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長期備蓄可能な米型経口ワクチンは特異的分泌型IgAを長期誘導し、コレラ菌と毒素原性大腸菌による両方の下痢を予防する研究成果

長期備蓄可能な米型経口ワクチンは特異的分泌型IgAを長期誘導し、コレラ菌と毒素原性大腸菌による両方の下痢を予防する

「長期備蓄可能な米型経口ワクチンは特異的分泌型IgAを長期誘導し、
コレラ菌と毒素原性大腸菌による両方の下痢を予防する」

英文タイトル “Secretory IgA-mediated protection against V.cholerae and heat-labile enterotoxin-producing enterotoxigenic Escherichia coli by rice-based vaccine”

1.発表者
東京大学医科学研究所炎症免疫学分野 教授 清野 宏
東京大学医科学研究所炎症免疫学分野 リサーチレジデント 徳原大介

2.発表概要:
  長期に常温で備蓄可能な米型経口コレラワクチンはコレラ毒素に特異的分泌型IgA(※用語解説)を長期誘導し、小児の細菌性下痢症の主要な原因菌であるコレラ菌と毒素原性大腸菌による両方の下痢を予防する。今後、開発途上国を含めた様々な国々への安価で長期備蓄可能な経口ワクチンの普及による効果的な予防対策が期待できる。

3.発表内容:
 毒素原性大腸菌は小児の主要な下痢症起因菌であり、世界中で年間2億人の小児が罹患し、40万人が死亡している。また、年間3000万人にのぼる旅行者下痢症の最も重要な起因菌でもある。米にコレラ毒素B鎖を発現させて開発した米型経口コレラワクチンは、交叉性中和効果のある特異的分泌型IgAを誘導し、世界で約20万人が罹患するコレラ菌に対する下痢予防だけでなく、易熱性毒素を産生する毒素原性大腸菌による下痢をも予防することが可能なことを初めて明らかにした。また、同ワクチンによる予防効果は、平均寿命が3年のマウスにおいて6ヶ月間の長期にわたり持続することも明らかとなった。さらに同ワクチンが3年間室温保存できることも実証しており、有効期限の長い備蓄ワクチンとしての有用性も示唆され、今後、開発途上国を含めた様々な国々への安価で長期備蓄可能な経口ワクチンの普及による効果的な予防対策が期待できる。

4.発表雑誌:
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(米国科学アカデミー紀要)
米国東部時間4月26日午後3時に電子版でまず公表されます。

5.注意事項:
日本時間4月27日午前4時(米国東部時間4月26日午後3時)以前の公表は禁じられています。

6.問い合わせ先:
東京大学医科学研究所 炎症免疫学分野
教授 清野 宏

7.用語解説:
※分泌型IgAは、消化管などの粘膜面において感染を防御するために中心的な役割を担う物質で、粘膜を覆う上皮細胞から分泌される。

8.参考URL:
雑誌での公表前のため、発表内容を閲覧できるURLはまだありませんが、米ワクチンを含めた当研究室の研究内容は下記ウェブサイトでご覧いただけます。
東京大学医科学研究所炎症免疫学分野ホームページ
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/EnMen/index_j.html


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