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研究成果「国際共同研究により希少な火星隕石が新たに発見された」研究成果

研究成果「国際共同研究により希少な火星隕石が新たに発見された」

発表の概要

 4年前にフランスの有名な隕石ハンターであるフェクテーとビドートがモロッコから数百個もの隕石を持ち帰ってきた。その中にいくつかの破片になった黒い石が含まれていたが、最初は隕石だとは考えられなかった。ところが、昨年の夏になって、その石を分析したフランスの研究者によって、火星から来た隕石である可能性が明らかになり、ヨーロッパ(フランス、イギリス)・アメリカ・日本(東京大学・三河内 岳)による国際的な共同研究が組織された。その石は、18世紀のフランスの博学者にちなみ「ディデロット」と名付けられ、その後、国際隕石学会の命名委員会から、「NWA2737」という公式な名称が与えられた。

 隕石は、これまでに南極やアフリカの砂漠などから、約25,000個以上も見つかっているが、火星隕石は、わずか30個ほどしか見つかっていない。火星隕石は、火星に衝突した隕石の衝撃で、火星の石がはじき飛ばされて地球に到達したものである。現在、火星ではNASAの2機のローバー、スピリットとオポチュニティーが探査を続けているが、人類が手にしている実物の火星の石は、火星隕石のみであり、火星の地質や太陽系の天体の進化などを知る上で、非常に貴重な試料となっている。

 今回、見つかったNWA2737(総重量:611グラム)は、火星隕石の中では、これまでにたった1個しか見つかっていなかった希少なグループ(シャシナイト)に属することが明らかになった。この隕石は、1815年にフランスのシャシニーという村に落下したもので、火星から来た隕石と分かったのは20年ほど前であるが、火星隕石の中では、いちばん昔から知られているものである。それから200年近くたって、再びフランス人によって2つ目のこのタイプの火星隕石が見つかったわけである。この火星隕石ができたのは、約13億年前と見積もられており、火星の過去の歴史を知る上で貴重な試料になっているが、今回のNWA2737の発見によって、多くの新しい発見が期待されている。

 現在、NWA2737は、上記の国際共同研究チームのメンバーによって詳細に分析されており、3月にアメリカ・ヒューストンで開催される第36回月惑星科学会議で最初の分析結果が報告されることになっている。

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