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研究成果「造血幹細胞の能力測定にはじめて成功」研究成果

研究成果「造血幹細胞の能力測定にはじめて成功」

研究成果「造血幹細胞の能力測定にはじめて成功」について

概 要:
造血幹細胞の能力を定量的に解析する方法を開発し、幹細胞の不均一性、能力の限界を明らかにした。さらにこの方法を用いて、Lnkというタンパクが欠損した動物では正常に比較して造血幹細胞の数も能力も増大していることを発見した。

内 容:
幹細胞を用いた再生医療は21世紀の医療として注目を集めている。東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センターの中内啓光教授、依馬秀夫助教授らは、純化した造血幹細胞一個をマウスに移植する実験系を基本にして、個々の造血幹細胞の能力を定量的に解析することに世界ではじめて成功した。これにより造血幹細胞が能力的に極めて不均一な集団であること、造血幹細胞は不死ではないことなどを明らかにした。さらにこの方法を用いて、Lnkというタンパクが欠損した動物では正常に比較して造血幹細胞の数も能力も増大していることを発見した。骨髄の再生に中心的な役割を果たす造血幹細胞について、その能力を定量的に測定できる方法の開発および実際に造血幹細胞の能力増強さにつながる発見であることから、移植・再生医療の発展に大きく貢献することが期待される。

発表雑誌:
Hideo Ema1, Kazuhiro Sudo1, Jun Seita1, Azusa Matsubara1, Yohei Morita1,  Mitsujiro Osawa1, Kiyoshi Takatsu2, Satoshi Takaki2, Hiromitsu Nakauchi1.
“Qunatification of Self-Renewal Capacity in Single Hematopoietic Stem Cells from Normal and Lnk-Deficient Mice. Developmental Cell  8:1-8, June 7,2005
1東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター幹細胞治療研究分野
2東京大学医科学研究所感染・免疫大部門免疫調節分野

問い合わせ先:
東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター幹細胞治療研究分野
教授 中内啓光

用語解説:

造血幹細胞:骨の内部にある骨髄や臍帯血の中にわずかに存在する細胞であるが、自らを生み出す能力(自己複製能)とすべての血液細胞を産生する能力(多分化能)を併せ持ち、一生にわたり血液細胞を供給する。骨髄移植の本質は造血幹細胞移植である。

幹細胞治療:胚性幹細胞(ES細胞)や造血幹細胞に代表される組織幹細胞を利用した再生医療で、臓器移植や人工臓器に変わる新しい治療法として期待される。

関連リンク:中内研究室の研究紹介
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/sct/index.html

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