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研究成果「世界最短パルスの測定に成功」研究成果

研究成果「世界最短パルスの測定に成功」

発表概要

高強度の極端紫外(44nm)アト秒光パルス(1アト秒=100京分の一秒)を発生し、そのパルス幅の測定に初めて成功しました。


発表内容

超高速で起こる現象の一瞬のスナップショットを撮るためには、瞬間的に光るフラッシュが必要です。フラッシュの時間幅が短ければ短いほど、速く動く現象を撮影することが可能となります。現在、世界最短光パルスはアト秒(1アト秒=100京分の一秒)といわれる時間領域に達しています。

世界最短光パルスの測定に成功
私たちは、極端紫外光(44nm)によりアト秒パルス(1アト秒=100京分の一秒)を発生し、そのパルス幅の測定に初めて成功しました。このような短いパルスは、原子核の周りを回る電子や化学反応にともなう電子の移動の様子を、静止画像として撮影することを可能にすると期待されます。また、オングストローム(10分の一ナノメートル)領域に局在する電子波束の操作を可能にします。

高次高調波を使用
パルスレーザー光源としてよく用いられる800nm(赤色)の光の1サイクルは2.7フェムト秒(1フェムト秒=1千兆分の一秒)であり、これ以下の光パルスを作ることはできません。そのため、今回は400nm(800nmの2倍波で青色)の強いレーザー光を希ガスに集光することによって得られる9次高調波(基本波800nmの1/18の波長を持つ)を使用しました。特徴は、比較的低い次数を用いたことにより、高調波の強度が他のグループが発生したアト秒パルス光に比べ10倍以上強いことです。

自己相関でパルス幅を測定
光のパルス幅は、光パルスを2つに分け、2つのパルスが同時に重なった時に信号が増える現象を使って測ります(自己相関法)。この場合、信号は光強度の2乗に比例しなければなりません(非線形効果)。今回使った非線形効果は、希ガスが2個の光子を同時に吸収してイオン化する現象(2光子イオン化)です。この2光子イオン化は、世界で最も短い波長で観測された非線形効果であり、用いた9次高調波が強いことにより成功しました。


発表雑誌

Nature誌12月2日号
論文タイトル”Nonlinear optics in the extreme ultraviolet”

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