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記者会見「細胞で折り紙!?―微小プレート上に培養した細胞を折り曲げて高速に立体構造を作ることに成功―」研究成果

記者会見「細胞で折り紙!? ―微小プレート上に培養した細胞を折り曲げて高速に立体構造を作ることに成功―」

平成24年12月13日

東京大学生産技術研究所

1.発表日時:
平成24年12月11日(火)15:30~16:30(受付開始 15:00)

2.発表場所:
東京大学生産技術研究所 
総合研究実験棟An棟3F大会議室(An301、302)
〒153-8505 目黒区駒場4-6-1 駒場リサーチキャンパス
http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/access/access.html(参照)

3.発表者:
東京大学生産技術研究所
竹内 昌治(准教授)
栗林 香織(特任研究員)
尾上 弘晃(助教)

4.発表ポイント:
①成果
平面上に培養した細胞を、細胞が持つ独自の牽引力によって、折り紙のように折り曲げ、3次元細胞組織を高速に作製できる方法を確立した。
②新規性
折り畳みによる3次元生体組織によって、管や袋構造など中空構造を高速に作る方法はこれまでなく、世界初である。
③意義/将来展望
高速に3次元的な細胞組織を人工的に構築する技術は、新薬の開発や次世代の再生医療分野への応用が期待できる。

5.発表概要:
東京大学生産技術研究所 竹内昌治准教授、栗林香織特任研究員、尾上弘晃助教の研究チームは、平面上に培養した細胞を、細胞の内部の力(牽引力)を用いて、折り紙のように折り曲げ、自動的に立体構造を作製する技術を世界で初めて開発した。このような「細胞折り紙」技術を用いることによって、特に中空の細胞組織構造を高速に形成する方法などへの応用が期待できる。この成果は、2012年12月12日(米国東部標準時間)付けの科学誌「PLOS ONE
(プロスワン)」に発表される。

6.発表内容:
  細胞を立体的に培養し、3次元的な組織を人工的に構築する技術が、基礎研究のみならず、新薬の開発や次世代再生医療などの分野で重要とされている。竹内グループでは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)を利用した微細加工技術を用いてマイクロプレートを作製し細胞を培養し、「折り紙のように折り畳む」という方法を用いて、高速に立体構造を構築する方法を確立した。 
  折り紙の折り畳み技術は、宇宙で展開する太陽パネルや小さく折り畳まれ血管内で展開することができるステントなどの医療器具に応用され、「折紙工学」分野として、国内外で盛んに研究が行われている。折り方の組み合わせ次第で、平面の状態から自在に複雑な構造物を作ることできるのが特長とされている。本研究では、細胞組織の立体構造構築に本手法を利用した。
  まず、細胞サイズのプレートを微細加工技術(MEMS技術)によって平面上に複数個配置し、その上に細胞を培養した。隣り合ったプレートにまたがって細胞が増殖すると、細胞内部の牽引力(内側に引き込む力)によって、2つのプレートの一方が引き寄せられ図1(下記10.参考資料を参照)のように立ち上がることが分かった。ここでは、この原理を利用して、立方体や正十二面体、管構造などの多面体の展開図にあたるパターンをマイクロプレートで作製し、細胞培養後にそれらの牽引力によって望み通りの多面体構造をした細胞組織をつくることに成功した(図2)。また、心筋細胞などを利用すれば、自律的に駆動する多構造も作製できることを示した。
  本方法により、細胞に3次元的な変形力がかかったときに、細胞内部でどのような状態変化が起きるかなどを一細胞レベルで観察することができるほか、管や袋構造など、中空の細胞組織を高速に作る方法に応用が可能であり、新薬の開発や次世代の再生医療分野、細胞をつかった医療器具への応用が期待できる。

7.発表雑誌:
「PLOS ONE」(プロスワン誌)
Cell Origami: Self-Folding of Three-Dimensional Cell-Laden Microstructures Driven by Cell Traction Force

8.問い合わせ先:
竹内 昌治
東京大学生産技術研究所准教授

添付資料はこちら

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