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記者会見「鉄道・バス運行情報連携の社会実験 ~ITS実証実験モデル都市・柏で実施へ」記者発表

記者会見「鉄道・バス運行情報連携の社会実験
~ITS実証実験モデル都市・柏で実施へ」

平成25年9月30日

東京大学生産技術研究所
千葉県柏市

1.会見日時: 2013年9月30日(月)11:00 ~ 12:00(受付開始:10:30)

2.会見場所: 
東京大学生産技術研究所 An棟4F中セミナー室
〒153-8505 目黒区駒場4-6-1 駒場リサーチキャンパス
http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/access/access.html(参照)

3.出席者: 
須田 義大(東京大学生産技術研究所附属先進モビリティ研究センター センター長・教授)
吉田 秀範(東京大学生産技術研究所附属先進モビリティ研究センター 准教授)
平沢 隆之(東京大学生産技術研究所附属先進モビリティ研究センター 助教)
佐々木 政秀(柏市役所土木部交通政策課 副主幹)

4.発表のポイント
◆ITS(注1)実証実験モデル都市の一つである千葉県柏市において、柏駅に発着する鉄道とバスの運行情報をデジタルサイネージとスマートフォンに配信する社会実験を実施する。
◆複数の交通事業者をまたぐ形での運行情報配信を実現し、無償のスマートフォンアプリとして広く市民向けに提供すると共に、デジタルサイネージでも同等の情報を提供する。
◆ユーザ視点で交通事業者間が連携する情報配信プラットフォームの基礎モデルを示す。

5.発表概要: 
  超高齢社会の進展に伴い、市民の足としての公共交通の役割が再度脚光を浴びている。それに応えるには、ネットワーク整備の進んだ幹線鉄道や都市鉄道と、その先の地域フィーダ交通(支線の役割を持つ交通機関)とを利用者視点で使いやすく繋げて、公共交通サービスを連続した移動に適したものとして魅力化する視点が不可欠である。その有効な実現手段の一つとして、多大なインフラ投資を必要としないソフト技術の活用が期待される。
  公共交通に関する普及済みの市民向けサービスとしては、すでにバスロケーションシステム(注2)、民間各社の個人移動支援の乗り換え案内サービスなどが実用化されているが、バスロケーションシステムには鉄道を含む各交通事業者の横断的な情報が得られない、乗り換え案内サービスには各種デジタルデバイスを持たない交通ユーザが利用しにくいという課題がある。
今回、東京大学生産技術研究所 附属先進モビリティ研究センターの研究グループは、柏市が主催するITS月間に合わせ、下欄の研究協力事業者各位の協力のもと、柏駅に発着する鉄道(2社線)・バス(2社線・東西口)の運行情報を統一的に市民向けに提供する市民参加型の社会実験を実施する。本社会実験においては、複数の交通モードおよび交通事業者を結び一体的に運行情報を提供するシステムを構築し、デジタルサイネージおよびスマートフォンをメディアとして実施し、駅のように多様な使われ方をされる交通結節点における有効な公共交通情報配信のあり方を検証する。

研究協力:
東日本旅客鉄道株式会社、東武鉄道株式会社、東武バスイースト株式会社、阪東自動車株式会社

6.発表内容:
① 研究の背景・先行研究における問題点
人口減少が始まる中で、日本は高齢化率23%超という世界一の超高齢社会を迎えている。地方部では過疎化、都市部では「老々介護」世帯が増加し、地域公共交通に求められる役割は多様性と重要性を増す一方である。しかし、バスロケーションシステムやWEB・携帯電話・スマートフォンの利用を想定した民間の乗り換え案内サービスが各種実用化されている一方で、さまざまな情報入手方法を求める多様な交通ユーザのニーズに応えるような、幹線鉄道や都市鉄道から地域フィーダ交通までの一体的な交通情報を案内するサービスは十分に行き届いていない。とくに、上記デジタルデバイスを持たない交通ユーザを対象にした情報案内による移動支援の取組みは遅れている。

② 研究内容
柏駅は鉄道(JR常磐線と東武野田線)、路線バス(東武バスイースト、阪東自動車)の発着する柏市内の主要な交通結節点であり、駅周辺には大型百貨店・商店街などの商業施設も集積しているほか、近郊に救急救命センター機能を担う病院(東京慈恵会医科大学附属柏病院)や景勝観光地(手賀沼)も抱えるため、通勤・通学、買い物、通院、観光などの多様な交通ユーザの移動を的確な情報案内で支える必要がある。
千葉県柏市は、社会還元加速プロジェクト(内閣府)の「ITS実証実験モデル都市」に選定され(2009年7月)、柏ITS推進協議会(会長:東京大学生産技術研究所附属先進モビリティ研究センター 池内克史教授)と共にITS関連技術を活用したエコで住みよい次世代まちづくりに取り組んでいる。
以上を背景に、東京大学生産技術研究所附属先進モビリティ研究センターと柏市役所は、関係交通事業者等の協力の下、柏駅に発着する鉄道・バスの運行情報をiPhoneアプリケーション(アプリ)と駅周辺に設置するデジタルサイネージで提供する社会実験を、柏市が主催するITS月間に合わせて本年10月1日より順次実施する。なお、10月14日~18日に開催されるITS世界会議東京2013でもテーマの一つにマルチモーダル推進(注3)が掲げられており、本社会実験は世界的にみてもタイムリーな取り組みである。

③ 社会的意義・今後の予定 など
大学と自治体が一体となって交通結節点での交通情報案内充実を検討することにより、学術的・公共的な立場から、異なる交通事業者を結びつけたユーザ視点の公共交通情報案内を実現する。
この結果、柏駅の利便性を向上すると共に、鉄道やバスの発着時刻までの時間を有効に活用した駅周辺での回遊性も向上させることを通じて、駅周辺の商業活動活性化に結び付けることも意図した交通まちづくりのモデルを示せるものと期待している。

7.用語解説: 
(注1)ITS
  情報通信技術を用いて人と車両と交通インフラをネットワークで結び、安全・円滑な交通環境を提供する一連のシステム(VICS、ETC、カーナビ等)をITSと呼ぶ。従来は道路交通分野を中心に技術開発と社会導入が推進されてきたが、昨今世界的には交通全般を対象に含める潮流にある。
(注2)バスロケーションシステム
  路線バスの到着予定時刻をバス利用者に配信する、公共交通ユーザを対象にしたITSの一つ。従来はバス停やバス発着情報板での情報配信が主であったが、携帯電話・スマートフォンでの閲覧を前提とするサービスも普及してきた。
(注3)マルチモーダル
車・バス・鉄道・自転車など複数の交通手段の連携(アクセス)を促す取組み。乗り換えをスムーズにしたり利用者の選択肢を増やしたりすることで、都市全体の交通をスムーズにする。

8.問い合わせ先: 
東京大学生産技術研究所 教授 須田義大

9.添付資料: 
※詳細は東京大学生産技術研究所先進モビリティ研究センターWEBサイト
http://www.its.iis.u-tokyo.ac.jp/index_j.html
→「お知らせ」→ 「柏市公共交通情報連携アプリについて」
をご参照ください。

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