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東京大学工学系研究科・工学部第11回記者会見研究成果

東京大学工学系研究科・工学部第11回記者会見

プログラム:

(1) 「広報誌T time!第3号発行について」

堀井 秀之 教授 工学系研究科広報室長

  広報室では、今年度から、東京大学工学部の活動を広く一般の方々に知って頂くために、広報誌T time!を発行している。10月29日発行の第3号では、光石衛教授(産業機械工学科)の工学知セミナー要約とインタビューを通して、医療用ロボットの研究という医工連携、産学協同で進められている先端的な研究を紹介すると共に、学内のものづくりサークルについて取り上げている。「ものづくり」の重要性があらためて認識されている時代背景の中、近年、学生がものづくりに関する創造性を発揮できる場として種々のコンテストが企画されており、本学のものづくりサークルもそれらに参加している。今回は、全日本学生フォーミュラ大会、NHK大学ロボコンにそれぞれ参加している東京大学Formula Factory、東京大学RoboTechの代表者にインタビューし、活動を紹介している。これらのサークルは、工学部・機械系三学科の教員が顧問を務めており、マシン製作の場を提供するなど活動をサポートしているものである。課外活動の場においても「ものづくり」の創造性を発揮し、活躍している学生達にも注目して頂ければ幸いである。

 

(2) 電気工学専攻、電子工学専攻、精密機械工学専攻における最近の研究紹介

「プラズマ合体実験が開く磁気リコネクションの世界 -宇宙から核融合まで-」

小野 靖 教授 (電気工学専攻)

  磁気リコネクションとは文字通り、プラズマ中の互いに反平行な磁力線同士が接近して、X状につなぎ変わる現象です。宇宙では磁気嵐や太陽フレア(爆発現象)、地上では核融合プラズマで見られ、理論予測を大幅に越える速い磁場構造変化や大きな異常加熱が謎になっています。過去30年は観測や理論中心の研究でしたが、問題は多数出される仮説や理論をいかに裏付けるかです。遠距離からの太陽衛星観測、地球磁気圏衛星のピンポイント観測の限界を突破するため、磁気リコネクションの室内実験がクローズアップされています。本講演では、トーラスプラズマの合体という新手法により磁気リコネクション現象を実験室で検証可能にし、宇宙をはじめとする現象解明に結びつけ、さらには、初めて磁気リコネクションを核融合プラズマの加熱に応用し、少ない磁場で多くのプラズマが閉じ込められる次世代核融合閉じ込め研究を進めている東京大学TS-3/4グループの活動を紹介します。

 

「武田先端知ビルクリーンルームと先端知機能材料デバイスラボラトリーズ」

杉山 正和 講師 (電子工学専攻)

  東京大学工学部は、大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)と協同で、武田郁夫氏の寄付をもとに「武田先端知ビル」を建設した。このビルの地下には、クラス1を含む最先端のクリーンルームが設置されている。工学部・工学系研究科の様々な研究グループが本クリーンルームを共同利用し、先端マテリアル、微細加工技術、高度実装技術を用いた新規デバイスを開発する。
  本学における研究活動は、個人の自由な発想が活かして自立分散的に行われ、成果を挙げてきた。しかし、これは一方でチームとしての相乗効果を発揮しづらくしてきた。自立分散系に協調の効果を誘導するため、学科・専攻横断的な共同研究組織である「先端知機能材料デバイスラボラトリーズ」が設立された。機械工学、精密機械工学、機械情報工学、航空宇宙工学、電子工学、システム量子工学、マテリアル工学、化学システム工学と非常に幅広い分野の研究者が中心となり、武田先端知ビルクリーンルームをコラボレーションプラットフォームとする共同研究を始めた。このような「自立分散協調系」のクリーンルーム利用は、他に例を見ないものであり、今後の研究の発展が期待される。

 

「ニューロエンジニアリングに向けて -精密加工技術に基づく生体計測-」

 神保 泰彦 助教授 (精密機械工学専攻)

 生体情報処理の特徴は、時間的・空間的に分散した形で表現された情報を並列に処理するところにあります。この時空間的広がりを持つ脳神経系の信号を計測し、外部の人工的なシステムとの間で相互作用させる研究に取り組んでいます。「マイクロ・ナノ加工技術を利用してデバイスを作り、柔らかい生体組織と直接結びつける」というアプローチの仕方をしています。これまでに、ネズミの大脳皮質ニューロンを使って、神経回路が形作られるまでの過程を2ヶ月間に渡って連続的に追跡することに成功しています。現在は、ニューロン1つ1つを人為的に並べて、"簡単な"ニューラルネットワークを作る実験を計画しています。生物の情報処理の本質を理解すること、さらには感覚機能の再生など医療への応用も視野に入れて研究を進めています。

 

「マイクロチャンネルを用いた新しい液滴・微粒子生成法」

鳥居 徹 助教授 (精密機械工学専攻)

  本研究は、マイクロチャンネルが互いに交差あるいは分岐する構造(T字、Y字、十字等)を用いて、微小液滴を調製する手法に関するものである。本手法の特長として、単分散液滴を生成できること、流量調節により液滴サイズならび生成量を柔軟に制御可能なことが挙げられる。本技術を応用して、ツイストボールといわれる電子ペーパー用の2色微粒子の生成や油的中に多数の水滴が存在する多層エマルションの生成、主液滴とサテライト液滴の分離など新規マイクロリアクタに関する研究を行っている。

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