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世界最短の物理現象:320アト秒のパルス光の構造解明に成功 -窒素分子で極端紫外レーザー光の波をとらえる-研究成果

世界最短の物理現象:320アト秒のパルス光の構造解明に成功 -窒素分子で極端紫外レーザー光の波をとらえる-

独立行政法人理化学研究所
国立大学法人東京大学


件 名 世界最短の物理現象:320アト秒のパルス光の構造解明に成功
-窒素分子で極端紫外レーザー光の波をとらえる-

概 要 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)と国立大学法人東京大学(小宮山宏総長)は、極端紫外レーザー光によって引き起こされる非線形光学現象を用いて、「アト秒(100京分の1秒、10-18秒)」のとてつもなく短い時間構造(パルス幅)を作り出し、1000兆分の0.32秒(320アト秒)という世界最短の物理現象の測定に成功。さらにそのレーザーパルスの中に、規則正しい波の構造がある事を世界で初めて直接観測した。理研中央研究所(茅幸二所長)緑川レーザー物理工学研究室の緑川克美主任研究員と同研究室山内薫客員主幹研究員(東京大学大学院理学系研究科教授)らの研究グループによる成果。
研究グループは、今回、波長42~89ナノメートル(10億分の1メートル、10-9メートル)の極端紫外レーザー光を窒素分子に照射し、「2光子クーロン爆発」という新しい非線形光学現象を観測。このレーザー光は、1000兆分の0.32秒という大変短い時間幅のパルス光が、1000兆分の1.33秒毎に連なった形で構成されている事がわかった。これは同研究グループの持っていた最短時間構造の直接観測の記録を更新する世界記録。さらに「パルスの形」だけではなく、パルスを構成している「波」の構造の直接観測にも成功。1000兆分の1.33秒毎に並んでいる隣同士のパルスは「パルスの形」は同じでも「波の形」は反対向きに、規則正しく並んでいる事が明らかになった。この事実は理論的には予想されていたものだが、直接的な測定でこれを証明したのは世界初。この研究成果により、アト秒パルス光の性質がさらにはっきりしたと同時に、この光を使って分子の超高速の反応制御をする道が開けた。
掲載雑誌 米国の科学雑誌『Physical Review Letters』
(オンライン版に近日掲載予定)
発表日時 平成18年10月17日(火)午後3時 <解禁:レク開始と同時>
発表主体 独立行政法人理化学研究所、国立大学法人東京大学
発表場所 文部科学省会見室
同時発表 文部科学記者会、科学記者会、(東京大学)大学記者会
発表形態 レク・事前レク・資料配付・事前資料配付・説明付資料配付
発表者:理研中央研究所緑川レーザー物理工学研究室 緑川 克美 主任研究員
     東京大学大学院理学系研究科       山内 薫 教授   他
備 考
連絡先:独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

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