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ロタウイルス感染症治療及び予防コメ型経口抗体療法の開発研究成果

ロタウイルス感染症治療及び予防コメ型経口抗体療法の開発

平成25年8月9日

東京大学医科学研究所

1. 発表者:               
徳原大介(東京大学医科学研究所 炎症免疫学分野 リサーチレジデント、
現:大阪市立大学大学院医学研究科 発達小児医学分野 講師)
幸 義和(東京大学医科学研究所 炎症免疫学分野 助教)
清野 宏(東京大学医科学研究所 炎症免疫学分野 教授)

2.発表のポイント: 
  ◆コメにロタウイルスに対するナノ抗体を高発現する(多く作らせる)ことで、精製することなく、コメ粉からナノ抗体成分が水に容易に溶ける技術を開発した。
  ◆このコメ型ナノ抗体は酸、熱に加えて、長期常温でも安定で、ロタウイルス感染症に対する治療用経口抗体療法に最適な抗体である。
  ◆災害時の突発的なロタウイルスの発生、ワクチン接種を逃した乳幼児及び免疫不全の乳幼児等に対するロタウイルス感染症の予防及び治療用の安価な抗体として期待される。

発表概要: 
ロタウイルスは全世界で年間1億140万人の子供たちに感染し下痢症を誘発しており、現在は2種の経口ロタワクチンが開発されている。しかし、ロタウイルスの突発的発生や災害時並びに、ワクチン接種期間が短いことに起因する本ワクチンを逃した乳幼児や免疫不全の乳幼児等の感染予防・治療用抗体としてロタワクチンを補完する第二の療法が必要とされてきた。
東京大学医科学研究所 炎症免疫学分野 助教 幸 義和と同分野リサーチレジデント 徳原大介(現:大阪市立大学大学院 医学研究科 発達小児医学分野講師)らの研究グループは、コメにロタウイルスナノ抗体( 注1)の遺伝子を導入して作らせた抗体がコメ粉末を精製することなく、水に懸濁させ、飲むことでロタウイルス感染症の治療及び予防を行えるコメ型経口抗体療法を開発した。この抗体はコメに高発現(多く作らせること)でき、かつ水に簡単に溶けて、煮沸下でもロタウイルス中和活性を保持し、常温で1年以上安定な経口投与に適したものである。加えて、災害時の突発的発生や免疫不全の乳幼児、規定のワクチン接種時期(生後6週~32週)において接種を逃した乳幼児に対してロタウイルス感染症の予防及び治療用の安価な抗体として期待される。今回開発された技術はノロウイルス等の他の腸管感染症に対する経口抗体療法への応用も可能である。

詳しくはこちら(医科学研究所ウェブサイトへ)

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