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東京大学、三菱電機と安心・安全・快適な都市空間の構築に関する連携を開始記者発表

東京大学、三菱電機と安心・安全・快適な都市空間の構築に関する連携を開始

  このたび東京大学(総長:佐々木 毅)は,一層の社会貢献を目指した産学連携の取り組みとして,三菱電機株式会社(執行役社長:野間口 有)と,安心・安全・快適な都市空間を構築する共同研究を開始することで合意しました。


<連携の背景および概要>

  世界的な共通課題として,大災害に対する減災対策や,犯罪・テロ防止のためのセキュリティ対策の重要性が強く認識されつつあります.被災した建物や人の状況を正確に掴めないために被害が拡大した苦い教訓を過去の大災害の多くにおいて,経験してきました.また,近年,犯罪が増え,またその内容が国際化・高度化・多様化しつつある中でセキュリティシステムが追いついていないという状況にあるといえます.安心・安全を高めることは極めて重要な社会問題ですが,それを進めることは我々の日常生活にいろいろな形で制約や束縛を与え,快適性が失われ,また大きな経済的負担を課してくることにもなりかねません.最新の科学技術のより新しい形でこれらの問題を解決できること示す責務があり,それが社会貢献の一つと考えています.
  東京大学は,自然環境や建物などの人工環境あるいは人のセンシング情報を利用した安心・安全でかつ快適な都市空間を構築する研究を精力的に進めてきました.一方,三菱電機は,指紋認証や監視カメラなど物理セキュリティ分野におけるリーディング企業として,安心・安全システムの発展に取り組んできています.
  今回,東京大学はProprius21(注1)のもと,実成果を挙げかつ社会に貢献できる共同研究について企業と議論を重ねた結果,国際的に要求の高まる安心・安全でかつ快適な都市空間の構築を,三菱電機と連携することで研究開発から実用化にまで至る視点で推進できると判断しました.


<具体的な内容>

  本共同研究では,先端的センシング技術とそこからの情報を高度利用することにより,安心・安全かつ快適性の高い都市空間,すなわち「知動化空間(注2)」の構築を目指します.具体的には,人や環境のリアルタイム情報から様々な状況に適応した,安心・安全・快適に関わる多くの機能を提供できる空間を構築するための要素技術・応用技術の開発を行います.
  例えば,都市空間内で活動する人間に対して,従来に無い確度で人物を認識し,その動線を記録・分析するシステムを開発します.これまでの人物認証は,携行するIDやタグに頼る方式に限られていましたが,ここでは,「手ぶらで安心・安全・快適」を実現させます.すなわち,ID等を持たない人物に対しても,顔画像の認識技術と,電波による人物検出技術を核に,人物行動解析アルゴリズム,群衆の動線認識技術等を組み合わせる事で,自由空間においても高い確度で人物およびその行動を同定する方式の確立を目指します.
  このような技術と自然環境や人工環境のセンシング技術とを組み合わせることにより,防犯・セキュリティ,防災・減災,およびマーケティングなどのいろいろな分野へ有用な情報を提供し,有効な行動がとれるシステムを実現します.偽造ID等への脆弱性を持つ現在のセキュリティシステムを補完し,日常の見守りのなかでのセキュリティを向上するシステム,突発災害時に被災者を見守り,被害を軽減するシステム,あわせて個人の嗜好にあわせた快適なショッピング空間・人の動きに適応した屋内環境コントロールなどを通じた生活の快適さが向上するシステムなどを実現します.


<今後の展開>

  工学系研究科社会基盤学専攻教授:藤野陽三が中心となり,東京大学の複数の部局と三菱電機株式会社先端技術総合研究所(所長:久間 和生)とが連携し,2005月4月1日から共同研究を開始します.これ以外にも,相乗効果が期待できる他企業をはじめ,国の関連研究所とも連携を図りながら,第一フェーズとしてセキュリティシステムなどの3年後の実用化を,第2フェーズとして防災・減災システムや快適マーケティングシステムなどの5年後の実用化を目指します.

(注1)東京大学は,より明確な形で社会に貢献できる知の創造を目指した産学連携を積極的に推進しています.企業との共同研究を開始する前にその計画を十分練る事で,はっきりとした成果を産学双方がコミットすることが重要との観点から,産学連携本部(本部長:石川正俊)を中心に,共同研究の立案を行う制度“Proprius21(プロプリウス21)”を推進しています.

(注2)知動化空間:インテリジェント(知)かつダイナミック(動)に機能化された空間

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