酸化酵素と還元酵素が協奏的に働くことで、4位の脱メチル化を行う新規な生合成経路を示すことに成功しました。

「私たちは今回、天然物を超える活性を持つ抗生物質を迅速簡便に生合成するシステムを構築しました。」と阿部教授は話します。「合成生物学の手法を用いて、生体触媒を用いたドラッグデザインの新手法の発展を行い、薬学研究に貢献できれば」と期待を寄せます。

本研究は、新学術領域「生合成リデザイン」JST/NSFC日本-中国戦略的国際共同研究プログラム「植物共生菌相互作用の包括的利用による二次代謝産物の網羅的解析」研究活動の一環として行われました。

論文情報

Jian-Ming Lv, Dan Hu, Hao Gao, Tetsuo Kushiro, Takayoshi Awakawa, Guo-Dong Chen, Chuan-Xi Wang, Ikuro Abe, and Xin-Sheng Yao, "Biosynthesis of helvolic acid and identification of an unusual C-4-demethylation process distinct from sterol biosynthesis," Nature Communications: 2017年11月21日, doi:10.1038/s41467-017-01813-9.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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