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エネルギーセキュリティと地球温暖化防止への対応 日本の持続型社会のエネルギービジョン・トリプル50について記者発表

エネルギーセキュリティと地球温暖化防止への対応 日本の持続型社会のエネルギービジョン・トリプル50について

                                                                                          平成17年5月6日

     エネルギーセキュリティと地球温暖化防止への対応
   日本の持続型社会のエネルギービジョン・トリプル50について

                                           東京大学 持続型社会研究協議会*

近年、世界の化石燃料消費は、飛躍的な増大を示しており、将来起こりうる石油の供給不安定化への対応は、エネルギー自給率の低い日本にとって重要な問題であり、又、同時に、地球温暖化防止の観点から化石燃料の消費に伴うCO2の排出抑制が求められています。このような社会情勢の中、数百年規模で人類の永続性を実現する為には、有限である化石資源への依存を低減し、短中期的なリスクを許容しつつ,永続的利用が可能な再生可能エネルギーと原子力エネルギーの利用を基本とした社会構造へとソフトランディングを図ることが必要であると考えます。
そこで持続型社会研究協議会では、これらの問題を解決し、日本が世界の範となる持続型社会を実現するための技術開発の挑戦目標(エネルギービジョン)として、トリプル50を発表します。

本協議会では、この挑戦目標設定にあたり、新たにバックキャストの考え方を取り入れました。これは、従来の現状からの予測に基づき将来の目標を設定する手法と異なり、まず未来のあるべき姿を設定し、それに基づき、その姿を達成する為の目標と取り組むべき事を設定する手法です。
具体的には、日本が持続型社会を実現する為、2030年時点での日本の目指すべきエネルギービジョンとして、トリプル50%-①エネルギー自給率50%、②エネルギー利用効率50%、③化石燃料依存率50%-を設定しました。エネルギー自給率は、日本の持続的発展を維持する為、将来の日本の貿易収支、及び、それに基づき輸入可能なエネルギー量の検討に基づき、50%を設定しました。エネルギーセキュリティの観点から化石燃料依存率も50%と設定しました。また日本は既に、世界トップレベルの省エネ大国ですが、これを更に普及・発展させ、世界の範となる省エネ国家をめざすとともに、エネルギー価格が高騰する状況においても日本の競争力を維持する為に、エネルギー利用効率50%を設定しました。

協議会では、このトリプル50を実現するために必要な社会の姿創りに向け、まず以下の観点から、社会の姿の具体化(グランドデザイン)と実現に必要な技術課題の抽出について検討を進めています。
① 再生可能エネルギーの最大活用と、その大幅導入を可能とする社会システム
② 産業分野でのエネルギーの高効率利用
③ エネルギー消費とCO2排出の大幅削減を実現する持続型エネルギータウン
  現在検討中の例を上げれば、再生可能エネルギーの活用では、風力、太陽光、バイオマスの最大活用について検討を進めるとともに、この再生可能エネルギーを原子力と併せて、日本のエネルギーの半分を支える柱にしていく為に、不安定な電源を許容する為のエネルギーのネットワーク制御、蓄エネルギー等に関する技術課題の抽出に加え社会システムも含めた検討に取り組んでいます。又、エネルギーの高効率利用では、エネルギー消費を低減させる為の各種反応プロセスの最適組み合わせを目指したコプロダクションシステム、持続型エネルギータウンでは、エネルギー消費4割削減とCO2排出量の半減を実現する都市のあり方について、地域のエネルギーマネジメントと徹底した省エネ技術、更に、これらの技術を最大限活用しうる都市システムについて検討を行っています。
又、これまでの検討の結果、ビジョン実現のためには、エネルギーネットワークや交通システム等について業界を横断した検討の必要が明らかになっており、今後、さらなる関連業界と連携して、エネルギー戦略を産学にて知恵を出し合う活動を拡大する事についても検討していくとともに、関連府省への提言を行っていく予定です。

本件に関するお問い合わせ先:
(URL http://rmo.iis.u-tokyo.ac.jp/jizoku.index.html)
東京大学生産技術研究所 加藤信介 教授
(電話:5452-6433 FAX :5452-6432 )
東京大学工学系研究科機械工学専攻 鹿園直毅 助教授
(電話:5841-8850 FAX :5841-8850 ) 以上  
【*:東京大学 生産技術研究所、工学系研究科総合研究機構社会連携推進室、及び、IHI、東芝、日立、三菱重工をメンバーとし、H16年3月発足】

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