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国立大学法人東京大学と株式会社東京証券取引所との共同研究の開始に関する記者会見記者発表

国立大学法人東京大学と株式会社東京証券取引所との共同研究の開始に関する記者会見

2006年7月5日
国立大学法人 東京大学
株式会社 東京証券取引所

東京大学と東京証券取引所は、
「大学発ベンチャーの健全なる成長と株式上場を目指した標準モデルの構築」
に関する共同研究を開始します

国立大学法人東京大学(総長:小宮山宏 以下東京大学)と、株式会社東京証券取引所(代表取締役社長:西室泰三 以下東京証券取引所)は、大学発ベンチャーの健全なる成長と株式上場を目指した標準モデルの構築を目的とした共同研究を開始致します。
第1フェーズとして位置づけられる今回の共同研究の期間は、本日から来年3月31日までの9ヶ月間の予定です。東京大学の産学連携本部教員4名と、東京証券取引所の上場審査部ならびに新規上場サポート部のスタッフ3名がコアメンバーとなり、共同研究を推進してまいります。

大学発ベンチャーは、一般の新興企業との対比において、次のようないくつかの特徴を持っております。
1) 特許等の大学帰属知的財産がライセンスされることによって事業基盤が形成されていること
2) 当該知的財産の発明者・案出者である研究者(大学教員)との共同研究等を通して、当該大学発ベンチャーに資する知的財産をさらに追加的に創出し、事業基盤を強化・拡大する試みがなされることが頻繁であること
3) 当該研究者が大学発ベンチャーの役員等を兼務(役員兼業)しているケースが多いこと
4) 当該研究者が当該大学発ベンチャーの主要な株主(出資者)であることが一般的であること
5) 大学帰属特許等を当該大学発ベンチャーにライセンスする際、その対価として大学がストックオプション等のエクィティーを取得することが可能となり(米国の有力大学においては一般的)、大学発ベンチャーの上場等の成功時には大学もキャピタルゲインを得るケースが想定されること
6) 上場時にベンチャー企業(上場株式の発行体)が策定する上場目論見書等には、当該ベンチャーと当該研究者が所属する大学との上記のような“関係性”が多く記述され、一般的に、これら情報が投資家に対して重要な投資判断となっていること

  東京大学と東京証券取引所は、上記のような大学発ベンチャーの特徴に鑑み、大学発ベンチャーが健全に成長を遂げ、その成長のひとつの着地点である株式上場が社会・産業界から広く受け入れられるための仕組みの構築とそのためのガイドライン、あるいは、範とすべき大学発ベンチャー成功の標準モデルの構築が重要であるとの合意に達しました。なお、本共同研究では、東京大学と東京証券取引所がお互いの知見を持ち寄り、下記のような具体的テーマに取り組んでまいります。
① 大学発ベンチャーとその大学発ベンチャーに関わりを持つ研究者が所属する大学との関係性に起因する株式上場時の大学の説明責任
② 大学発ベンチャーの株式上場に際しての、大学発ベンチャーの事業基盤となる大学帰属特許等の知的財産の扱い(譲渡かライセンスか)
③ 大学発ベンチャーのガバナンス、内部統制のあるべき方向性
④ 大学発ベンチャーに係わる研究者(特許等の発明者である教員等)に関連した利益相反問題マネジメントのあり方
⑤ 証券取引法第166条(インサイダー取引規制)の観点から、大学が大学発ベンチャーへのライセンス等によって取得した株式等の売却・換金に係わるしかるべき適正手続き 等々

本共同研究は、大学発ベンチャー支援を産学連携活動の重要な柱として積極的に推進する東京大学と、直接金融を通して大学発ベンチャーを含む新興企業の発展と新産業創成を目指す東京証券取引所とのパートナーシップによるものです。よってその成果は、わが国の大学発ベンチャーの健全なる発展によるイノベーション創出、それに伴う新産業創成に活用されるよう、最終的には広く社会に情報発信することを前提にしております。この成果が大学をはじめとする教育・研究機関、政府・官公庁及び企業において新たな価値の創造を促進し、社会へ還元・貢献することを目指します。

■プレスリリース及び本共同研究に関するお問い合わせ
国立大学法人東京大学
産学連携本部 事業化推進部長 教授 各務茂夫(かがみしげお)

株式会社東京証券取引所
上場審査部統括主任上場審査役 丸山顕義(まるやまあきよし)

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