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大学院工学系・情報理工学系研究科第16回記者会見研究成果

大学院工学系・情報理工学系研究科第16回記者会見

平成17年9月21日

東京大学大学院工学系・情報理工学系研究科第16回記者会見のご案内

1.日  時: 平成17年9月27日(火) 14:00~16:00

2.場  所: 工学部列品館(本郷キャンパス、正門入ってすぐ左側の建物)
中会議室(2階)

3.プログラム(司会:貞廣幸雄 大学院工学系研究科都市工学専攻・助教授)

○「駅とまちをデザインする ?デザインチームによる新しい試み?」
    発表者: 篠原 修(大学院工学系研究科社会基盤学専攻・教授)
○「建築の環境とエネルギー」
    発表者: 前 真之(大学院工学系研究科建築学専攻・助教授)
○「東京2050:東京の持続再生のシナリオ」
(21世紀COE「都市空間の持続再生学の創出」 研究成果・中間報告)
    発表者: 大方潤一郎(大学院工学系研究科都市工学専攻・教授)                        

4.問い合わせ先
工学部広報室長(教授)堀井秀之
工学系研究科・情報理工学系総務課主査(庶務担当)大井 哲
工学部広報室員(助教授)貞廣幸雄


「駅とまちをデザインする ?デザインチームによる新しい試み?」

工学系研究科社会基盤学専攻 教授 篠原 修

発表概要:
最近,幾つかの地方都市において,駅とその周辺を整備するプロジェクトが進められている.プロフェッサー・アーキテクト*を中心としたデザインチームによる「駅とまち」デザインの最新事情について発表する.

発表内容:
・都市の風景の骨格は,川や橋,駅,街路,公園などの社会基盤によって形成されている.
・戦前まで,社会基盤の計画者や設計者には社会基盤の整備によって都市の骨格を作ろうとする意思があった.例えば現在の東京の姿は関東大震災後の帝都復興事業に拠る所が大きい.
・戦後から最近までは,行政の責任範囲が細分化され,分野間での調整がなされなくなった.例えば道路,公園,河川などが隣接していても,利用者が使いやすいようには整備されず,それぞれ別の論理で事業がばらばらに計画されることが普通であった.これが戦後日本の都市景観が混乱した一因である.
・最近,幾つかの地方都市において,駅および駅周辺の整備が計画されるようになった.これらの計画には鉄道事業者,行政(市,県,国),バス・タクシー事業者,商店街関係者,利用者など,数多くの主体が関わるため,デザインの調整は非常に困難である.
・駅はまちの顔である.駅が市民や来訪者にとって心地よく,使いやすく,印象深い空間となるかどうかは,地方都市の活性化と魅力向上を図る上で非常に重要なポイントである.
・発表者らは,土木,建築,都市,工業デザインなどの各分野の専門家からなるデザインチームを作り,デザインチーム,事業者,関係者間で合意形成を行いながら「駅とまち」に一貫性を持ったデザインを与え,実現させる活動を進めている.
・具体例として,以下の2例についてその取り組みと成果を発表する.
1)JR日豊本線日向市駅(宮崎県)
・デザインチームによる駅舎,駅前広場,鉄道高架の設計
・地場産の杉を用いた駅舎の実現
2)JR函館本線旭川駅(北海道)
・デザインチームによる駅舎,駅前広場,鉄道高架,忠別川,河川公園,橋梁の設計
    
問い合わせ先:
東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻 景観研究室
教 授  篠原 修
助教授 中井 祐

用語解説:
プロフェッサー・アーキテクト:
大学の教員として研究・教育活動を行いながら,実際のプロジェクトに携わるデザイナーやプランナーのこと.建築家には数多いが,戦後の土木分野には皆無であった.


「建築の環境とエネルギー」

工学系研究科建築学専攻 前 真之

発表概要:
04年10月から東電寄付講座として開設された「建築環境エネルギー計画学」の紹介と、その研究課題・遂行状況に関する報告。

発表内容:
  本年2月に京都議定書が発効し、全CO2排出量の1/3を占める建築分野の省エネは急務となっている。一方で、建築は巨大な構造物であり、その企画設計・施工・運用の各フェーズが分離されていることから、トータルの省エネが必ずしも効果的に計られていないのが現状である。

発表雑誌:
なし

注意事項:
特になし

問い合わせ先:
工学研究科建築学専攻 前 真之  

 本講座では、各フェーズでの省エネ手法を開発するとともに、各フェーズ間の意思疎通を円滑に進める方法論を提案する。対象建物は、住宅とオフィスとする。

住宅関係:
実住宅におけるエネルギー消費調査
省エネ建築の設計手法開発
省エネ型の給湯機・エアコンの評価・開発

オフィス関係:
エネルギー消費の実測調査
空調機の運転状況の詳細計測
エネルギー消費計算手法の開発

用語解説:
京都議定書:
「気候変動枠組条約第3回締結国会議(COP3)」で採択された、二酸化炭素など6つの温室効果ガスの排出削減義務などを定める議定書のこと。この会議が1997年12月に京都で開催されたことからこう呼ばれている。2005年02月発効。

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「東京2050:東京の持続再生のシナリオ」
(21世紀COE「都市空間の持続再生学の創出」研究成果・中間報告)

大方潤一郎(同COEサブリーダー、工学系研究科都市工学専攻・教授)

発表概要:
  21世紀COE「都市空間の持続再生学の創出」(都市工学専攻・建築学専攻、社会基盤学専攻)では、都市空間の持続再生に関する戦略的研究の一つとして、2050年に向けて東京圏の持続再生政策の構想・評価を行う「東京2050:東京の持続再生のシナリオ」を進めているが、その初年度の成果(第1次中間報告)の骨子を報告する。

発表内容:
  初年度は、まず、現在の趨勢が続くものと仮定した場合の、2050年までの東京圏の昼夜間人口配置を推計し、東京圏の将来の居住構造、通勤構造、都市構造がどのように変化し、都市の持続と再生に関わるどのような問題が生ずる蓋然性が高いのかを検討した。
  東京圏は人口としては2015年をピークに、また世帯数(つまり住宅数)としては2025年をピークに、縮小・再集中の時代に入る。急速な高齢化は2030年にいったん踊り場にさしかかるが、団塊ジュニア層の高齢化により、2050年に向けてもう一段の高齢化を迎える。高齢化・非婚化の進行により、家族世帯ではなく、ひとり暮らしの世帯が主流となる。就業者の減少により業務地の配置・通勤構造はかなり変化する。都心回帰現象は今後も続き、郊外住宅地の空洞化が懸念される一方、東京圏全体の人口減少により都心の居住密度は再度低下する。
  以上の趨勢を踏まえた高齢者生活支援・子育て支援施策の展開、各種都市インフラのメインテナンス戦略、住宅開発・建替誘導政策が重要となる。
(詳細は当日)

問い合わせ先:
  東京大学・都市持続再生COE事務局 03-5841-6251

 

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