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DMG森精機と東京大学が共同記者会見を開催 2026年4月に「マシニング・トランスフォーメーション研究センター(MXセンター)」を開設

掲載日:2026年3月25日

2026年3月9日、DMG森精機株式会社(以下、DMG森精機)と国立大学法人東京大学(以下、東京大学)は、「マシニング・トランスフォーメーション研究センター(MXセンター)」の開設について、東京大学本郷キャンパスの安田講堂にて共同記者会見を開催しました。共同記者会見には、東京大学から藤井輝夫総長、加藤泰浩工学系研究科長、センター長に就任する杉田直彦教授の3名、DMG森精機から森雅彦取締役社長、入野成弘執行役員(先端技術研究所担当)、廣野陽子執行役員(AM統括担当)の3名が出席しました。来賓として経済産業省の須賀千鶴製造産業局産業機械課長兼製造産業DX政策企画調整官 / AIロボティクス推進官に出席いただき、会場となった安田講堂には、経済紙や業界専門紙、テレビ局をはじめ多数の報道機関・ジャーナリストが来場しました。

MXセンターの設立に向け、熱い握手を交わす東京大学 藤井総長(左)とDMG森精機 森取締役社長(右)

MXセンターは、DMG森精機からの寄付金10億円による「エンダウメント」の仕組みを活用し、2026年4月1日に東大大学院工学系研究科内に開設します。工程集約や自動化、DXでGX(グリーン・トランスフォーメーション)を実現するMX(マシニング・トランスフォーメーション)を産学共創で推進。2050年を見据え、高効率化や省エネ、人材不足解消の研究に取り組み、製造業の課題解決を牽引する拠点を目指します。

東京大学のビジョン:自律的・長期的な研究体制の構築を語る藤井総長

冒頭、藤井総長は、次世代の研究者が独立して自由な発想で研究を進める環境を担保するため、長期的・安定的に運用できる基金「エンダウメント」の拡大に注力する現状を説明。日本の製造業が直面する国際競争力の低下や人材不足等の課題に触れ、「技術革新には単なる生産性向上に留まらず、多様な課題の解決が求められている」と指摘しました。新設のMXセンターがその牽引拠点になると強調し、学内外の機関と連携して学術的知見の創出と社会実装を一体的に進め、製造現場の課題解決や持続可能な未来社会の構築に貢献することに期待を込めました。

DMG森精機の構想:MXの意義について語る森雅彦代表取締役社長

続いて、DMG森精機の森雅彦取締役社長は、工作機械が前後50年という長いスパンで稼働する独自の時間軸を説明。企業単独では難しい「5~20年先に使える技術」を東京大学とじっくり開発したいと語りました。また、AIによる複雑な制御に応える精密な機械構築には膨大な変数が存在し、世界有数のAI研究を行う東京大学との共創で技術的障壁を突破したいと期待を寄せました。10億円の寄付を通じて、未来への投資が可能である前向きな事例を示したいと決意を滲ませました。

工学の知を社会実装へ:工学系研究科が担う役割を示す加藤泰浩工学系研究科長

次に加藤工学系研究科長は、MXセンターは次世代技術の開発で従来のプロセスを超える新ソリューションを提供し、新たな価値を生み出す力を目指すと語りました。真価は「産業界との連携」にあり、現場のニーズに応じた技術開発で社会的インパクトを最大化すると展望。また、次世代の技術リーダーを育成する場として、学生の実践的な経験が将来のキャリアに貴重になると確信を込めました。
来賓の経済産業省・須賀氏も登壇され、工作機械を日本が世界で勝ち続けている稀有な産業、国力に直結するものと位置づけ、本センターへの高い期待を表明。AIロボティクスの本命も工作機械業界だとし、意欲ある学生らへ「日本が世界で勝てる分野に将来を賭けてほしい」と熱いメッセージを送りました。

MXセンターの具体的な設計図:学術と実装の融合について説明するDMG森精機 廣野執行役員(右)、入野執行役員(左)、東京大学杉田教授(中央)

続いて、DMG森精機の廣野執行役員(AM統括担当)、入野執行役員(先端技術研究所担当)、そしてセンター長に就任する東京大学の杉田教授が登壇し、プロジェクトの概要について説明しました。廣野執行役員は、MXを工程集約や自動化、DXにより生産工程を改善しGXを実現する仕組みだと解説。入野執行役員は、2050年までに世界の工作機械を100万台へ集約するミッションを提示し、計測・予測DX・加工の融合による「フィジカルAI」の価値を強調。その実現に向けた可視化やモデル化技術を研究テーマに掲げました。杉田教授は、SPring-8等を用いた加工プロセスの可視化などの具体的研究や、社会実装まで一気通貫で進める役割を説明。加えて、インターンやリカレント教育を通じ「専門性と技術を俯瞰できる能力を併せ持つ人材」を育成する展望を語りました。


さらに、本プロジェクトを担当する教員の紹介と共に教員代表の高木教授が登壇し、東大の幅広い知見を結集し学外機関とも連携する抱負を語りました。また、自身の学生時代を振り返りつつ「時代は確実に変わってきている」と言及。今回のメンバーに女性教員が加わっている現状に触れ、産学共創の機会を活かし、ジェンダーバランスや国際的な多様性も重視して「次世代のものづくりを担う人材を育成していきたい」と変革への決意を述べました。

会見終盤の質疑応答では、メディア各社から質問が寄せられました。主な質疑応答は以下のとおりです。

報道関係者からの質問に答える登壇者

Q1.
MXセンターを通じて実現したいことと、なぜ東京大学との連携なのか。


(森社長より回答)
「測定方法や規格、精度の保証といった領域は、アカデミア(学術界)のバックアップなしには成り立たない部分が多々あります。また、日本を代表する東京大学でこうした先進的な取り組みを行うことで、日本のものづくりに携わる人々がより自信と誇りを持てるようになるのではないかと考えました。」
(藤井総長より回答)
「マシニング、ひいてはマニュファクチャリングそのものを新しい形にしていくことで、サステナビリティの問題やエネルギーの問題、さらには人材育成にもつなげていける。非常に効率性の高い、未来を見据えた取り組みが可能になると考えています。」

Q2.
なぜ今、長期的な取り組みが必要なのか。500万台から100万台への集約に向けて、技術だけで顧客の意識は変わるのか。


(森社長より回答)
「従来の機械工学・電気工学・ソフトウェア工学に加え、AIの進化や付加加工の登場で、材料の物性やSPring-8のような大型施設での分析など、一企業の手持ちの技術者だけではとてもカバーしきれない領域が広がっています。世界中で約2万台をネットワーク接続したデータを見ると、平均稼働時間は年間1,600時間程度にとどまっています。稼働率を適切に上げれば、機械は10年程度で適切に摩耗し、更新の好循環が生まれます。その技術的な裏付けを大学と一緒に作っていきたいと考えています。」

Q3.
ドイツのアーヘン工科大学のような「産学官連携の理想形」を構想しているか。また、新しい機械の誕生も視野に入っているのか。


(森社長より回答)
「まさにその通りです。これまで企業側が踏み込んでいなかっただけで、大学側にはそれを受け入れる十分な素地があります。私共が先陣を切ることで、同様の取り組みが広がれば素晴らしい。特に計測分野において、世界基準となるスタンダードを作っていきたいと考えています」
(杉田教授より回答)
「大学の強みは、工作機械業界から見たユーザーと幅広い付き合いがあること。メーカーとユーザーの間のブリッジができるのが大学の役割であり、MXセンターではその仕組みをさらに拡充していきたいと思っています。」

Q4.
3つの研究テーマは工程集約にどう直結するのか。また昨今の学生の製造業への関心はどう変化しているか。


(入野執行役員より回答)
「デジタルによって加工工程の結果を予測できるようになり、事前にどのルートが最適かがわかるようになります。さらに可視化によって結果を検証し、改善すべき点を特定することで、どのように工程を集約し、自動化・デジタル化を取り入れていけばよいかが明確になります。」
(杉田教授より回答)
「率直に申し上げれば、現在の学生にとって魅力的に映るのは情報系やコンサルティング業界であり、機械工学専攻の学生ですらそちらを目指す傾向があります。我々の発信力不足も否めませんが、本センターを通じて、実社会を動かす『機械』の面白さやダイナミズムを、次世代へしっかりと伝えていく場にしたいと考えています」


MXセンターは、東京大学が誇る「知」と、DMG森精機が培ってきた「技術」を真に融合させる画期的な取り組みの場です。DMG森精機と東京大学はMXセンターを通じて、機械・材料・制御・数理・データ科学を融合した学術的知見の創出と、産学連携した社会実装を一体で推進する「学術と実装の融合」を強力に進めることで、マシニング・トランスフォーメーション(MX)による製造業のさらなる進化と持続可能な未来社会の実現を目指していきます。


【MXセンター概要】

  • 名称:マシニング・トランスフォーメーション研究センター(MXセンター)
  • 開設日:2026年4月1日
  • センター長:東京大学大学院工学系研究科 杉田 直彦 教授
  • 運営形態:DMG森精機による10億円の寄付を原資とした「エンダウメント型」研究組織
  • 主な研究内容:加工プロセスの可視化・モデル化、工作機械の高度化、デジタル技術を活用した設計・制御・運用の高度化
  • 人材育成:ORT(On the Research Training)、セミナー、インターンシップ等
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