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4年ぶり2度目の開花 アモルフォファルス・ギガス -世界一背が高いコンニャク-記者発表

4年ぶり2度目の開花 アモルフォファルス・ギガス -世界一背が高いコンニャク-

1.発表者
邑田 仁 (東京大学大学院理学系研究科 教授 /
東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)園長 )

2.発表概要
小石川植物園で栽培している世界一背が高いコンニャク、アモルフォファルス・ギガス(Amorphophallus gigas、サトイモ科)が開花するので、一般公開を行う。今回咲くものは高さ3メートルに達するとみられる。このコンニャクの植物園における開花は世界的にも非常にまれであり、小石川植物園では前回2003年についで2度目の開花である。

3.発表内容
今回開花するアモルフォファルス・ギガス(以下ギガスと略す)はサトイモ科コンニャク属の多年草で、世界で最も背の高い花(実際には花序)を持つとされる、インドネシアのスマトラ島の固有種である。コンニャクの仲間は地下にあるイモ(形態学的には莖)から地上に花莖を出し、そこに仏炎苞と呼ばれる葉に囲まれた花序(花の集まり)をつける。その大きさは種類によってさまざまであるが、最も背が高いのが今回のギガスであり、もっとも大きいのはショクダイオオコンニャクAmorphophallus titanumである。どちらも小石川植物園で栽培されているが、高温で管理する必要があるため普段は非公開の研究温室で栽培されている。今回は開花株を本館前の野外に出して特別展示公開することになった。
コンニャクの仲間の多くは仏炎苞が赤紫色(肉に似たような色)を帯びており、その中央に花序附属体とよばれる棒状の器官が直立している。事実上の開花は夜に始まると言われ、筒状の仏炎苞の上が開いて「じょうご」状になり、花序附属体から悪臭が放出される。このことにより、普段は動物の死体を食べたり、死体に産卵したりする甲虫(シデムシなど)やハエの仲間が誘引され、仏炎苞の筒の中に落ち込み、その底近くにある多数の花に花粉を運ぶ役割を果たすことが知られている。自生地ではないが小石川植物園でもそのような昆虫が飛来することが期待される。開花期間は短く、臭いが放出されてから3日目にはしぼんでしまうのが普通である。今回の開花の最盛期は9月8日、9日の2日間と予想している。
今回開花するギガスは1993年にアメリカのジム・サイモン氏によってスマトラ島で採集された種子から育てられたものである。同氏によって採集された種子は世界中のサトイモ科愛好家に送られたが開花するほど大きく育った例は少なく、マイアミのフェアチャイルド植物園で1993年に開花したのが最初の例で、2003年に本園で開花したのが2番目であるといわれる。しかも本園のように同一株を2度も開花させた例は初めてではないかと思われる。もちろん、日本ではほかに開花させた例はない。

4.問い合わせ先
邑田 仁(東京大学大学院理学系研究科 教授
東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園) 園長 )
下村英登(植物園主査)

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