無黒点太陽の磁場が気候を変えた-樹木年輪から解明した17-18世紀の急激な太陽地球環境変動-研究成果

無黒点太陽の磁場が気候を変えた-樹木年輪から解明した17-18世紀の急激な太陽地球環境変動- |
無黒点太陽の磁場が気候を変えた
―樹木年輪から解明した17-18世紀の急激な太陽地球環境変動―
[1. 発表者]
山口保彦(東京大学大気海洋研究所 / 大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 博士課程1年)
横山祐典(東京大学大気海洋研究所 / 大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 准教授)
宮原ひろ子(東京大学宇宙線研究所 特任助教)
[2. 発表概要]
東京大学大気海洋研究所の山口保彦(大学院生 博士課程1年)、横山祐典准教授および、東京大学宇宙線研究所の宮原ひろ子特任助教は、名古屋大学の中塚武教授、名古屋工業大学の庄健次郎助教らの研究グループと共同で、17-18世紀に70年間続いた長期太陽無黒点期(マウンダー極小期)において、太陽磁場活動が周期的に極端に弱化し、北半球の広範囲の気候に影響していたことを発見しました。奈良県の樹齢390年超のスギなど樹木年輪の分析から明らかにした、世界初の成果です。
日射量ではなく太陽磁場の変動シグナルが広範囲の気候に見られたことは、太陽系外から飛来する高エネルギー粒子(宇宙線※1)が地球の気候に影響していたことを示唆し、気候システムの変動メカニズム理解に重要な成果です。また、マウンダー極小期のような長期太陽無黒点期は近い将来にも起きる可能性があり、今回得られた17-18世紀における太陽地球環境変動の知見が、将来の気候変動の予測にも役立つことが期待されます。
これらの成果は、11月8日の週にProceedings of the National Academy of Sciences of the USA (米国科学アカデミー紀要)オンライン版に掲載されます。
※詳細はリリース文書をご覧下さい。