大学院「大学経営・政策コース」の新設記者発表

大学院「大学経営・政策コース」の新設

発表者　　　教育学研究科長　　　　 佐藤　学
　　　　　　　 教育学研究科　教授　　矢野　真和
　　　　　　　 教育学研究科　教授　　金子　元久

発表概要

　 本学大学院教育学研究科に「大学経営・政策コース」（修士・博士課程）を新設し、学生を募集します。この分野での研究者を志望するものだけでなく、すでに大学経営や政策形成の経験がある在職者を対象に、この分野での高度の職業人教育をおこなうことを目的とします。

発表内容

●　本コース設置の目的

• 法人化にともなって国立大学の管理運営には従来とは異なった自由が与えられる一方で、きわめて厳しい管理上の責任も生じています。また私立大学についても18歳人口の減少にともなって経営環境が激変するとともに、私立大学法等の改正によって、管理運営について社会的な責任を強く求められるようになろうとしています。これまで規制と慣行とに縛られていた大学のマネージメント機能は大きく変容することが求められています。
• 大学が健全なバイタリティーを維持するためには大学は不断に自己革新を進めねばならず、そのために強力なマネージメント機能が不可欠となります。その中核となる幹部事務職員が、大学経営の専門家としての高い見識と、自律的な判断能力を身につけることが不可欠です。また個々の大学がより高い自律性をもち、大学に対する直接的な行政的統制は力を減ずることになれば、政府や地方自治体において高等教育政策にかかわる行政官にも新しい知識・能力が必要となります。
• こうした課題に答えなえれば、始まりつつある高等教育改革にも多くの成果を期待できません。　このコースはそうした問題意識をもった方々を対象とした、教育と相互研鑚、研究の場をつくろうという意図のもとに作られました。

●　概要

　大学・高等教育の管理者、政策担当者を対象に大学の管理運営、高等教育政策などについて理論的・実践的な教育を行うとともに、この新しい分野の研究者、将来のリーダーを育成する大学院です

• 修士課程では：　基本的な理論的学習とともに、実際の大学の事例をとりあげたケーススタディに参加し、それを中心に修士論文を書くことを通じて、広い視野と実践的な判断力をもつ幹部事務職員、行政官を養成するとともに、この分野での研究者を目指す人に基礎的な教育をおこないます。

• 博士課程では：　すでに修士課程を修了し、また幹部事務職員、行政職員として経験をもつ方を対象に、国際的な規模で指導的な役割を果たしえる幹部事務職員、行政官を養成するとともに、この新しい分野での研究者、また教育訓練のリーダーになるような人材を養成します。
• 研究面では：　日本の大学経営の実態や改革の経験を蓄積して分析し、実践との対話にもとづいた新しい研究スタイルをもとに、国内の大学経営者のネットワークをつくり、また欧米、ｱｼﾞｱの同様の教育研究プログラムと国際的な交流拠点ともなります。

●東大のコースはどこがユニークか

• 大学経営・政策コースの専任の教員のみならず、教育学研究科の隣接分野の協力を得るとともに、学内においては東京大学大学総合教育研究センター、また学外の大学関係などの諸機関、文部科学省などとの連携関係を構築することによって、幅広い人材を活用して専門的かつ実践的な教育を行います。また最大の国立大学である東京大学の管理運営機構、事務局に蓄積された経験や新しい試みを、教材として活用します。
• 既存の高等教育論を中心として理論的な軸をすえるとともに、財務会計、大学評価などについての専門的知識についても専門的な訓練をおこないます。加えて、数大学の事例をとりあげて、ケーススタディをおこない、実践的な判断力を養成します。
• 夏期などに国内外の大学を訪問するなどの形で、ケーススタディを集中的におこない、それをもとに修士論文を作成するなど、フルタイムの学生だけでなく、職業人にも適合した柔軟な、かつ教育効果の高い教育課程を作ります。

●　入学者募集（募集要項は平成16年12月中旬に交付予定です。）

　 願書受付（予定）　平成17（2005）年1月5日（水）～11日（火）
　 試験日（予定）
　　 　【修士課程】
　　　　　 外国語・専門科目　：　平成17（2005）年2月15日（火）
　　　　　 口述試験　：　平成17（2005）年2月16日（水）
　　　 【博士課程】
　　　　　 一次試験(外国語)　：　平成17（2005）年2月15日（火）
　　　　　 二次試験(口述試験)　：　平成17（2005）年2月22日（火）
　 受入予定人員
　　　 【修士課程】　15名　【博士課程】　5名