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東大生研と日立が共同研究開発中の超高速データベースエンジンがフラッシュストレージ環境において従来型データベースエンジン比で約100倍の処理性能を達成研究成果

東大生研と日立が共同研究開発中の超高速データベースエンジンが
フラッシュストレージ環境において
従来型データベースエンジン比で約100倍の処理性能を達成

平成25年8月6日

国立大学法人東京大学
株式会社日立製作所

国立大学法人東京大学生産技術研究所(所長:中埜 良昭/以下、東大生研)と株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、共同で研究開発を実施している超高速データベースエンジンについて、フラッシュメモリのみをストレージデバイスとして活用したストレージ環境(以下、フラッシュストレージ環境)において性能検証を行い、同環境において従来型のデータベースエンジン比で約100倍*1のデータ検索処理性能を達成しました。
東大生研と日立は、2011年6月に、一般的な磁気ディスクドライブ(以下、HDD(Hard Disk Drive))構成のストレージ環境において、従来型のデータベースエンジン比で約100倍*1のデータ検索処理性能を確認したことを発表し、日立は、2012年6月に、同データベースエンジンを製品化*2しています。このたび、近年、ニーズが高まっているフラッシュストレージ環境においても、同データベースエンジンが非常に優れた処理性能を発揮する点を確認しました。

*1 解析系データベースに関する標準的なベンチマークを元に作成した、各種のデータ解析要求の実行性能を計測しました。データ解析要求の種類によって高速化率に差は見られるものの、データベースにおいて特定の条件を満たす一定量のデータを絞り込んで解析を行うデータ解析要求においては、約100倍の高速化を確認しています。
*2 超高速データベースエンジンは、日立製のサーバおよびストレージと組み合わせた高速データアクセス基盤「Hitachi Advanced Data Binderプラットフォーム」として、2012年6月に日立が製品化しています。

近年、企業などのITシステムに用いるストレージデバイスとして、半導体メモリの一種であるフラッシュメモリが注目されています。フラッシュメモリは、HDDと比較してデータ入出力が高速で、必要な消費電力が低いことから、ストレージシステム全体の省電力化にも寄与するなどの特長を備えています。従来、フラッシュメモリは、記憶容量や容量あたりの単価などの面で課題があり、企業などのITシステムにおける用途は限られていましたが、大容量化と低価格化が進展してきたことにより、小中規模程度のデータベースについては、全てのデータをフラッシュストレージ環境に格納することが可能となりつつあります。

東大生研と日立は、従前は困難であった超巨大データに対する高速解析処理の実現をめざし、内閣府最先端研究開発支援プログラム*3「超巨大データベース時代に向けた超高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川優 東大生研 教授/国立情報学研究所 所長、実施期間:2010年3月~2014年3月)において、「非順序型実行原理」に基づく超高速データベースエンジンの共同研究開発を実施しています。2011年6月には、HDD構成のストレージ環境において、従来型のデータベースエンジン比で約100倍のデータ検索処理性能を確認したことを発表し、翌年には日立が同データベースエンジンを製品化しています。

東大生研は、企業などのITシステムにおけるフラッシュメモリの活用ニーズの高まりを踏まえ、フラッシュストレージ環境における超高速データベースエンジンの有効性について研究を進め、実験室環境において、従来型のデータベースエンジン比で約100倍のデータ検索処理性能を確認してきました。今回、日立は、2012年に製品化したデータベースエンジンについて、企業などのITシステムでの利用を想定した商用のフラッシュストレージ環境において、従来型のデータベースエンジン比で約100倍のデータ検索処理性能を確認しました。

*3 最先端研究開発支援プログラム:世界のトップを目指した先端的研究を推進することにより、産業、安全保障等の分野における我が国の中長期的な国際的競争力、底力の強化を図るとともに、研究開発成果の国民及び社会への確かな還元を図ることを目的として創設された国の研究開発プログラム。

このたび、研究開発中の超高速データベースエンジンが、HDD構成とフラッシュ構成のいずれのストレージ環境においても、非常に優れた処理性能を発揮できることを確認したことは、今後、同データベースエンジンを核として、HDDの大容量性とフラッシュメモリの高速性とを組み合わせることによる、コストと性能のバランスの取れた先進的なビッグデータ解析システムの構築に道を拓くものです。東大生研と日立は、このたびの検証結果をふまえ、今後も超高速データベースエンジンのさらなる性能向上を図り、ビッグデータ利活用によるイノベーションの実現に貢献していきます。

■「非順序型実行原理」の概要と特長について
非順序型実行原理は、喜連川優 東大生研 教授/国立情報学研究所 所長と合田和生 東大生研 特任准教授が考案した原理で、データ入出力の要求順序とは無関係な順序で非同期的にデータを処理することにより、ストレージシステムならびにマルチコアプロセッサ*4の利用効率を大きく向上することを可能とする点に特長があります。

*4 マルチコアプロセッサ:多数のプロセッサコアを集積したプロセッサ。

■最先端研究開発支援プログラム「巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」に関するホームページ
http://www.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/FIRST/

■商標に関する注記
・記載の会社名、製品名はそれぞれの会社または団体の商標または登録商標です。

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