PRESS RELEASES

印刷

記者会見「学部900科目の相互関係が構造化されます」記者発表

「粒子法シンポジウム」の開催

2006年3月1日

粒子法シンポジウムの開催
東京大学
鉄道・運輸機構
事務局:海上技術安全研究所


1.概要

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)および東京大学の共催で、3月8日(水)に東京大学において「粒子法シンポジウム」を開催します。粒子法は新しいコンピュータシミュレーションの方法で、水などの連続体を粒子群で近似し、その運動方程式をこれと等価な粒子運動に変換して現象をシミュレーションする方法です(詳細別添参照)。水面や船舶の大きな運動を安定して計算することができるため、荒天候時の船舶の安全性向上に寄与できると期待されています。
平成14年度から16年度まで鉄道・運輸機構の「運輸分野における基礎的研究推進制度」の中で基礎研究が進められ、平成16年12月にはその成果を造船分野で広く利用するための「粒子法コードユーザーグループ」が結成されました(別添参照)。3月8日にはユーザーグループの第5回目の会合を午前中におこないます。また、午後は広く一般に公開するシンポジウムを開くことになりました。粒子法は造船分野だけでなく、土木工学、機械工学、映像制作などの分野にも広がっており、造船分野の基礎研究の成果が他の分野にも大きく広がりつつあります。本シンポジウムではこれらの研究者を一堂に会して最新の研究成果や研究課題について議論します。

2.お問合せ先:
・粒子法シンポジウムおよび「運輸分野における基礎的研究推進制度」に関すること
〒231-8315
神奈川県横浜市中区本町6-50-1 横浜アイランドタワー24F
独立行政法人鉄道・運輸機構
研究開発部 基礎研究課
中村 浩明

・粒子法に関すること
〒113-8656
東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻
越塚 誠一

・粒子法コードユーザーグループに関すること
〒181-0004
東京都三鷹市新川6-38-1
(独)海上技術安全研究所
谷澤 克治



粒子法シンポジウム


日 時:平成18年3月8日(水)13:00~17:00
場 所:東京都文京区本郷7-3-1   東京大学武田先端知ビル5階武田ホール

プログラム

13:00 挨拶
小﨑文雄(鉄道・運輸機構研究開発統括役)
13:05 - 13:35 酒井譲(横浜国立大学)  「粒子法による構造解析の動向とトピックス」
13:35 - 14:05 末吉誠(九州大学)
 「水波と浮体の相互干渉問題への粒子法適用に関する検討」
14:05 - 14:35 陸田秀実(広島大学)  「格子・粒子ハイブリッド法による流体解析」
14:35 - 15:05 南佳成、谷澤克治(海上技術安全研究所)
 「MPS-MAFL(Meshless Advection using Flow-directional Local-grid)法を用いたスロッシング計算について」
15:05 - 15:15 休憩 15:15 - 15:45 野口裕久(慶應義塾大学)  「粒子法による流体構造連成解析」
15:45 - 16:15 岩崎慶(和歌山大学)、師芳卓(東京大学)、土橋宜典(北海道大学)、西田友是(東京大学)  「グラフィクスハードウェアを用いたパーティクルベース流体シミュレーションの高速計算法」
16:15 - 16:45 越塚誠一(東京大学)
 「粒子法によるシミュレーションとコンピュータグラフィックス」

閉会のことば

17:00 - 19:00 懇親会


詳しい説明

 粒子法(注1)は東京大学大学院工学系研究科の越塚誠一教授が開発した新しいシミュレーション技術。従来の技術(注2)と異なり、計算格子を一切使用しないという特徴がある。粒子法を流体力学や構造力学に適用する研究がこれまでおこなわれてきた。計算格子を使用しないので、流体の分裂や合体、構造物の破壊など、大変形を伴う問題を解くことができる。
  そこで、鉄道・運輸機構(注3)の研究プロジェクト(注4)として、東京大学、横浜国立大学、海上技術安全研究所が共同で、粒子法を用いた流体解析コードおよび構造解析コードを開発するとともに、実験をおこなって計算精度の検証をおこなった。
  こうした研究成果を造船分野に広く適用するため、平成16年12月16日に「粒子法コードユーザーグループ」を結成し、粒子法流体解析コードを会員に無料で公開した(記者発表済み、各紙掲載(注5))。会員数は平成18年3月の時点で89名である。ユーザーグループ会合はこれまでに4回開催され、粒子法流体解析コードを用いた計算事例の紹介、実験データベースの公開、コードの使い方に関する講習会、などの活動をおこなってきた。なお、「粒子法コードユーザーグループ」の事務局は海上技術安全研究所内にある。
  平成18年3月8日(水)の午前に予定されている第5回会合では、粒子法流体解析コードのバージョンアップおよび粒子法構造解析コードの新たな公開を予定している。午後の「粒子法シンポジウム」では造船の分野だけでなく、土木工学、機械工学、映像制作の分野からも研究者を集めて、粒子法に関する最新の研究成果や研究課題について議論をおこなう。参加者は粒子法コードユーザーグループの会員に限定せず、公開のシンポジウムとする。大学、研究機関、企業等の研究者や技術者100名程度の参加を見込んでいる。なお、参加費は無料である。
  このように、造船の分野で培われたコンピュータシミュレーションの新しい技術が、造船の分野だけでなく様々な分野に適用が広がっており、本シンポジウムによってそうした状況が明らかになるだけでなく、今後の発展の方向についても様々な視点から活発な意見交換がなされると期待される。

注記

1)粒子法
  水などの連続体を粒子群で近似し、その運動方程式をこれと等価な粒子運動に変換して現象をシミュレーションする方法。東京大学の越塚誠一教授の開発したMPS(Moving Particle Semi-implicit)法がその代表である。

2)従来の手法
  流体力学や構造力学の従来のシミュレーション手法には、差分法、有限体積法、有限要素法がある。こうした方法では、計算格子で空間をおおう必要がある。そのため、複雑な形状を扱いたい場合や、形状が変化する場合は、計算格子を生成することが難しくなるという欠点がある。粒子法はこうした欠点を解決する方法として現在注目されている。

図

 

 

3)鉄道・運輸機構(神奈川県横浜市中区本町6-50-1 横浜アイランドタワー24F)

4)「運輸分野における基礎的研究推進制度」(国土交通省からの運営費交付金により実施している競争的研究資金制度)平成14年度採択課題「粒子法による船舶の波浪衝撃解析手法の開発」(期間は平成14ー16年度)

5)粒子法コードユーザーグループ結成に関する各紙の記事
[1] 粒子法活用へ新組織 海技研東大など 船への波衝撃を解析, 日刊工業新聞, 平成16年12月8日
[2] 波浪衝撃解析プログラム 造船利用へ団体設立 東大など 16日に初会合, 日刊工業新聞, 平成16年12月10日
[3] 粒子法で波衝撃解析 鉄道・運輸機構と海技研など共同開発, 日本海事新聞, 平成16年12月10日
[4] 海事4機関 波浪衝撃の解析を高度化 国際競争力強化へ ユーザー初会合, 日刊海事通信, 平成16年12月10日
[5] 4団体「粒子法コードユーザーグループ」結成, 海事プレス, 平成16年12月13日
[6] 波浪衝撃解析粒子法コードユーザーグループ結成へ 造船産業の国際競争力向上めざす, 科学新聞, 平成16年12月17日
[7] 鉄道・運輸機構 粒子法コードユーザーグループの初会合を開催(12月16日) 造船産業の競争力向上を目指す, 内航海運, 平成16年12月20日
[8] 船舶の衝撃 模擬実験 東大など新組織, 日経産業新聞, 平成17年1月4日

 

アクセス・キャンパスマップ
閉じる
柏キャンパス
閉じる
本郷キャンパス
閉じる
駒場キャンパス
閉じる