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材料開発の一大拠点となる高信頼性・高温材料研究開発コンソーシアム本格始動!―産学連携で高温に耐える安全・安心な新規材料の開発を展開―記者発表

材料開発の一大拠点となる高信頼性・高温材料研究開発コンソーシアム本格始動!
―産学連携で高温に耐える安全・安心な新規材料の開発を展開―

平成25年3月18日

東京大学先端科学技術研究センター

発表者:
香川豊(東京大学先端科学技術研究センター 教授)

1.発表のポイント
◆材料をキーワードに領域横断的な研究を展開する「高信頼性・高温材料研究開発コンソーシアム」を設立し、本格始動させた。
◆様々な材料を研究対象とし、それぞれの材料で使用可能な高温の限界近傍において、信頼性が保証された「高温材料」の開発に取り組む。
◆企業と連携し、材料分野で世界をリードし続けていくために重要な若手研究者の育成に力を注ぐ。

2.発表内容:
東京大学先端科学技術研究センター(先端研)は、国際的にトップレベルの新規材料の開発を実現するための拠点となる「高信頼性・高温材料開発コンソーシアム」(代表者:香川豊教授)を昨年7月に設立し、このほど、幅広い分野の企業・研究機関の参画のもと、本格始動させました。コンソーシアムを拠点にさまざまな分野を融合し、社会に必要とされる新規材料の開発研究や若手研究者の人材育成など、産学官のポテンシャルを最大限活用した総合的な研究活動を推進していきます。

日常生活に欠かせない自動車や航空機などの輸送用機器、建設機械や工作機械などの機械、建物や橋などの建築・土木構造物には、プラスチックやセラミックス、金属、複合材料など様々な材料が使われています。こうした材料は、耐久性や耐熱性について、さまざまな検討と経験を重ねつつ使用されてきましたが、使用される条件や環境の苛酷化に伴い、近年、材料の劣化が原因と見られる悲惨な事故が頻繁に発生しています。

一方、あらゆる製品開発の現場で、安全・安心な構造体の実現やさらなる省エネルギー、低CO2エミッションを達成していくため、より高温環境でも使用できる「高温材料」のニーズが高まっています。

実用的に利用できる温度の範囲は、プラスチックスや金属、セラミックス、複合材料などそれぞれ異なるため、あらゆる構造材料を対象に、より高温の環境下でも信頼性が保証された材料、構造体の実現を目指すことが重要です。例えば、航空機のエンジン部品で使われる材料は、省エネを実現するため、より軽量で高温に耐えられる材料が求められています。

このように、私たちが安心・安全な日常生活を送るために、高温でも信頼性が保証された「高信頼性・高温材料」が求められているのです。

先端研は、これまでもこうした社会的な課題の解決に向けて、分野を超えた研究者が協力して研究に取り組んできましたが、今後より一層産学官のポテンシャルを活用して材料の研究を進展させるため、「高信頼性・高温材料研究開発コンソーシアム」を本格始動させました。コンソーシアムでは、物理や化学など理学から工学に至る広範囲の学術分野を融合し、あらゆるタイプの構造材料を対象に、安全・安心な社会に貢献する新たな技術、材料、構造体の創出に取り組みます。また、様々な分野の研究者の参画を促し、世界最先端の技術情報の提供を可能とする研究開発拠点となることを目指します。

コンソーシアムは、構成企業からの参加費と外部資金によって運営し、宇部興産株式会社、株式会社IHI、株式会社超高温材料研究センター、株式会社日立製作所、コバレントマテリアル株式会社、新日鐵住金株式会社、富士電機株式会社と、一般社団法人日本非破壊検査工業会の8企業・団体のほか、先端研、東京大学生産技術研究所、群馬大学、芝浦工業大学、東京工業大学、東京理科大学、横浜国立大学、早稲田大学などの国私立大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や産業技術総合研究所(AIST)、物質・材料研究機構(NIMS)、ファインセラミックスセンター(JFCC)と日本ファインセラミックス協会(JFCA)などからも研究者の参画が決まりました。多数の企業(ニーズ)と大学・研究機関(シーズ)による産学連携の場を提供して、シーズとニーズのマッチングをフレキシブルに行い、学部学生や大学院生などの若手研究者にも企業と連携した共同研究のチャンスを与えるなど、日本が材料の分野で世界をリードし続けていくために最も重要な若手研究者の人材育成にも力を注ぎます。

具体的な取り組みとして、▽国内外からの外部講師による最先端技術セミナーの開催▽シーズ側からの各種研究分野における最新の研究動向や成果の紹介▽各種構造材料と周辺技術分野に関する国際会議における技術動向の紹介と技術動向レポートの発行(年1回)▽拠点スペースにおける異業種間交流や企業間交流の推進、研究シーズと企業ニーズのマッチング▽研究施設の共同利用-など、様々な材料に関する世界最先端の情報を幅広く収集、共有化し、大学内にある拠点であることを活かした新たな技術、材料、構造体の創出と若手人材の育成を実現する活動を展開していきます。

【高信頼性・高温材料研究開発コンソーシアム概要】
設立年月日  平成24年7月
事務局     東京都目黒区駒場4-6-1
企業
一般社団法人日本非破壊検査工業会
宇部興産株式会社
株式会社IHI
株式会社超高温材料研究センター
株式会社日立製作所 
コバレントマテリアル株式会社
新日鐵住金株式会社
富士電機株式会社

問い合わせ先
東京大学先端科学技術研究センター 特任教授/リサーチ・アドミニストレーター 山下 秀 

東京大学先端科学技術研究センター 広報・情報室

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