記者会見「テレスコープアレイ実験で最高エネルギー宇宙線の観測を開始」記者発表

1. 発表日時:平成20年8月25日(月)13:00~14:00
記念講演会 15:00~
2. 発表場所:東京大学柏図書館メディアホール(東京大学柏キャンパス内)
千葉県柏市柏の葉5-1-5
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam03_04_04_j.html
3. タイトル:テレスコープアレイ実験で最高エネルギー宇宙線の観測を開始
4. 発表者: 福島 正己 (東京大学宇宙線研究所 教授)
5. 発表概要:
東京大学宇宙線研究所附属明野観測所のAGASA実験が見出した1020電子ボルト(注1)を超える極高エネルギー宇宙線を確認して、その起源を解明すべく、2004年より日米韓の国際共同で米国ユタ州において建設を進めていたテレスコープアレイ(TA)宇宙線観測装置が竣工し、観測を開始しました。
6. 発表内容
最高エネルギー宇宙線は宇宙から到来する素粒子のうち最もエネルギーの高いものをいいます。その到来頻度は100平方キロメートルの地表に1年に1粒子が落ちてくる程度で、極めて稀な現象です。この最高エネルギー宇宙線がどこで発生し、どのように地球に到達しているのか、未だにわかっていません。テレスコープアレイ実験(TA)では、700平方キロメートルの地表に設置した約500台の粒子検出器でこれを捕らえ、また、空気シャワー(注2)の発光軌跡を望遠鏡で撮影して、宇宙線のエネルギーや到来方向を測定します。粒子検出器と望遠鏡の同時観測は新方式であり、装置規模もAGASAより一桁大きくなります。テレスコープアレイ(TA)の観測で、最高エネルギー宇宙線の発生機構の研究や相対性理論の検証などを行います。これによって極限宇宙の新たな自然現象が見えてくることを期待しています。
つきましては、8月25日(月)13時から東京大学柏キャンパス内柏図書館メディアホールにおいて報道関係の方々に記者説明会を行います。引き続き15時から記念講演会を行います。
(注1)1020電子ボルトは16ジュールのエネルギーです。LHC加速器で加速できる粒子のエネルギーの1,000万倍に相当します。
(注2)高エネルギーの素粒子が大気の上層に突入すると大気中の原子核と衝突して鼠算式に粒子数を増やし、多数の粒子束になって地表に降り注ぎます。これを空気シャワーと呼びます。最高エネルギー宇宙線の場合、約1,000億個の粒子束となり、その有効直径は5‐6 kmになります。
7. 問い合わせ先:
東京大学柏地区宇宙線研担当課総務係