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研究成果「脳神経情報伝達の持続維持にはGTP分解酵素ダイナミンによるシナプス小胞の回収が必要不可欠である」研究成果

研究成果「脳神経情報伝達の持続維持にはGTP分解酵素ダイナミンによるシナプス小胞の回収が必要不可欠である」

  1. 発表内容
    「脳神経情報伝達の持続維持にはGTP分解酵素ダイナミンによるシナプス小胞の回収が必要不可欠である」

  2. 発表の概要
    シナプス伝達は神経終末端のシナプス小胞から開口放出される伝達物質によって媒介される。伝達物質を放出後、空になった小胞は回収再利用され、これによって、シナプス伝達が長時間にわたって持続可能となる。この小胞リサイクリングの分子機構に関する研究は専ら分離小胞や培養分泌細胞で行われており、神経終末端における実体は明らかでない。東京大学大学院医学系研究科(高橋智幸教授)博士課程大学院生、山下貴之らはネズミの脳幹から厚さ0.2mmの切片を切り出し、顕微鏡で神経終末端を観察しながら細胞内記録を行い、神経刺激によって誘発されるシナプス小胞の開口・回収数を膜容量変化から測定した。神経末端内に非水解性のGTP類似体GTPgSを注入すると小胞回収が停止し、その結果、反復刺激による開口放出の度に小胞数が減少して、最後はシナプス伝達が停止した。またGTP分解酵素ダイナミンの結合阻害ペプチドを神経終末端内に注入すると、同様に小胞回収が停止した。分離小胞分画を用いた研究によるとダイナミンは細胞膜のくびれを切り離して小胞を作るとされているが、このたびの研究により、神経終末端のシナプス小胞の回収にはダイナミンによるGTPの分解が必須なことが明らかになった。この成果は脳内情報伝達の維持に必要な分子機構のひとつを明らかにしたもので、臨床的には神経疾患の分子治療にかかわる基礎知見を提供したものと位置づけられる。

  3. 発表雑誌
    米科学誌 Science 2004年12月号掲載 Takayuki Yamashita, Toshihide Hige, Tomoyuki Takahashi (2004). Vesicle endocytosis requires dynamin-dependent GTP hydrolysis at a fast CNS synapse.  Science 2005年1月7日号.
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