2型糖尿病の原因の可能性となる新しいメカニズム発見 ―からだの大きさを調節する機構との共通点―研究成果

「2型糖尿病の原因の可能性となる新しいメカニズム発見
― からだの大きさを調節する機構との共通点 ― 」
1.発表概要:
宮崎徹教授(東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター 分子病態医科学)は、からだの大きさを調節する分子が、耐糖能の制御にも重要な役割を果たしていることを発見した。日本人に多くみられる痩せ型糖尿病の原因遺伝子の一つかもしれない。
2.発表内容:
糖の代謝とそれをつかさどるインスリンの感受性は、多くの重要な分子によって調節されている。それらを総合的に制御する可能性のある分子を新しく発見した。この分子はDEDDといい、近年私たちのグループが、細胞とからだの大きさを調節するキーになる分子として発表していたものである。この分子を作れなくしたマウスでは、インスリンを分泌するランゲルハンス島の細胞の大きさが極端に小さくなり、高濃度の糖を与えた後のインスリンの分泌が損なわれ、耐糖能異常を呈する。2型糖尿病は肥満に伴って生ずるが、特に日本人には“痩せ型糖尿病”といい、体も小型でインスリンの分泌量も少ない患者がみられる。DEDDはこうしたタイプの糖尿病の原因遺伝子の一つとなっているかもしれない。細胞周期と糖代謝の独立した2つの生理現象を結びつけたユニークな研究である。
3.発表雑誌:
The Journal of Biological Chemistry, Vol. 284, Issue 8, 5050-5055, FEBRUARY 20, 2009
4.注意事項
なし
5.用語解説:
ランゲルハンス島:
膵臓に存在するホルモン類を分泌する細胞塊。血糖値を低下させるホルモンであるインスリンを分泌する?細胞が含まれる。
6.問い合わせ先:
東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター
分子病態医科学 宮崎徹教授室