PRESS RELEASES

印刷

厚さ1 cmの空気の重さ変化が計測できる気圧センサを実現 ―中国で開催される国際学会Transducers2011にて発表―研究成果

「厚さ1 cmの空気の重さ変化が計測できる気圧センサを実現
―中国で開催される国際学会Transducers2011にて発表―」

平成23年6月3日

東京大学大学院情報理工学系研究科


国立大学法人東京大学(総長:濱田 純一、以下、東京大学)の東京大学IRT研究機構長・大学院情報理工学系研究科 下山 勲 教授および阮 明勇(Nguyen Minh Dung, 博士課程1年)らは、中国で開催される国際学会Transducers2011(The 16th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems: トランスデューサーズ会議)にて、「厚さ1 cmの空気の重さ変化が計測できる気圧センサの実現」について、発表する予定である。

気圧は空気の重さによる圧力で、我々の生活する空間の大気圧は0.1 MPaである。地表より1 m上昇すると約10 Pa気圧が下がることが知られている。したがって山登りで標高1000 mの場所に行くと10%程度気圧が下がる。

今回発表する研究では、厚さ1 cmの空気の重さに相当する、気圧0.1 Paを計測できる非常に感度の高いMEMS(Micro Eletro Mechanical Systems)気圧センサを実現した。これまでのダイヤフラム型の圧力センサにくらべて、圧力を受ける面を支持する構造が小さいので、感度の高い圧力センサを作ることができる。このセンサを用いることで、1 cmの上下運動により変化する非常に小さい気圧の計測が可能となった。このセンサで高度変化を計れるので、図3に示すような一般道路とその真上の高速道路の走行を区別できるカーナビや、平地を歩くときと階段を登るときのエネルギー消費の違いが記録できる歩数計や携帯電話のマイクなどに広く応用が期待できる。

研究では、図1に示すように、ピエゾ抵抗型カンチレバーを小型のチャンバーの上に配置した構造を用いた。カンチレバーの周りは10 μmと非常に狭い隙間で囲まれており、チャンバー内の圧力が維持できるよう空気が漏れない構造となっている。またカンチレバーの大きさは200 μm × 160 μmで、厚さは 300 nmとなっている。非常に小さく薄いため、1 cm厚の空気の重さ変化でカンチレバーはたわむが、カンチレバー自体が軽いので、センサに働く加速度ではカンチレバーはたわまない。センサ外部の気圧の変化により、チャンバー内の圧力との差が発生し、その結果カンチレバーがたわむことで、圧力の変化を計測することができる。このセンサによって、図2に示すように一段一段と階段を下るときやドアの開け閉めなどによって発生する気圧の微小な変化を計測できることを示した。

参考:
Transducers2011 website: http://www.transducers11-beijing.org/
N. Minh-Dung, H. Takahashi, K. Matsumoto and I. Shimoyama, “BAROMETRIC PRESSURE CHANGE MEASUREMENT”

image230603_01

図1:製作した気圧センサの原理

image230603_02

図2:11段の階段の下りによる気圧の変化の計測。


image230603_03

図3:気圧センサをカーナビにつけると高度差が計測できる。


<本件に関するお問い合わせ先>
東京大学IRT研究機構
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授 下山 勲

アクセス・キャンパスマップ
閉じる
柏キャンパス
閉じる
本郷キャンパス
閉じる
駒場キャンパス
閉じる