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「グローバル化時代の知識と経済」懇談会の開催について記者発表

「グローバル化時代の知識と経済」懇談会の開催について

平成25年7月26日

東京大学総長  濱田 純一

本学では、7月25日の役員会にて「学部教育の総合的改革に関する実施方針」を議決し、学部教育の国際化等を推進する取組を進めてまいりますが、こうした取組と併行して、これからの高等教育の国際戦略の大きなビジョンをどのように描いていくべきか、大学人のほか企業や政府関係の方々とともに幅広く議論を行う機会を設けたく、本年9月より総長の私的懇談会として標記会合を開催します。
懇談会の趣旨及び背景の詳細は以下のとおりです。


「グローバル化時代の知識と経済」懇談会の開催について
-高等教育国際戦略のビジョンと行動指針のために-

東京大学総長

  急速に進むグローバル化の時代において、高等教育の在り方は大きな変容を迫られている。東京大学においても、「総合的な教育改革」を旗印に、学事暦から教育の枠組みや内容・方法に至るまで、これからも世界の有力大学と競争し連携し続けることのできる体制のすみやかな整備に向けて、大学の歴史の画期をなす改革が進められている。

  こうした場面で留意しておかなければならないのは、今日では、国内の制度整備や大学内での取組のみに終始する時代は過ぎつつあるということである。すでに先進諸国の有力大学は、開発途上国や新興国に人材を積極的に供給したり現地で人材を育成したりという形でのグローバル化も意欲的に進めており、産業や社会との連携を視野に入れた高等教育の展開を図ろうとしている。日本として取り組むべき海外人材の育成にしても、いま高等教育に期待され求められているのは、留学生を待ち受けるだけではなく、大学が積極的に海外に出て人材育成を行い、文字どおり「グローバル・キャンパス」(東京大学の行動シナリオFOREST2015から)を実現していくことである。天然資源を持たない国の資源、あるいは天然資源を有していても発展の途上にある国の次世代の資源は、人である。人が産み出す知識が産業経済や社会を支えていく、ナレッジ・ベースト・エコノミー(KBE)という観点を踏まえ、その構造を支える厚い人材層を輩出していくことは、今日のグローバル化の時代に、日本の高等教育が世界の国々に対してその期待に応えて担うべき重要な役割であり、また、日本の高等教育の未来像を構成する重要な要素ともなる。

  そのような観点からは、大学が単独ではなく、社会のさまざまなセクターと一緒になって、海外の社会と多面的な関係を生み出していくことが重要なポイントとなる。こうした課題意識を踏まえて、このたび、東京大学では、産学官の連携のもとに「グローバル化時代の知識と経済」懇談会を開催し、日本の高等教育が社会の諸セクターと歩調をあわせながら世界に貢献していくことのできる戦略を構想していくこととする。

  今日、学生の国際的な流動性を高めようとするASEAN地域での学事暦ハーモナイゼーションの動き、あるいは海外有力大学の開発途上国における現地キャンパスの設置や現地大学との連携ネットワークの形成など、高等教育が持つ力を戦略的に展開しようとする大きなうねりは、世界において急速に展開している。また、世界のトップグループの大学間においては、教員や優秀な学生を獲得しようとする国際競争はますます激化している。まさにボーダレスと言うべきこうした動向の背景には、KBEの考え方を踏まえた自国内における高等教育の強化と相手国およびその関係国におけるKBEの展開を視野に入れた高等教育の国際戦略がうかがえ、こうしたテーマに関して各国教育大臣・学長級が参加する国際会議なども開催されている。

  日本の学術の国際的な存在感は、ノーベル賞量産国となりつつある質の高い研究を背景に依然として高いものがある。諸外国から日本の高等教育へ向けられる期待はそうした高い水準の研究力が前提となっており、国際競争の激しい世界の有力大学の中にあって、本学をはじめとする日本の大学の研究力を維持発展させることは不可欠である。そして、研究のみならず教育においても、世界そしてアジアの有力校との連携協調を一層強化し、教育面での国際的存在感を高めていくことも、研究と教育を両輪とする大学にあって当然の使命である。

 本懇談会においては、高等教育の国際戦略に欠かすことのできない学事暦や入試の仕組みあるいは修業年限など学事の国際デファクト標準との整合、教育方法や内容の国際対応、大学国際化のための環境整備、国境を超えた高等教育と産業社会間の人材流動による社会の活性化、優れた学生と教員を惹きつけてやまない研究教育環境、産業との連携と相互文化理解など、日本という枠をも超えて高等教育の未来と社会の変革を視野においた国際戦略のビジョンを策定し、社会と共有するとともに、そのすみやかな具体化の方途を探ることとする。

  本懇談会の運営方針は、下記のとおりである。

座 長          東京大学総長
懇談会の構成員     大学人、企業人、政府関係者等 10~15名程度
開催期間         2013年9月~2014年2月 
開催頻度         月1回程度

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