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太陽エネルギーを利用した水分解による水素製造に関する社会連携講座の開設について ―再生可能な究極のクリーンエネルギー資源・水素の実用化に向けて―記者発表

太陽エネルギーを利用した水分解による水素製造に関する社会連携講座の開設について
―再生可能な究極のクリーンエネルギー資源・水素の実用化に向けて―

平成23年10月4日

東京大学大学院工学系研究科
株式会社地球快適化インスティテュート
株式会社三菱化学科学技術研究センター
国際石油開発帝石株式会社

東京大学大学院工学系研究科(所在地:東京都文京区、研究科長:北森 武彦)、株式会社地球快適化インスティテュート(本社:東京都港区、社長:小林 喜光)、株式会社三菱化学科学技術研究センター(本社:神奈川県横浜市、社長:柴田 喜三)および国際石油開発帝石株式会社(本社:東京都港区、社長:北村 俊昭)は、太陽エネルギーを利用した水分解による水素製造法の開発に向けて、社会連携講座「ソーラーエネルギー変換型化学プロセス講座」を平成23年8月から3年間にわたり開設することといたしました。

近年、エネルギー・資源問題が深刻化する中、再生可能でクリーンなエネルギー・資源の開発がますます重要になってきています。
水素は燃焼後、水しか生成しないクリーンなエネルギー源であり、かつ、地球温暖化の主要因である炭酸ガスと反応させることにより、炭化水素燃料や化学品原料を作ることもできるため、究極の再生可能エネルギー・資源として期待されています。

しかし、現状では、水素は一般的に石油やメタン等の枯渇性資源を原料として製造されています。太陽電池で得られた電力を用いて水を電気分解する方法も考えられますが、膨大な設備コストが必要となるため、未だ現実的ではありません。
そのため、太陽光エネルギーを用いて水を分解し、直接的に水素を得る革新的な製造法が望まれています。

東京大学大学院工学系研究科では太陽光エネルギーを用いて直接的に水素を得る製造法について、従来、地球快適化インスティテュートおよび三菱化学科学技術研究センターと共同研究を進めてまいりましたが、このたび、世界26か国で事業を展開する日本最大の石油・天然ガス開発企業である国際石油開発帝石の参加も得て、同研究に関する社会連携講座を開設することとしたものです。

光触媒を用いた水分解による水素の製造については、太陽光に微量しか含まれていない紫外光のみを用いる場合には、非常に高い効率で水素を得られる目途がついています。しかし、太陽光そのものを用いた水素の製造効率向上には、難しい課題が多数残されています。
それら課題の解決のためには、固体電子物性、触媒科学、無機合成化学、有機合成化学、流体物性、プロセス合成、化学工学など幅広い分野の知識の総合的な結集が必要です。

東京大学大学院工学系研究科では、本分野の第一人者である堂免 一成(どうめん かずなり)教授を本社会連携講座の担当教授とし、太陽光光触媒を用いた水分解による水素製造法の開発に向けて、世界最先端の研究を進めてまいります。

地球快適化インスティテュート、三菱化学科学技術研究センターおよび国際石油開発帝石は、太陽光光触媒を用いた水分解による水素製造が、中長期的には極めて有望な再生可能エネルギー・資源製造法になるものと考え、プロセスの経済性評価など産業界側の視点も反映させつつ、研究の加速に貢献してまいります。

以上

【太陽光光触媒を用いた水分解による水素製造の模式図】
20111004_01
光触媒は大きな球で表される光半導体とその上に乗った小さな助触媒で出来ています。
太陽光を受け、光半導体上に正孔(h+)と電子(e-)が生じます。正孔h+は水を酸化し
酸素O2を生成させます。一方、同時に生成したプロトンH+は光半導体上に生じた電子e-と
助触媒上で反応し水素H2を生成します。

【社会連携講座の概要】

1. 講座名称 ソーラーエネルギー変換型化学プロセス講座

2. 設置場所 東京大学大学院工学系研究科

3. 設置期間 平成23年8月から3年間

4. 共同研究者
株式会社地球快適化インスティテュート
(三菱ケミカルホールディングス100%子会社で、20~50年後の長期的課題について調査・研究を行うRDシンクタンク)
株式会社三菱化学科学技術研究センター (三菱ケミカルホールディングスグループのRD会社)
国際石油開発帝石株式会社 (世界26か国で事業展開する日本最大の石油・天然ガス開発企業)

5. 講座教員 教授 堂免 一成、 特任助教 片山(かたやま) 正士(まさお)、 特任助教 嶺岸(みねぎし) 耕(つとむ)

6. 研究の目的 太陽エネルギー及び水素エネルギー有効利用のための材料及びプロセス開発

「社会連携講座」とは、公益性の高い研究課題について、東京大学と共同研究を実施しようとする民間企業等から受け入れる経費等を活用して、学部および研究科等に置かれる講座をいいます。

【本件に関するお問合せ先】

東京大学大学院工学系研究科 教授
社会連携講座運営委員会委員長 大久保 達也

株式会社地球快適化インスティテュート
総務企画室 竹内 淳夫

国際石油開発帝石株式会社
広報グループ

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