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記者会見「反物質研究の現状 - 『天使と悪魔』の虚と実 - 」記者発表

記者会見「反物質研究の現状 - 『天使と悪魔』の虚と実 - 」

記者会見「反物質研究の現状 - 『天使と悪魔』の虚と実 -」

1.日時 3月18日(水)14時00分~15時00分

2.場所 東京大学理学部1号館338号室
         (本郷キャンパス:文京区本郷7?3?1)

3.発表者 東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻 教授 早野龍五

4.発表概要 CERN研究所における反物質研究の現状について

5.発表内容
本年5月に公開が迫った映画「天使と悪魔」(ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント配給)では、スイスのCERN研究所から盗まれた反物質が重要な役割を果たすため、「CERNは反物質を保有しているのか」、「反物質は爆弾になるのか」、などについて問い合わせが増えています。
「天使と悪魔」では、反物質に関する虚と実が、うまく綯い交ぜになっていて、一般の方には、どこまでが本当でどこからが不可能なのか、なかなか分かりにくいところから、上記のような質問が寄せられるのでしょう。
結論から言えば、反物質は加速器を使って「少しだけなら」作ることができますが、何グラムも作ることは到底不可能で、したがって危険もありません。それを研究することは、物質や宇宙の成り立ちを知る上で非常に重要であり、CERN研究所では日本の研究者を含む多くの研究者が、反物質研究と取り組んでいます。そして、その研究にはLHC(Large Hadron Collider)は使われていません。
CERNにおける反物質研究の現場、すなわち反陽子減速器施設内には、東京大学の海外拠点の一つである「ASACUSA研究グループ(早野研)実験室」があり、東京大学のメンバーが中心となって反水素原子や反陽子ヘリウム原子などの研究を行なっています。会見では、反物質研究の業績によって2008年度の仁科記念賞を受賞した早野教授が、反物質研究の歴史(反物質に関連したノーベル賞の紹介)、CERN研究所における反物質研究の現状、「天使と悪魔」の虚実、などについて解説し、反物質研究の真実の姿をお伝えします。
なお、映画公開前ですので「天使と悪魔」の内容については角川文庫版に準拠いたします。映画については、下記連絡先までお問合せください。

 

6.問い合わせ先 
(本件に関すること)
東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻 
教授 早野龍五

(原作に関すること)
株式会社角川書店 
第一編集部

(映画に関すること)
  株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  映画 マーケティング部 
 

7.解説
CERN研究所・・・スイス ジュネーブ郊外にある、世界最大の素粒子原子核研究所。www発祥の地としても有名。世界最高エネルギーの陽子・陽子衝突型加速器(LHC)による、ヒッグス(Higgs)粒子の探索実験が、今年の秋開始される予定である。
反陽子・・・陽子の反粒子。電荷がマイナスで質量は陽子と等しい。自然界にはほとんど存在せず、加速器でわずかな量を作ることが出来る。
反陽子減速器・・・反陽子を捕獲して減速することで、反水素原子生成などに適した低速の反陽子を発生させる装置。2000年よりCERNにおいて稼働している。
反物質・・・陽子の反粒子は反陽子、電子の反粒子は陽電子。反陽子と陽電子が束縛したものが反水素原子で、これが反物質の基本単位である。
ASACUSA研究グループ・・・CERNにおいて反物質研究を推進している、東京大学を中心とする研究チーム名。Atomic Spectroscopy and Collisions using Slow Antiprotons(低速反陽子を用いた原子分光と原子衝突)の頭文字を取り、アサクサと発音する。
仁科記念賞・・・日本の近代物理学の祖である、故仁科芳雄博士の功績を記念し、原子物理学とその応用に関し、優れた研究業績をあげた比較的若い研究者を表彰する賞。江崎、小柴、小林・益川の各氏も受賞している。

 

 

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